第116話:なくなってから気づく価値

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最近、加工メーカーの廃業の話を聞く機会が増えました。
後継者不足。
設備の老朽化。
人手不足。
理由はいろいろあります。

でも、私は別の理由もあると思っています。

加工技術の価値が、正しく評価されていない、ということです。

 

最近、当社にも新しい加工先を探したいという相談が増えています。

理由を聞くと、「BCP対策です」「供給先を増やしたいからです」と言われます。

もちろん、それも本当でしょう。

ただ、お話を聞いていると、「今の加工先は、この先も安定して供給を続けられるのだろうか。」

そんな言葉にならない不安を感じる場面が、以前より増えてきたように思います。

 

日本の製造業は長い間、「良いものを、より安く」を追い求めてきました。

もちろん、それも競争力です。

しかし、その結果、本当に必要な技術まで価格競争に巻き込まれてしまいました。

 

加工メーカーは、毎年のように値下げを求められる。

設備投資も、人材育成も難しくなる。

利益が残らない。

そして、ある日、廃業する。

 

その時になって初めて、

「あの会社しかできなかった。」そんな声を聞くことがあります。

 

でも、その時には、もう遅い。

加工技術は、一日では育ちません。

十年、二十年という経験の積み重ねです。

職人も、設備も、一度失えば簡単には戻りません。

私は、この流れは日本に急速に広がると思っています。

だからこそ、価格だけではなく、「残すべき技術は何か」を考える時代に入ったのではないでしょうか。

もちろん、企業には利益を追求する責任があります。

調達部門にはコストを下げる使命があります。

それも理解しています。

しかし、それだけでは、日本のものづくり全体は弱くなってしまいます。

本当に比較すべきなのは、「今年の価格」ではありません。

五年後、十年後も、その技術を使い続けられるか。

そこまで含めて考えることが、これからの調達であり、経営だと思います。

 

日本のものづくりは、製品だけでできているのではありません。

数え切れない加工メーカーの技術が積み重なってできています。

その土台が失われれば、最後に困るのは、日本の製造業そのものです。

価格は大切です。

 

でも、それ以上に大切なものもあります。

加工メーカーは、部品をつくっているのではありません。

日本のものづくりの未来を支えているのです。

 

日本では「コスト」として見られていた技術が、

海外では「資産」として評価される。

この違いを、私たちはもっと真剣に考えた方がいいのかもしれません。

 

私も家庭では邪魔、鬱陶しいと言われることがあります。

しかし、外では、たまに評価されます。

価値というものは、近くにありすぎると、見えにくくなるのかもしれません。

 

オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.

角本康司

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