スピードと安全のギャップ
グローバル競争では、スピードを最優先にする動きが目立ちます。
特に中国や一部の新興国では、規制や安全基準が後追いになりがちで、まずは「早く作って市場に出す」ことが重視されます。
一方、日本の製造業は古くから、設計段階から安全性や倫理性を組み込む思想を持ってきました。
これは一見、時間がかかり非効率に見えるかもしれません。
しかし医療・食品・環境といった分野では、「安全性や倫理性を担保できるかどうか」そのものが参入条件であり、むしろ持続的な競争力につながります。
日本企業が持つ強み
日本企業が大切にしてきた安全・倫理基準の徹底は、以下のような強みに結びつきます。
● 製品安全性:想定外のリスクを潰し込み、事故を未然に防ぐ文化
● 環境対応:早期から有害物質規制(RoHS、PFAS代替など)に取り組む姿勢
● 社会的信頼:顧客だけでなく、規制当局や社会からの安心感を得られる
特にBtoBの精密部品分野においては、
● 安全基準を満たした部材であるか
● 長期的に法規制に抵触しないか
● サプライチェーン全体で安心を担保できるか
こうした点が調達や採用の決定打になるケースは少なくありません。
なぜ今「安全・倫理基準」が重要なのか
半導体や次世代素材の分野では、単なる技術競争だけではなく、「持続可能性」や「倫理的調達」が求められる時代になっています。
・医療分野 → 患者の安全を最優先にする規制
・自動車分野 → 自動運転やEV化に伴う高い安全基準
・環境分野 → カーボンニュートラルやPFAS規制への対応
これらは一過性の流行ではなく、今後さらに厳格化していく大きな潮流です。
ここで基準を守り抜けるかどうかが、国際市場で選ばれ続ける企業かどうかの分岐点になります。
まとめと次回予告
台湾セミコンを通じて改めて実感したのは、
● 信頼・保証の文化
● 安全・倫理基準の徹底
この二つが、日本企業にとって国際競争を勝ち抜くための「目に見えない武器」だということです。
そんなの当たり前だよと思っているかもしれませんが、目に見えないからこそ、意識し忘れているかもしれませんので、
社内で何回かその会話をされましたか? 営業活動に活かしましたか?の問いは必要かなと思います。
次回はさらに踏み込みたいと思います。
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
