【1】最終電気検査とは何か
最終電気検査とは、パッケージ化された完成チップが、
仕様通り動作するかを確認する検査を指す。
ここで評価されるのは、
・機能が動くか
・規格性能を満たすか
・長時間安定動作するか
つまり、顧客に出荷できるかどうかの最終判定工程。
【2】なぜ最終検査が必要なのか
理由は明確。
パッケージ工程では、
・はんだ接合
・ワイヤ接続
・RDL形成
・モールド封止
など、電気特性に影響する要素が多数追加される。
代表例:
・接続不良(Open / Short)
・接触抵抗増加
・熱歪みによる特性変動
・パッケージ起因のリーク
ウェハでは正常でも、パッケージ後に不良化するケースは多い。
【3】主な検査項目
最終電気検査では、機能と性能を総合的に評価する。
代表例:
・DC特性(電流・電圧)
・AC特性(動作周波数)
・消費電力
・入出力動作
・タイミング特性
特にロジックデバイスでは、動作スピードと安定性が重要指標。
【4】バーンイン試験との関係
最終検査とセットで行われるのがバーンイン(Burn-in)試験。
これは、
・高温
・通電状態
・長時間
で動作させ、初期不良を強制的に顕在化させる試験。
目的は、
・早期故障品の排除
・フィールド故障の未然防止
特に車載・サーバー用途では必須。
【5】テスト装置(ATE)の役割
最終検査は、ATE(Automated Test Equipment)
と呼ばれる自動検査装置で行われる。
役割:
・高速信号印加
・電圧・電流測定
・周波数特性評価
・機能テスト
先端ロジックでは、
・数千ピン同時測定
・GHz帯信号評価
が必要になり、ATE自体が超高額装置となる。
【6】テスト時間とコストのトレードオフ
最終検査の難しさはここにある。
・測定項目を増やす → 品質は上がる
・しかし → テスト時間が延びる
・結果 → コスト増加
そのため、どこまで測るかの設計(Test Coverage設計)が極めて重要。
検査不足 → 不良流出
検査過多 → 収益悪化
ここは工場の戦略判断でもある。
【7】先端デバイスでの最終検査の難易度
先端チップほど検査は難しくなる。
理由:
・ピン数増加(数千I/O)
・高速化(GHz帯)
・消費電力増大
・発熱増加
AIチップ・GPUでは、テスト中に発熱暴走するという新たな課題もある。
そのため、
・熱制御付きATE
・電力制限テスト
・並列テスト最適化 などが導入されている。
【8】まとめ(7-3)
・最終電気検査は出荷可否の最終判定
・パッケージ工程起因の不良を検出
・機能・性能・安定性を総合評価
・バーンインで初期故障を排除
・テスト時間とコストの設計が重要
【理解チェック】
1.ウェハ検査合格でも最終検査が必要な理由は?
2.バーンイン試験の目的は何か?
3.ATEが高額化している理由を1つ挙げよ。
4.テスト時間を延ばしすぎると何が問題になるか?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

