TECH COLUMN 技術コラム

4.製造プロセスの全体像
4-15. EUV・真空・プラズマなど装置技術(Advanced Equipment Technologies)

材料・加工技術

公開日:

【1】装置技術が重要な理由

半導体製造は、材料 × プロセス × 装置 の掛け算で成り立つ産業。

その中でも装置は、

● 微細化(2nm→1nm)

● 3D構造(FinFET→GAA)

● 高アスペクト比(100:1以上)

● 新材料(High-k、Low-k)

● 高密度配線 などの要求を実現する最も重要な基盤。

技術進化の限界は、装置技術の限界で決まる と言っても過言ではない。

【2】EUV露光(Extreme Ultraviolet Lithography)

(1)EUVとは

EUVリソグラフィは波長13.5nmの光を使う露光技術。

従来のArF(193nm)より非常に短い波長であり、微細化の鍵を握る究極のリソグラフィ装置。

 

(2)EUVの構造と特徴

EUV装置は世界で最も複雑な装置の一つ:

 ・ レーザーでSn(スズ)をプラズマ化 → EUV光を生成

 ・ 反射率の低い光のため、すべて“反射光学系”

 ・ 反射鏡はMo/Si多層膜(100層以上)

 ・ 真空環境が必須

 ・ マスクも反射型(EUV mask)

1台 300〜400億円 と超高額。

 

(3)EUVの課題

 ・ マスク欠陥(Mask Defect)

 ・ Stochastic effect(確率的欠陥)

 ・ 光源出力不足

 ・ 露光スループットの限界

 ・ 高NA化による鏡面加工精度要求の上昇

特に確率的欠陥は、写真現像と同じように粒状ノイズが結果を左右する ため厄介。

 

(4)高NA EUV(0.55NA)

次世代の主役。

 ・ 解像度が大幅向上

 ・ 1nm台のパターニングに必須

 ・ しかし装置サイズは巨大化(高さ=バス2台分)

 ・ マスクブラー(Mask 3D Effect)が深刻化

IntelとASMLが初導入する予定。

【3】真空技術(Vacuum Technology)

微細加工はほとんどが真空下で行われる。

真空が必要な理由

 ● 気体分子の衝突を避ける

 ● 反応ガスの純度を上げる

 ● プラズマ安定性の向上

 ● 膜堆積の均一化

 ● 表面汚染の防止

真空ポンプ、配管、シール技術は非常に重要。

 

代表的なプロセスと真空の関係

 ● CVD → 低圧(LPCVD)

 ● PVD → 高真空

 ● ALD → 超高真空・精密ガス制御

 ● イオン注入 → 高真空

 ● EUV → 極高真空(10⁻⁶ Paレベル)

真空の品質が直接歩留まりに影響する。

【4】プラズマ技術(Plasma Technology)

プラズマは、エッチング、成膜、表面処理の主役

 

(1)プラズマとは

電子・イオン・中性粒子が混ざった「電離ガス」。

特性:

 ・ 高エネルギー反応

 ・ 表面化学を自在に制御

 ・ 反応の選択性が高い

 ・ 温度を上げずに加工できる

 

(2)プラズマエッチング

特徴:

 ・ 異方性加工(サイドウォールが垂直)

 ・ 高アスペクト比対応(100:1 超)

 ・ 選択性の制御

 ・ プラズマダメージを最小化する工夫が重要

AIチップの溝形状やTSV形成に不可欠。

 

(3)プラズマ成膜(PECVD等)

用途:

 ・ SiO₂

 ・ SiN

 ・ Low-k材料

 ・ パッシベーション膜

プラズマ特性(周波数、パワー、ガス組成)が膜質を決める。

 

(4)プラズマの最新技術

 ・ 原子層堆積用プラズマ

 ・ ダメージレスエッチング

 ・ 低エネルギーイオン制御

 ・ 高密度プラズマ(ICP)

 ・ プラズマ中の電荷ダメージ制御

装置メーカーのコア技術領域となっている。

【6】ガス制御・薬液制御技術

●ガス制御

 ・ MFC(Mass Flow Controller)

 ・ プレカーサ(ALD/CVD用)

 ・ 反応速度の微細制御

 ・ パーティクル管理

 

●薬液制御

 ・ HF、H₂O₂など高危険材料の管理

 ・ ウェットエッチング

 ・ 洗浄プロセス(SC-1/SC-2など)

ガスと液 の純度が歩留まりを左右する。

【7】装置連携とスマートファブ

工場は装置の集合体で動く。

最近は:

 ・ AI × 装置データ解析(FDC)

 ・ デジタルツインでの装置動作シミュレーション

 ・ 自動搬送システム(AMHS)との連携

 ・ リアルタイムプロセス制御(APC) が標準となりつつある。

装置技術は単体で存在せず、工場全体の最適化(Smart Fab)が必須

【8】最新トレンド

 ・ 高NA EUVの実装

 ・ EUVマスクブラー対策

 ・ Stochastic defect の低減技術

 ・ 超高真空 × プラズマの複合装置

 ・ ALD × エッチングのハイブリッドプロセス

 ・ ガスのクリーン化(pptレベル)

 ・ 装置データのAI解析

特にEUV世代では、装置の限界=微細化の限界 と言えるほど重要性が高い。

【9】まとめ

 ・ EUV、真空、プラズマは先端デバイスの基盤技術

 ・ 装置性能が微細化(2nm → 1nm)を決める

 ・ 真空・温度・ガス制御が歩留まりを左右

 ・ Smart Fab 化が進み、AI活用が必須に

 ・ 装置技術の理解は半導体技術者にとって最重要スキル

【理解チェック】

1.EUV装置で真空環境が必須な理由は?

2.プラズマが半導体加工で使われる主な理由を2つ挙げてください。

3.高NA EUVが必要になる背景を説明してください。

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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