TECH COLUMN 技術コラム

6章:半導体パッケージング技術
6-6. パッケージ信頼性(Reliability)

材料・加工技術

公開日:

半導体の性能がどれだけ高くても、壊れたら終わり なのがパッケージ。

特に先端パッケージでは、
・熱
・機械応力
・材料差
・実装条件
が複雑に絡み合い、信頼性設計そのものが技術力になる。

【1】パッケージ信頼性とは何か

パッケージ信頼性とは、想定された使用環境・期間で、機能を維持できるかを評価・保証する技術分野。

対象となるのは:

・電気的に壊れないか

・機械的に割れないか

・熱で劣化しないか  という、壊れ方のすべてが対象

【2】なぜ先端パッケージで信頼性が難しくなるのか

理由は、

① 材料が増えすぎた

1つのパッケージ内に:

・Siチップ

・Cu配線

・はんだ

・樹脂

・基板 など、熱膨張係数(CTE)が異なる材料が共存。

→ 温度変化で必ず応力が発生。

 

② 高熱密度化

AIチップ・HBMでは、

・局所的に非常に高温

・温度勾配が大きい

→ 応力集中・クラックが起きやすい。

 

③ 微細・高密度構造

・バンプが小さい

・RDLが細い

・TSVが増える

→ わずかな変形でも破壊に直結。

【3】代表的な信頼性試験

●(1)温度サイクル試験(Thermal Cycling)

・低温 ↔ 高温 を繰り返す

・例:-40℃ ↔ 125℃

評価対象:

・はんだ疲労

・クラック

・デラミネーション

もっとも基本かつ重要な試験。

 

●(2)高温動作寿命試験(HTOL)

・高温で電圧をかけ続ける

・長時間動作させる

評価対象:

・配線劣化

・絶縁破壊

・電気的ドリフト

 

●(3)落下・衝撃試験

・スマートフォン用途で重要

・実装後の機械強度を評価

評価対象:

・バンプ割れ

・チップクラック

・基板割れ

 

●(4)湿熱試験(HAST / THB)

・高温・高湿環境での耐性評価

評価対象:

・腐食

・イオンマイグレーション

・樹脂劣化

【4】代表的な故障モード

●  はんだ疲労

・温度サイクルで繰り返し変形

・最終的にクラック発生

 

● デラミネーション

・材料界面の剥離

・熱抵抗増加 → さらなる劣化

 

● バンプ/RDLクラック

・微細化で許容変形量が減少

・Fan-outで顕著

 

● チップ割れ

・厚み低減(Thin Die)

・応力集中が原因

【5】車載用途での信頼性要求

車載(AEC-Q100)では要求が別次元。

特徴:

・使用期間:10〜15年以上

・温度範囲:-40〜150℃以上

・振動・衝撃が多い

・故障=人命リスク

 

そのため:

・材料選定が最優先

・過剰とも思える試験条件

・マージン設計が必須

壊れない設計こそが競争力となる。

【6】信頼性を高める設計・材料の工夫

● アンダーフィル設計

・応力分散

・はんだ寿命延長

 

● 低弾性率材料

・応力緩和

・クラック抑制

 

● パッケージ構造最適化

・バンプ配置

・チップ厚

・RDLレイヤ構

 

● シミュレーション活用

・熱解析

・応力解析

・寿命予測

【7】最新トレンド

・信頼性×設計の同時最適化(Co-design)

・実機試験+シミュレーション併用

・AIによる寿命予測

・HBM・Chiplet向け信頼性指標の再定義

・熱・電気・機械の統合評価

【8】まとめ(6-6)

・パッケージ信頼性は性能と同等に重要

・材料差・熱・微細化が信頼性を難しくする

・温度サイクルが最重要試験

・車載用途は別次元の要求

・設計・材料・解析の総合技術が必要

【理解チェック】

1.なぜ先端パッケージでは信頼性確保が難しくなっているのか?

2.温度サイクル試験が重要視される理由は?

3.車載用途で信頼性要求が特に厳しい理由は何か?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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