【1】SI / PIとは何か
SI(Signal Integrity)
信号品質の健全性評価。
評価するのは:
・波形が崩れていないか
・遅延していないか
・誤動作を起こさないか
PI(Power Integrity)
電源供給の安定性評価。
評価するのは:
・電圧が安定しているか
・瞬間電流に追従できるか
・ノイズが混入していないか
まとめると:SI=信号の質 PI=電源の質
【2】なぜSI / PIが重要になるのか
理由は明確。
① 高速化→ 信号立上りが急峻化
② 高周波化→ GHz帯域へ拡張
③ 高密度化→ 配線間距離が縮小
④ 高電流化→ 電源ノイズ増大
結果:信号と電源が互いに干渉する。
【3】SIの主な評価項目
● アイパターン
信号品質の総合指標。
評価:
・開口幅
・ノイズマージン
・ジッター
目が閉じる=通信エラー増加。
● ジッター
タイミング揺らぎ。
原因:
・電源ノイズ
・クロストーク
・PLL揺らぎ
高速通信では致命傷。
● クロストーク
隣接配線間干渉。
密配線ほど悪化。
● 反射(Reflection)
インピーダンス不整合で発生。
波形歪みの原因。
【4】PIの主な評価項目
● IRドロップ
配線抵抗で電圧低下。
電流増大で悪化。
● 電源リップル
電圧の周期揺らぎ。
ロジック誤動作要因。
● 同時スイッチングノイズ(SSN)
多数I/O同時動作で発生。
電源揺らぎを誘発。
● PDNインピーダンス
電源供給経路の抵抗・インダクタンス。
低インピーダンス設計が必須。
【5】評価・解析手法
評価は実測+解析の両輪。
実測:
・高速オシロスコープ
・TDR(Time Domain Reflectometry)
・ネットワークアナライザ
解析:
・電磁界解析
・回路シミュレーション
・伝送線路解析
SI / PIは、設計段階から解析が必須。
【6】パッケージがSI / PIに与える影響
影響因子は多い。
例:
・RDL配線幅・厚み
・バンプ高さ
・TSV密度
・基板誘電率
・グラウンド配置
結果:
・信号遅延
・ノイズ増大
・消費電力増加
つまり、パッケージ=信号品質部品。
【7】HBM / AIチップ時代の課題
特徴は3つ。
① 超広帯域通信
HBM帯域:
数TB/s級
→ SI設計が最重要。
② 超高電流
GPU・AIチップは:
数百A級
→ PI設計が生命線。
③ 3D積層
TSV・Interposer構造で:
・配線長増加
・共振増加
評価は、2D → 3D電磁界解析へ進化。
【8】SI / PI改善設計手法
代表例:
● インピーダンス整合設計
→ 反射低減
● グラウンドシールド
→ ノイズ遮蔽
● デカップリングコンデンサ配置
→ 電源安定化
● 配線長最適化
→ 遅延低減
● 差動配線設計
→ ノイズ耐性向上
SI / PIは、レイアウト設計そのもの。
【9】量産・歩留まりとの関係
SI / PI不良は、外観では見えない。
主な症状:
・通信エラー
・周波数低下
・誤動作
・発熱増加
そのため:設計段階で潰し込む必要がある。
【10】まとめ(7-8)
・SI=信号品質評価
・PI=電源安定性評価
・高速・高密度化で重要度増大
・パッケージが電気性能に直結
・AIチップでは最重要設計領域
【理解チェック】
1.SIとPIの違いは何か?
2.クロストークが発生する主因は?
3.IRドロップは何によって発生するか?
4.なぜHBMではSI設計が重要になるのか?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。
