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10-9. スピントロニクスと次世代メモリ

材料・加工技術

公開日:
10-9. スピントロニクスと次世代メモリ

現在の半導体は、基本的に電子の「電荷(charge)」を利用して情報を処理している。
しかし電子にはもう一つ重要な性質がある。それが スピン(spin) である。
スピンとは電子が持つ磁気的な性質であり、このスピンを利用して情報を処理する技術が スピントロニクス(Spintronics) と呼ばれる。
スピントロニクスは、従来の半導体技術とは異なる原理で動作するため、次世代メモリや新しい計算技術として注目されている。

【1】スピンとは何か

電子は電荷だけでなく、磁石のような性質を持っている。

この磁気的性質がスピンである。

 

スピンは主に二つの状態を持つ。

・スピンアップ

・スピンダウン

この二つの状態を利用することで、デジタル情報の 0と1 を表現することができる。

【2】スピントロニクスの特徴

スピントロニクス技術には、従来メモリにはない特徴がある。

主な特徴:

・高速動作

・低消費電力

・不揮発性(電源を切ってもデータ保持)

・高耐久性

このため、スピントロニクスは 世代メモリ技術 として期待されている。

【3】代表的なスピントロニクスメモリ

現在研究・実用化が進んでいるスピントロニクスメモリにはいくつかの種類がある。

主な例:

・MRAM(Magnetoresistive RAM)

・STT-MRAM(Spin Transfer Torque MRAM)

・SOT-MRAM(Spin Orbit Torque MRAM)

特にSTT-MRAMは、すでに一部の半導体製品で実用化が進んでいる。

【4】なぜ次世代メモリとして注目されるのか

現在のコンピュータでは、複数のメモリ技術が用途ごとに使い分けられている。

代表的な例:

・DRAM:高速だが電源が必要

・NAND:不揮発だが書き込みが遅い

スピントロニクスメモリは、これらの特徴を併せ持つ可能性がある。

 

期待される特徴:

・高速アクセス

・不揮発性

・高耐久性

このため「ユニバーサルメモリ」としての可能性が研究されている。

【5】現在の課題

スピントロニクス技術にはまだいくつかの課題も存在する。

主な課題:

・書き込み電流の低減

・微細化技術

・製造コスト

・量産プロセスの確立

しかし半導体の新しい方向として、スピントロニクスは多くの研究機関や企業が取り組んでいる分野である。

【まとめ(10-9)】

・スピントロニクスは電子スピンを利用した技術

・次世代メモリとして研究が進む

・MRAMなどは一部実用化

・高速・低消費電力メモリの可能性

【理解チェック】

1.スピントロニクスとはどのような技術か?

2.MRAMの特徴は何か?

3.スピントロニクスメモリが次世代メモリとして期待される理由は何か?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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