【1】ウェハレベル電気特性検査とは何か
ウェハレベル電気特性検査とは、
チップを切り出す前のウェハ状態で、電気特性を測定する検査を指す。
目的は明確で、
・トランジスタが設計通り動いているか
・プロセスばらつきが許容範囲か
・量産に進んでよい状態か を 早い段階で判断すること。
ここで異常を掴めなければ、後工程は賭けになる。
【2】なぜウェハ段階で検査するのか
理由はシンプル。不良は、早く見つけるほど安く止められる。
後工程に進むほど、
・加工コスト
・実装コスト
・テストコスト が積み上がる。
ウェハ段階で止めれば、
・ロスは最小
・原因は追いやすい
・工程修正が早い
E-Testは、工場の損失を最小化する防波堤である。
【3】主に測定される電気特性
ウェハ検査で見るのは、「動く/動かない」ではなく 傾向。
代表例:
・しきい値電圧(Vth)
・リーク電流(Ioff)
・駆動電流(Ion)
・抵抗・容量(R/C)
・トランジスタばらつき
重要なのは、絶対値よりも分布と変化。
平均は合っていても、分布が広ければ量産は危険。
【4】PCM(Process Control Monitor)の役割
E-Testの中核がPCM(プロセス管理用デバイス)。
PCMは、
・製品回路とは別に
・プロセス状態を可視化するために
・意図的に配置された評価構造 である。
役割は:
・工程ごとのズレを検出
・日・ロット・装置差の監視
・SPCデータの基礎
PCMが壊れている工場は、目隠し運転をしているのと同じ。
【5】測定装置と測定の難しさ
ウェハ検査では、
・ウェハプローバ
・高精度プローブカード
・パラメータアナライザ が使われる。
だが難しいのは装置ではない。
・プローブ接触抵抗
・接触位置ずれ
・表面ダメージ
・測定ノイズ
測定そのものが新たなばらつきを生むこともある。
測っているつもりで、壊しているという事故も珍しくない。
【6】E-Testデータはどう使われるか
E-Testの価値は、測った後の使い方>で決まる。
活用例:
・リソグラフィ条件補正
・イオン注入量の微調整
・成膜厚みの最適化
・装置異常の早期検知
E-Testは工程改善の起点データである。
【7】先端プロセスでE-Testが難しくなる理由
微細化が進むほど、E-Testは難しくなる。
理由:
・nm単位の差が特性に直結
・ランダムばらつきの増加
・3D構造で測定点が限定される
・EUV由来の確率的欠陥
測っても原因が一意に決まらない状況が増えている。
そのため、E-Test × 統計 × AI解析が必須になっている。
【8】まとめ(7-2)
・ウェハレベル電気特性検査は最初の関門
・不良は早く止めるほど安い
・絶対値より分布と傾向を見る
・PCMはプロセス管理の要
・先端ノードでは解析力が競争力
【理解チェック】
1.なぜE-Testは後工程テストより重要とされるのか?
2.PCMの役割は何か?
3.平均値が合っていても危険な理由は?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。
