■ 優秀さが揃いすぎると、組織は硬直する
組織において、「全員が同じ方向を向く」ことは理想のように語られる。
たしかに短期的には推進力になる。
しかしその状態が長く続くと、組織から揺らぎが失われ、多様性というセーフティバルブが機能しなくなる。
• 異論が出にくくなる
• 問いが封じられる
• 静かな同調が支配する
その瞬間、変化への感度が落ちる。つまり、優秀さが揃いすぎることが、未来への弱さになってしまう。
■ 「全員東大生の会社」は本当に強いのか?
よく出される例がある。
仮に全員が東大卒という精鋭だけで会社をつくったらどうなるか?
知力も論理力も高く、議論もスマートだろう。
だが、もし思考の枠組みまで似通っていたとしたら?
同じ方法で正解にたどり着ける反面、同じ盲点も抱えることになるのではないか
• 異なる視点が出ない
• 「そもそも論」が生まれにくい
• 設計そのものを疑う人がいない
これでは、確かにうまく回るが、進化や飛躍にはつながらない。
(例には出しましたが、実際は東大出身者の多くが、極めて優秀で、精神的にタフです)
■ 0.02%を活かす組織設計へ
多くの組織は「80%の人が効率的に動ける設計」でできている。
制度、評価、教育、指針…どれも平均をベースに作られている。
でも、未来を切り開くのは、
その枠から少しだけズレている0.02%の人たちかもしれない。
• 常識を疑う
• ルールに従わない
• 空気を読まない
• 時間をかけて考え続ける
扱いづらく、目立ち、浮いてしまう存在。
けれど彼らが、構造のほころびや、未来の兆しを見つけることがある。
■ 異質性が力になる:3つの事例
たとえば、
• Appleは、天才技術者集団でスタートしたが、やがて停滞。デザイン・物語・ユーザー体験など、異質な要素を再統合したことで再成長した。
• IDEOは、言葉が通じないほど違う専門家たちを組ませ、常に予測不能なアイデアが生まれる仕組みを作っている。
• ソニーもまた、創業期は逸脱を許容する文化があり、世界に通じる独創性が育った。
つまり、「優秀で揃える」よりも、「揃わない前提で設計する」ほうが、未来は強い証明ではないだろうか
(事例を選んだのは私なので、公平性がある事例ではないですが(笑))
■ ガバナンスの幻想と、混沌の必要性
現代の企業には、透明性や説明責任が求められる。
だからこそ、ガバナンス強化は当然の流れだ。
だが、あまりに整いすぎた組織は、想定外に弱い。
• 創造が抑えられる
• 違和感が排除される
• 揺らぎがシステムエラーとして扱われる
整っていることと、強いことは、必ずしもイコールではないという認識が必要だ。
■ 多様性は「受け入れる」ものではなく「設計する」もの
多様性を受容するだけでは意味がない。
本当に必要なのは、「違いがあるから強くなる」ように設計することだ。
• 揃っていないから、ズレに気づける
• 違っているから、新しい視点が出る
• 雑音があるから、構造の限界に気づける
その前提に立ったとき、初めて多様性は戦略になる。
「全員優秀だからうまくいく」は、幻想かもしれない。
「誰かがズレているから、進化できる」組織こそが、未来に強い。
