たとえば、国家の規制。
あるいは、社会意識の変化。
時には、新しい技術や文化が、既存の価値を丸ごと飲み込んでしまうこともある。
では、どうすればこの「構造的敗北」から自社を守れるのか?
そのヒントは、視点をもう一階層、あるいは二階層上げて見る力にあると私は感じています。
■ 「突然の制裁」や「買収劇」も構造の中で起きている
たとえば、ある企業が突然、海外で多額の罰金を科されたとします。
あるいは、「競争法違反」や「安全保障上の理由」で、事業が制限されたり、買収を余儀なくされたり。
これらは表面的にはルールの問題に見えますが、
背後には、国家間の駆け引き、通商のパワーバランス、技術覇権の争いが隠れていることもあります。
「なぜ今、このタイミングで?」
「なぜ、うちだけが?」
そうした違和感を持つとき、そこには構造があるのではないでしょうか。
もちろん、当社のような中小企業がそうした場面に直面することは稀です。
しかし、お客様の動向を分析する過程で、その構造の力を目の当たりにすることがあるのです。
■ 敵は競合ではなく、時代そのものかもしれない
実は、企業が敗れるときの本当の相手は、競合ではなく、時代の流れや設計思想そのものだったりします。
たとえば:
• 新しい技術が旧来の業界ルールを根底から変えてしまう
• グローバルの倫理観が変化し、正しかった行動が批判されるようになる
• 法律の改正によって、あるビジネスモデルが使えなくなる
こうした変化に、戦って勝つことはできません。
必要なのは、構造を観測する感覚と、柔軟な再設計力がその企業にあるかだと思います。
■ 視座を2つ上の階層に置く習慣
では、どうすれば気づけるのか?
ヒントは、今の出来事を点で捉えずに、その背景にある構造や設計に意識を向けることだと感じています。
たとえば:
• なぜ、その技術は急に注目されたのか?
• なぜ、今この分野の法改正が進んでいるのか?
• なぜ、同じような企業の中で我々のお客様が狙われたのか?
すべての現象は、構造の一部として起きている。
そう考えるだけで、見る景色は変わります。
特に我々のような中小企業だと、1つ上の階層ではダメで、2つ上くらいの階層から考える必要があります。
■ 日本企業が持つ善意の盲点
日本の企業は、誠実で真面目で、高品質を大切にしている。
でも、それゆえに構造を読むことを軽視しがちなのかもしれません。
• ルールは守っているから大丈夫
• 技術があれば売れるはず
• 善意で動いているから、誤解されない
こうしたまっすぐな信念が、時に戦略や構造を読むうえでの盲点になってしまってはいないだろうか。
特に、構造が大きくうねる時代かつグローバルの競争の時には、性善説だけでは通用しない場面が増えている気がします。
一言まとめ
何が起きたかよりも、なぜ、それが今、起きたのか?を問える者だけが、次の構造を越えていける。
企業は戦うだけでなく、見抜き、よけ、変化を先取りすることが求められる時代。
誰と戦っているかよりも、どこで戦わされているかを意識することが、経営のリアルなインテリジェンスなのだと思います。
そして、そういう大きな市場で戦われている方は、言えないご苦労が多いと思いますし、尊敬します。
オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.
角本康司
