第98話:半AIの時代
第5話 真のAIが現れる前に、人類は何を失うのか

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第1話で、今のAIは半AIではないかと書いた。
完全な人工知能ではなく、人間の思考を増幅する装置に近いのではないか。

第2話では、AIという言葉そのものが、人類が未来を受け入れるためのマーケティングなのではないかと書いた。

AIは、かなり人間が受け入れやすい姿に整えられている。

 

第3話では、AIが奪うのは仕事ではなく、欲なのかもしれないと書いた。

便利になるほど、人間が燃えなくなる可能性。

 

第4話では、精神とは、想像を現実へ押し出す力なのではないかと書いた。

そして、AI時代ほど、人間側の精神が問われるのではないかと。

 

……改めて並べると、だいぶ面倒くさい連載である。

 

最初はAIの話だったはずなのに、途中から人類の精神論になっている。

しかも、まだ結論が出ていない。

ただ、ここまで書いて、一つだけはっきりしてきたことがある。

 

僕が本当に気になっているのは、AIがどうなるかではなく、

人類がどう変わるかの方なのだと思う。

 

AIは、これからさらに進化する。

これは、止まらない。

 

文章はもっと自然になる。

動画も作る。

ロボットともつながる。

長期記憶も持つ。

推論も深くなる。

 

おそらく、今の半AIは、まだ入口だ。

ここから先、本当に人間に近いものが出てくる可能性はある。

 

ただ、最近思うのは、真のAIが現れる前に、人類の方が先に変わってしまうのではないか。

しかも、かなり静かに。

これが少し怖い。

 

昔、人類は道具を使った。

 

石器。

火。

車輪。

文字。

印刷。

電気。

インターネット。

 

そのたびに、人類は便利になった。

 

でも同時に、人類の能力の一部は、外部化されていった。

文字ができて、人は全部暗記しなくなった。

スマホができて、電話番号を覚えなくなった。

ナビができて、道を覚えなくなった。

検索ができて、「まず調べる」が習慣になった。

これは悪いことではない。

むしろ進化である。

 

ただ、AIは少し次元が違う気がしている。

 

AIは、知識だけではなく、考えるに入ってきた。

 

整理する。

比較する。

要約する。

提案する。

相談する。

壁打ちする。

 

つまり、人間の思考そのものへ入ってきている。

ここが今までの道具と少し違う。

 

最近、本当に思う。

人間は、考える前にAIへ聞くようになり始めている。

 

昔なら、まず自分で考えた。

悩んだ。

迷った。

遠回りした。

失敗した。

そして、ようやく誰かに相談した。

 

今は違う。

まずAIに聞く。

これは、ものすごく効率が良い。

否定したいわけではない。

ただ、ここで少し気になる。

 

人間は、考えるという行為そのものを、

少しずつ外部化していくのではないか。

 

もしそうなら、本当に変わるのは仕事ではない。

 

人類の脳の使い方そのものだ。

 

ここで一つ、かなり怖いことを考えてしまう。

 

AIが人類を支配する未来より先に、

人類が、AI無しでは成立しない社会を完成させる可能性である。

 

これは、すでに少し始まっている気もする。

AIがないと仕事にならない。

AIがないと調査できない。

AIがないと文章を書けない。

AIがないと考えが整理できない。

AIがないと、不安になる。

 

ここまで行くと、もはや道具というよりインフラに近い。

電気みたいなものだ。

普段は意識しない。でも、止まると困る。

 

ここが、本当の転換点なのかもしれない。

 

しかも怖いのは、 これは強制ではなく、便利だから広がることである。

 

人類は、 便利なものを拒めない。

 

これは歴史的にずっとそうだ。

便利だから使う。

便利だから慣れる。

便利だから依存する。

そして気づけば、それ無しでは成立しなくなる。

 

AIも、おそらく同じ流れに入っている。

ただ、ここで重要なのは、僕はAIを悲観しているわけではない。

 

むしろ逆で、AIは人類の可能性をものすごく広げると思っている。

今まで、一部の人しかできなかったことを、多くの人ができるようになる。

知識格差も減る。

表現のハードルも下がる。

これは素晴らしい。

ただ、その時代だからこそ、逆に残るものがある気がしている。

 

AIが広がるほど、 最後に価値を持つのは、 知識ではなくなる。

知識はAIが持つ。

情報もAIが集める。

正確さもAIが上回る。

 

では、人間に何が残るのか。

たぶん、何をしたいかである。

何を見たいのか。

何を変えたいのか。

何を諦められないのか。

どんな未来を作りたいのか。

ここは、最後まで人間側に残る。

 

いや、残ってほしい。

 

そして、ここでかなり重要になるのが、未完成さなのかもしれない。

人間は、非効率である。

 

迷う。

悩む。

感情的になる。

嫉妬する。

落ち込む。

遠回りする。

 

かなり面倒くさい。

 

でも、その面倒くささの中から、人類は文明を作ってきた。

 

合理性だけでは、 人類はここまで来ていない。

 

愛。

怒り。

執念。

憧れ。

狂気。

悔しさ。

 

そういう、 説明しづらい熱が、世界を動かしてきた。

 

だから僕は、

AI時代に最後まで残る人間らしさって、

未完成さなのではないかと思っている。

 

完璧ではない。

でも、だからこそ何かを作ろうとする。

 

足りない。

だから挑戦する。

 

悔しい。

だから前に進む。

 

不完全。

だから誰かとつながろうとする。

 

ここに、人間らしさがある気がしている。

 

AIは、

どんどん整っていく。

どんどん正確になる。

どんどん最適化される。

 

でも、人間は、たぶん最後まで少しバグっている。

 

そして、そのバグの中から、新しいものが生まれる。

 

ここは、 かなり大事な気がしている。

 

最近、AIの浸透につれ、逆に人間臭い人に惹かれる時がある。

 

少し不器用な人。

熱量がある人。

失敗してもやる人。

効率悪いのに、本気の人。

QRコード発注じゃない居酒屋の店員さん。

 

そういう人を見ると、ああ、人間だなと思う。

 

たぶんAI時代は、逆説的に、

人間らしさの価値が上がる時代なのかもしれない。

 

完璧な答えより、 誰が言ったか。

正しい意見より、 どんな人生から出た言葉か。

そういうものが、 逆に重要になる気がしている。

 

AIは、 かなり多くのことを代替する。

でも、 人生そのものまでは代替できない。

 

何に悔しがったか。

何を失ったか。

何を守りたいか。

何に火がつくか。

 

これは、 その人の人生からしか出てこない。

 

だから最後に残るのは、

能力ではなく、人間そのものなのかもしれない。

 

ここまで5話書いてきて思う。

 

AI時代を考えていたはずなのに、

最後は結局、人間とは何かを考えていた。

 

AIが進化すると、逆に人間の輪郭が見えてくる。

 

人類は、知能を作ろうとしている。

 

でもその過程で、自分たちが何者なのかを、 逆に問い直されている。

これが、今起きていることなのかもしれない。

 

半AIの時代。

まだAIは未完成かもしれない。

 

でも、人類の変化は、もう始まっている。

AIが人間を超える日が来るのかは分からない。

 

ただ一つ言えるのは、

AI時代ほど、

人間側の精神、

欲、

問い、

未完成さ、

そして、

何に燃えるか。

そこが問われる時代になる気がしている。

 

便利だから使う。

それでいい。

でも、最後まで自分で握っておかなければならないものがある。

 

何をしたいのか。

何に怒るのか。

何を諦めないのか。

何を愛するのか。

 

ここまでAIに渡してしまったら、人間は便利になる代わりに、

少しずつ空洞になっていく気がする。

 

だから、

AI時代に本当に大切なのは、AIを恐れることではない。

人間が、自分の火を消さないことなのかもしれない。

 

……と、 ここまで書いて、 ようやく5話終わった。

 

正直、 第1話で半AIと言い出した時は、

5話必要と思ったが、1話にぎゅっとまとめれた気が今になってしてきた。

 

AIの話を書いていたはずなのに、

途中から完全に、人類の欲と精神の話になっていた。

 

しかも、 最後まで結論は出ていない。

 

でも、 たぶんそれでいいのだと思う。

 

AI時代は、 答えを出す時代ではなく、何を問うかが問われる時代なのかもしれない。

 

そして、ここまで読んでくださった方がいるなら、

本当にありがとうございます。

 

こんな長文を最後まで読む人は、まだ少し、人間側に残っている気がします。

映画監督、作家もしてますので、ちょっと空想・妄想がひどいくらいで受け止めてください。

 

さて、欲が薄くなった未来、誰が何に対して、広告や宣伝をするのだろうか?という疑問と共に、

テーマ:半AIの時代を終了します。

 

オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.

角本康司

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