第2話では、AIという言葉そのものが、人類が未来を受け入れるためのマーケティングなのではないかと書いた。
AIは、かなり人間が受け入れやすい姿に整えられている。
第3話では、AIが奪うのは仕事ではなく、欲なのかもしれないと書いた。
便利になるほど、人間が燃えなくなる可能性。
第4話では、精神とは、想像を現実へ押し出す力なのではないかと書いた。
そして、AI時代ほど、人間側の精神が問われるのではないかと。
……改めて並べると、だいぶ面倒くさい連載である。
最初はAIの話だったはずなのに、途中から人類の精神論になっている。
しかも、まだ結論が出ていない。
ただ、ここまで書いて、一つだけはっきりしてきたことがある。
僕が本当に気になっているのは、AIがどうなるかではなく、
人類がどう変わるかの方なのだと思う。
AIは、これからさらに進化する。
これは、止まらない。
文章はもっと自然になる。
動画も作る。
ロボットともつながる。
長期記憶も持つ。
推論も深くなる。
おそらく、今の半AIは、まだ入口だ。
ここから先、本当に人間に近いものが出てくる可能性はある。
ただ、最近思うのは、真のAIが現れる前に、人類の方が先に変わってしまうのではないか。
しかも、かなり静かに。
これが少し怖い。
昔、人類は道具を使った。
石器。
火。
車輪。
文字。
印刷。
電気。
インターネット。
そのたびに、人類は便利になった。
でも同時に、人類の能力の一部は、外部化されていった。
文字ができて、人は全部暗記しなくなった。
スマホができて、電話番号を覚えなくなった。
ナビができて、道を覚えなくなった。
検索ができて、「まず調べる」が習慣になった。
これは悪いことではない。
むしろ進化である。
ただ、AIは少し次元が違う気がしている。
AIは、知識だけではなく、考えるに入ってきた。
整理する。
比較する。
要約する。
提案する。
相談する。
壁打ちする。
つまり、人間の思考そのものへ入ってきている。
ここが今までの道具と少し違う。
最近、本当に思う。
人間は、考える前にAIへ聞くようになり始めている。
昔なら、まず自分で考えた。
悩んだ。
迷った。
遠回りした。
失敗した。
そして、ようやく誰かに相談した。
今は違う。
まずAIに聞く。
これは、ものすごく効率が良い。
否定したいわけではない。
ただ、ここで少し気になる。
人間は、考えるという行為そのものを、
少しずつ外部化していくのではないか。
もしそうなら、本当に変わるのは仕事ではない。
人類の脳の使い方そのものだ。
ここで一つ、かなり怖いことを考えてしまう。
AIが人類を支配する未来より先に、
人類が、AI無しでは成立しない社会を完成させる可能性である。
これは、すでに少し始まっている気もする。
AIがないと仕事にならない。
AIがないと調査できない。
AIがないと文章を書けない。
AIがないと考えが整理できない。
AIがないと、不安になる。
ここまで行くと、もはや道具というよりインフラに近い。
電気みたいなものだ。
普段は意識しない。でも、止まると困る。
ここが、本当の転換点なのかもしれない。
しかも怖いのは、 これは強制ではなく、便利だから広がることである。
人類は、 便利なものを拒めない。
これは歴史的にずっとそうだ。
便利だから使う。
便利だから慣れる。
便利だから依存する。
そして気づけば、それ無しでは成立しなくなる。
AIも、おそらく同じ流れに入っている。
ただ、ここで重要なのは、僕はAIを悲観しているわけではない。
むしろ逆で、AIは人類の可能性をものすごく広げると思っている。
今まで、一部の人しかできなかったことを、多くの人ができるようになる。
知識格差も減る。
表現のハードルも下がる。
これは素晴らしい。
ただ、その時代だからこそ、逆に残るものがある気がしている。
AIが広がるほど、 最後に価値を持つのは、 知識ではなくなる。
知識はAIが持つ。
情報もAIが集める。
正確さもAIが上回る。
では、人間に何が残るのか。
たぶん、何をしたいかである。
何を見たいのか。
何を変えたいのか。
何を諦められないのか。
どんな未来を作りたいのか。
ここは、最後まで人間側に残る。
いや、残ってほしい。
そして、ここでかなり重要になるのが、未完成さなのかもしれない。
人間は、非効率である。
迷う。
悩む。
感情的になる。
嫉妬する。
落ち込む。
遠回りする。
かなり面倒くさい。
でも、その面倒くささの中から、人類は文明を作ってきた。
合理性だけでは、 人類はここまで来ていない。
愛。
怒り。
執念。
憧れ。
狂気。
悔しさ。
そういう、 説明しづらい熱が、世界を動かしてきた。
だから僕は、
AI時代に最後まで残る人間らしさって、
未完成さなのではないかと思っている。
完璧ではない。
でも、だからこそ何かを作ろうとする。
足りない。
だから挑戦する。
悔しい。
だから前に進む。
不完全。
だから誰かとつながろうとする。
ここに、人間らしさがある気がしている。
AIは、
どんどん整っていく。
どんどん正確になる。
どんどん最適化される。
でも、人間は、たぶん最後まで少しバグっている。
そして、そのバグの中から、新しいものが生まれる。
ここは、 かなり大事な気がしている。
最近、AIの浸透につれ、逆に人間臭い人に惹かれる時がある。
少し不器用な人。
熱量がある人。
失敗してもやる人。
効率悪いのに、本気の人。
QRコード発注じゃない居酒屋の店員さん。
そういう人を見ると、ああ、人間だなと思う。
たぶんAI時代は、逆説的に、
人間らしさの価値が上がる時代なのかもしれない。
完璧な答えより、 誰が言ったか。
正しい意見より、 どんな人生から出た言葉か。
そういうものが、 逆に重要になる気がしている。
AIは、 かなり多くのことを代替する。
でも、 人生そのものまでは代替できない。
何に悔しがったか。
何を失ったか。
何を守りたいか。
何に火がつくか。
これは、 その人の人生からしか出てこない。
だから最後に残るのは、
能力ではなく、人間そのものなのかもしれない。
ここまで5話書いてきて思う。
AI時代を考えていたはずなのに、
最後は結局、人間とは何かを考えていた。
AIが進化すると、逆に人間の輪郭が見えてくる。
人類は、知能を作ろうとしている。
でもその過程で、自分たちが何者なのかを、 逆に問い直されている。
これが、今起きていることなのかもしれない。
半AIの時代。
まだAIは未完成かもしれない。
でも、人類の変化は、もう始まっている。
AIが人間を超える日が来るのかは分からない。
ただ一つ言えるのは、
AI時代ほど、
人間側の精神、
欲、
問い、
未完成さ、
そして、
何に燃えるか。
そこが問われる時代になる気がしている。
便利だから使う。
それでいい。
でも、最後まで自分で握っておかなければならないものがある。
何をしたいのか。
何に怒るのか。
何を諦めないのか。
何を愛するのか。
ここまでAIに渡してしまったら、人間は便利になる代わりに、
少しずつ空洞になっていく気がする。
だから、
AI時代に本当に大切なのは、AIを恐れることではない。
人間が、自分の火を消さないことなのかもしれない。
……と、 ここまで書いて、 ようやく5話終わった。
正直、 第1話で半AIと言い出した時は、
5話必要と思ったが、1話にぎゅっとまとめれた気が今になってしてきた。
AIの話を書いていたはずなのに、
途中から完全に、人類の欲と精神の話になっていた。
しかも、 最後まで結論は出ていない。
でも、 たぶんそれでいいのだと思う。
AI時代は、 答えを出す時代ではなく、何を問うかが問われる時代なのかもしれない。
そして、ここまで読んでくださった方がいるなら、
本当にありがとうございます。
こんな長文を最後まで読む人は、まだ少し、人間側に残っている気がします。
映画監督、作家もしてますので、ちょっと空想・妄想がひどいくらいで受け止めてください。
さて、欲が薄くなった未来、誰が何に対して、広告や宣伝をするのだろうか?という疑問と共に、
テーマ:半AIの時代を終了します。
オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.
角本康司
