エネルギー基本計画
日本政府は、エネルギー政策の基本的な方向性を示すために「エネルギー基本計画」というものを策定しており、これは定期的に見直しが実施され、2021年には「第6次エネルギー基本計画」として新たに見直された内容を公表しました。
この新たなエネルギー基本計画では、2050年カーボンニュートラル(2020年10月表明)、2030年度の46%削減、更に50%の高みを目指して挑戦を続ける新たな削減目標(2021年4月表明)の実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すことが重要なポイントであるとしています。またこの中で、「カーボンニュートラル時代を見据え、水素を新たな資源として位置付け、社会実装を加速する」、と言及しています。
この社会実装(水素社会の実現)の具体例として挙げられているのが、燃料電池になります。
ここで、水素を利用して発電する燃料電池の仕組みを、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell固体高分子形燃料電池)を例に簡単にご説明します。
燃料電池の仕組み
一般的にPEFCのシステムは単セル(トップの図)と呼ばれる基本構成を直列に繋いで使用します。また、セパレータを除いた部分を膜電極接合体(MEA : Membrane Electrode Assembly)と呼び、中央にある電解質膜を各触媒層、ガス拡散層で挟み込んだ構成をしております。
① アノード触媒層側(燃料極)のセパレータを通って、外部から水素が供給されます。
② 水素はアノード触媒層で触媒の働きにより電子を放出し、水素イオンと電子に電離します。
③ 水素イオンは高分子電解質膜を通ってカソード触媒層に到達し、一方で放出された電子は導線を通ってカソード触媒層(酸素極)に到達します。
④ カソード触媒層側のセパレータを通って、外部から酸素(空気)が供給されます。
⑤ カソード触媒層では触媒の働きによって活性化した酸素分子が、送られてきた電子と化合し酸素イオンとなります。
⑥ 水素イオンと酸素イオンが化合し、水となり、セパレータを通って排出されます。
現在では水素社会の実現の課題として、燃料電池の大量普及と用途の拡大が挙げられており、さらなる研究開発のターゲットは、高効率・高耐久・低コストの燃料電池システムの実現とされています。
具体的な研究開発の内容は多岐に及びますが、前出の図にあるように水素から電気を得るための構造(MEA)は今後も引き継がれていくと考えられており、この製造方法はフィルム状である電解質膜と触媒層を重ね合わせ、熱プレスによって一体化させるという方法が一般的です。
技術と実績
フィルム加工・テープ加工のオーティス株式会社では過去に、材料に対して一定の圧力と温度をかける熱プレス加工の技術と、一体化した材料(積層フィルム)を0.01mmの寸法精度で打抜くプレス加工の技術を利用し、燃料電池の開発に携わった経験があります。
電解膜・触媒層・ガス拡散層は、大量生産の実現に向けてフィルム化・ロール化の技術開発が進んでおりますが、これらを大量に精度よく加工する点においては弊社の得意とする技術が利用できます。
新しい材料の組み合わせや新しい形状の試作・量産に、フィルム加工・テープ加工のオーティス株式会社は確かな技術をもってご協力いたします。
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