TECH COLUMN 技術コラム

7章:検査・評価技術(Inspection & Characterization)
7-5. 非破壊検査(X-ray / SAT / CT)

材料・加工技術

公開日:

半導体の不良は、外から見えない場所で起きることが多い。
はんだ内部、バンプ接合部、モールド内部
これらは光学顕微鏡では確認できない。
しかし、壊れた後では遅い。
そこで使われるのが、非破壊検査(Non-Destructive Inspection)。
製品を壊さず、内部状態を可視化する技術である。

【1】非破壊検査とは何か

非破壊検査とは、チップやパッケージを破壊せずに、内部構造・欠陥を評価する検査技術を指す。

対象は主に:

・はんだ接合部

・バンプ内部

・TSV

・ワイヤ接合

・モールド樹脂内部

・基板接合界面

つまり、先端パッケージほど重要度が高い検査

【2】なぜ非破壊検査が必要なのか

理由はシンプル。

内部欠陥は、

電気検査では検出できないことがある。

例:

・ボイド(空隙)

・未接合

・クラック

・剥離

・フィラー偏在

初期は正常動作しても、

・熱負荷

・電流ストレス

・温度サイクルで急速に劣化する。

非破壊検査は、将来壊れる不良を先に見つける技術

【3】X-ray検査(透視検査)

最も一般的な非破壊検査。

>原理

X線を照射し、透過率の違いで内部構造を可視化。

観察できる欠陥

・はんだボイド

・ショート

・オープン

・ワイヤ位置ズレ

・TSV内部欠陥

特に、はんだ接合評価では必須装置

【4】CT検査(X-ray CT)

X-rayの発展版。

特徴

・多方向から撮影

・3D再構築

・内部断面を自由に観察

観察可能:

・微細ボイド

・バンプ内部クラック

・TSV壁面欠陥

・3D積層界面

2Dでは見えない欠陥を可視化できる。

【5】SAT(超音波探傷:Scanning Acoustic Tomography)

音波を使った内部検査。

原理

・超音波を照射

・反射波を解析

・界面状態を可視化

特に得意なのは:

・デラミネーション

・樹脂剥離

・アンダーフィル空隙

・モールド内部欠陥

樹脂系欠陥検出ではX-rayより高感度

【6】各検査手法の得意領域

非破壊検査は、用途ごとに使い分ける

例:

・はんだボイド → X-ray

・微細内部構造 → CT

・界面剥離 → SAT

・3D積層欠陥 → CT+SAT

単独ではなく、複合評価が基本。

【7】先端パッケージでの重要性

先端パッケージでは、非破壊検査の重要度が急上昇している。

理由:

・HBM積層

・TSV構造

・Chiplet接合

・超微細バンプ

内部欠陥が性能・寿命に直結。

しかも、分解して調べると意味がない(壊してしまうため)。

非破壊検査は、量産信頼性を担保する唯一の手段でもある。

【8】非破壊検査の限界と課題

万能ではない。

課題:

・解像度限界

・金属遮蔽

・観察角度制約

・装置コスト

・検査時間

微細化が進むほど、見たい欠陥が見えないという問題も増える。

そのため、AI画像解析や3D再構成技術が進化している。

【9】まとめ(7-5)

・非破壊検査は内部欠陥を可視化する技術

・壊さず評価できる点が最大の価値

・X-ray、CT、SATを用途で使い分ける

・先端パッケージでは不可欠

・微細化に伴い解析技術も進化中

【理解チェック】

1.非破壊検査が必要とされる理由は?

2.X-rayとSATの得意領域の違いは?

3.CT検査が2D透視より優れる点は?

4.先端パッケージで非破壊検査が重要な理由は?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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