TECH COLUMN 技術コラム

4.製造プロセスの全体像
4-11. パッケージング技術(Packaging Technology)

材料・加工技術

公開日:

【1】パッケージングとは何か

パッケージング(封止)は、前工程で完成したシリコンチップを使える状態に仕上げる工程

目的は大きく3つ:

1.チップを外部環境から守る(湿度・衝撃)

2.電気的に外部と接続する(入出力端子)

3.熱を逃がして安定動作させる

つまり、「裸のチップ(Die)」を製品として機能させる最終加工」 にあたる。

【2】パッケージングが必要な理由

近年は微細化が進むほど、

 ● 薄い

 ● もろい

 ● 発熱が大きい

 ● 配線が密集

 ● 電流が増加 と難易度が急上昇。

そのため、パッケージングは、チップ性能を最大限引き出す第2の設計思想と言われる。

【3】主要なパッケージング方式

●(1)ワイヤボンディング(Wire Bonding)

昔から使われる標準方式。
チップ上のパッドとリードフレームを金線などで接続する。

特徴:

 ・ 安い・確実・成熟技術

 ・ メモリ、MCUなど量産向け

 ・ ただし配線長が長く高速信号には不利(遅延・ノイズ)

 

●(2)フリップチップ(Flip-Chip)

チップ上にバンプを形成し、裏返して基板に直接接続。

特徴:

 ・ 配線が短く高速

 ・ 熱を逃がしやすい

 ・ 多端子・高性能デバイス向け(CPU / GPU / ASIC)

 ・ コストや実装難易度は高い

ハイエンド半導体の標準方式。

 

●(3)BGA / QFN などモールド型パッケージ

樹脂で封止したコスト型パッケージ。

例:

 ・ BGA(Ball Grid Array)

 ・ QFN(Quad Flat No-lead)

 ・ SOP / DIP(古典的方式)

特徴:

 ・ 小型・安価

 ・ モバイル機器に最適

 ・ チップ単体は保護されるが熱は逃がしにくい

 

●(4)Fan-out / Fan-in パッケージ(FOWLP)

近年トレンドの高密度パッケージ。

■ Fan-out(InFO, eWLB)

チップの外側に配線を広げる方式。

特徴:

 ・ 薄型

 ・ チップサイズ以上に配線を展開

 ・ Apple Aシリーズなどに採用

■ Fan-in

チップ内に配線を収める方式。
スマホ用PMICなど、小型重視の用途で使用。

 

●(5)2.5D / 3Dパッケージ(CoWoS, HBMなど)

AI・データセンター時代の主役。

■ 2.5D(シリコンインターポーザ)

 ・ 複数チップを1枚のSiブリッジ上で配線

 ・ 代表例:TSMC CoWoS

 ・ HBM(高帯域メモリ)+ロジックの組み合わせが代表

■ 3Dパッケージ

 ・ TSV(Through Silicon Via)を使い、上下に積層

 ・ 距離が最短で高速

 ・ ただしコスト・熱対策が非常に難しい

AIサーバ向けGPUで爆発的に需要が伸びている。

【4】熱(Thermal)・EMI・信頼性の設計ポイント

パッケージングは 熱・電気・機械の総合技術 である。

代表的な課題:

●熱対策(Thermal)

 ・ 大電流化により発熱増加

 ・ TIM(熱インターフェース材料)

 ・ ヒートスプレッダ

 ・ 放熱基板(メタルコアなど)

●EMI(電磁ノイズ)

 ・ 高速化でノイズ干渉が増大

 ・ シールド構造が重要

 ・ 樹脂封止内部の金属粒子管理

●機械的信頼性

 ・ 温度サイクル

 ・ はんだクラック

 ・ ワイヤ断線

 ・ モールド樹脂の剥離

パッケージの信頼性が低いと最終製品全体の故障率が跳ね上がる

【5】パッケージの材料構成

代表的な材料:

 ・ 基板(BT、ABF、セラミック)

 ・ はんだボール(SnAgCu系)

 ・ バンプ(Cu / Ni / Sn)

 ・ モールド樹脂(エポキシ)

 ・ アンダーフィル(フリップチップ用)

 ・ TIM(熱インターフェース材料)

材料開発は急速に進化しており、特にABF基板は半導体の戦略物資と呼ばれる。

【6】最新トレンド

 ・ HBM+ロジックの2.5D構造(AI時代の主流)

 ・ Chipletアーキテクチャ(AMD、Intel、Apple)

 ・ 熱拡散構造の複雑化

 ・ 樹脂の低誘電率化

 ・ ウォーターフリー工法

 ・ 超薄チップ向け応力制御技術

パッケージ技術が 半導体の性能を左右する時代 になっている。

【7】まとめ

 ・ パッケージングはチップを保護し、外部と接続する最終工程

 ・ ワイヤボンド・フリップチップが基本

 ・ Fan-out や 2.5D/3D は高性能向け

 ・ 熱・EMI・信頼性が大きな設計課題

 ・ AI・HPCで高密度パッケージの需要が爆発している

【理解チェック】

1.ワイヤボンディングとフリップチップの最大の違いは?

2.Fan-out パッケージがスマホ用途で人気な理由は?

3.HBMが2.5Dパッケージと組み合わせられる理由を説明してください。

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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