TECH COLUMN 技術コラム

7章:検査・評価技術(Inspection & Characterization)
7-3. 最終電気検査(Final Test / FT)

材料・加工技術

公開日:

ウェハ検査を通過しても、それだけで「良品」とは言えない。
半導体は、
• ダイシング
• 実装
• パッケージング
• はんだ接合
と工程を重ねるほど、新たな不良が発生する可能性がある。
その最終確認が、最終電気検査(Final Test) である。

【1】最終電気検査とは何か

最終電気検査とは、パッケージ化された完成チップが、

仕様通り動作するかを確認する検査を指す。

 

ここで評価されるのは、

・機能が動くか

・規格性能を満たすか

・長時間安定動作するか

つまり、顧客に出荷できるかどうかの最終判定工程

【2】なぜ最終検査が必要なのか

理由は明確。

パッケージ工程では、

・はんだ接合

・ワイヤ接続

・RDL形成

・モールド封止

など、電気特性に影響する要素が多数追加される。

 

代表例:

・接続不良(Open / Short)

・接触抵抗増加

・熱歪みによる特性変動

・パッケージ起因のリーク

ウェハでは正常でも、パッケージ後に不良化するケースは多い。

【3】主な検査項目

最終電気検査では、機能と性能を総合的に評価する。

代表例:

・DC特性(電流・電圧)

・AC特性(動作周波数)

・消費電力

・入出力動作

・タイミング特性

特にロジックデバイスでは、動作スピードと安定性が重要指標。

【4】バーンイン試験との関係

最終検査とセットで行われるのがバーンイン(Burn-in)試験

 

これは、

・高温

・通電状態

・長時間

で動作させ、初期不良を強制的に顕在化させる試験。

 

目的は、

・早期故障品の排除

・フィールド故障の未然防止

特に車載・サーバー用途では必須。

【5】テスト装置(ATE)の役割

最終検査は、ATE(Automated Test Equipment)

と呼ばれる自動検査装置で行われる。

 

役割:

・高速信号印加

・電圧・電流測定

・周波数特性評価

・機能テスト

先端ロジックでは、

・数千ピン同時測定

・GHz帯信号評価

が必要になり、ATE自体が超高額装置となる。

【6】テスト時間とコストのトレードオフ

最終検査の難しさはここにある。

・測定項目を増やす → 品質は上がる

・しかし → テスト時間が延びる

・結果 → コスト増加

そのため、どこまで測るかの設計(Test Coverage設計)が極めて重要。

検査不足 → 不良流出
検査過多 → 収益悪化

ここは工場の戦略判断でもある。

【7】先端デバイスでの最終検査の難易度

先端チップほど検査は難しくなる。

理由:

・ピン数増加(数千I/O)

・高速化(GHz帯)

・消費電力増大

・発熱増加

AIチップ・GPUでは、テスト中に発熱暴走するという新たな課題もある。

 

そのため、

・熱制御付きATE

・電力制限テスト

・並列テスト最適化 などが導入されている。

【8】まとめ(7-3)

・最終電気検査は出荷可否の最終判定

・パッケージ工程起因の不良を検出

・機能・性能・安定性を総合評価

・バーンインで初期故障を排除

・テスト時間とコストの設計が重要

【理解チェック】

1.ウェハ検査合格でも最終検査が必要な理由は?

2.バーンイン試験の目的は何か?

3.ATEが高額化している理由を1つ挙げよ。

4.テスト時間を延ばしすぎると何が問題になるか?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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