しかし今、世界が大きく変わっています。
• 自然災害やパンデミックによる拠点停止
• 地政学リスクで輸出入が滞る
• 世界的な輸送コストの高騰と物流不安
• 多品種小ロット・短納期への対応圧力
多くの企業がコスト最適化の名のもとに、集中と統廃合を進めてきました。
しかし、ここ数年で明らかになったのは、「一極集中には、回避できないリスクがある」という現実です。
今、求められているのは、「分散」というもう一つの選択肢かもしれません。
もし、またパンデミックのような事態が訪れたら、次は「備えていた企業」と「変われなかった企業」で、明暗がはっきり分かれる気がします。
注目される新しい製造モデル:「分散型マイクロ工場」
分散型マイクロ工場モデルとは、言葉としては10年以上前に存在していますが、
従来のように巨大な工場に全てを詰め込むのではなく、
小規模で機能特化した拠点を複数展開し、クラウドや標準化された工程設計で連携する製造モデルです。
このモデルには以下のような特徴があります:
• 小ロット・短納期の製品に柔軟に対応
• 拠点間で製造の“切り替え”が容易(BCP対応)
• 消費地に近い工場で製造することで、輸送負荷・CO₂を削減
• 設備・品質・工程の“標準化”により、どこで作っても同じクオリティを維持
つまり、「大きく作る」ではなく「柔軟に作る」時代が始まっているのです。
世界ではすでに動き始めている
このモデルは、すでに欧米で実践されています。過去失敗している企業も多いですが、戦略的チャレンジ事例として捉えた方が良いと思います。
● Rodinia Generation(デンマーク)
都市内に小規模なオンデマンド生産工場を設け、環境負荷の低い自動生産でファッション業界に新たな流れを作っています。
● Unspun(アメリカ)
顧客体型に合わせたカスタムジーンズを、3D織布で都市内マイクロ工場から製造。
在庫を持たず、注文→製造→出荷までをローカルで完結。
● Protolabs / Fast Radius(アメリカ)
CNC・3Dプリントを活用し、拠点分散・クラウド連携による高速試作/短納期量産を実現。
でも、これはBtoC向けの話…ではありません
一見すると「これはD2C専業向けの話では?」と思われるかもしれません。
しかし実は、分散型マイクロ工場の本質的な価値は、BtoBの製造にも直結します。
なぜならBtoBの顧客こそ、こうした課題を抱えているからです:
• 短納期対応が必要なのに、拠点の立ち上げに時間がかかる
• 生産地を変えると品質や検査基準にズレが生じる
• ロットや数量の変動に、柔軟に対応したい
• ESG観点から、輸送を減らしたい/ローカル調達比率を上げたい
少量多品種・試作量産・短サイクルの製品においては、むしろ分散型の発想こそがBtoBの製造現場”に効くのです。
日本発で価値を届けるには、「つなぐ人材」が必要になる
このようなモデルを地域発で成功させるためには、単に技術があればいいというわけではありません。
むしろ、そこに「構想」と「表現」ができる人材=プロデューサーとデザイナーが不可欠です。
■ プロデューサーの役割:
• 地域や工場の技術資源を「どこで何を作るか」という形に落とし込む
• 製品だけでなく、「価値の生まれ方」全体を設計する
■ デザイナーの役割:
• 「地域発」「分散型」の意義を伝える製品設計・表現力
• 顧客にとって使いたくなる、選びたくなる体験の可視化
製造が分散する時代には、誰が作るか”だけでなく、誰がつなぎ、どう伝えるかが問われるのです。
オーティスとしてのスタンス
私たちオーティスも、日本・中国・タイに生産拠点を持ち、同一の設備・同一の金型・同一の工程設計で、製品を再現性高く製造しています。
試作から量産まで、金型・設備・治具を含めて自社で構築・内製化しているからこそ、
「どこで作っても、同じ品質と納期対応ができる」体制が整っています。
私たちは「分散型マイクロ工場です」とは名乗っていませんが、その思想に通じる製造の柔軟性と構え方は、すでに現場に根づいています。
まとめ|これからは「大きさ」より「構え方」で選ばれる時代
• 集中生産の効率性は、時代によってリスクにもなります。
• 一極集中から、柔軟で転換可能な分散型の構えへ。
• それを支えるのは、技術と、人の発想、そして設計思想です。
製造業は、設備と工程だけでなく、「体制そのもの」も進化させていく時代に入ったのではないでしょうか?
もし、製造拠点の柔軟性・移管対応・小ロット多拠点展開などでお困りのことがあれば、ぜひ一度、オーティスにご相談ください。
ものづくりの「どこで」「どう作るか」という構想段階から、共に形にできる共創パートナーとしてお手伝いします。
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
