TECH COLUMN 技術コラム

7章:検査・評価技術(Inspection & Characterization)
7-6. 故障解析(Failure Analysis / FA)

材料・加工技術

公開日:

不良が出たとき、最も危険なのは
「原因が分からないまま量産を続けること」
半導体は、
• 微細
• 多層
• 多材料 で構成されるため、
表面の症状と内部原因が一致しない。
だからこそ必要なのが、故障解析(Failure Analysis:FA)
不良の真因を特定し、再発防止につなげる技術である。

【1】故障解析とは何か

故障解析とは、

不良品を詳細に調査し、故障メカニズムと発生原因を特定する技術を指す。

 

目的は3つ:

・不良原因の特定

・再発防止策の立案

・設計・工程改善

つまり、品質保証の最終砦

【2】故障解析が必要になる場面

主なトリガーは以下:

・電気検査NG

・信頼性試験NG

・市場故障

・初期不良多発

・歩留まり悪化

特に市場故障は重大。

リコールやブランド毀損に直結する。

【3】故障解析の基本フロー

FAは体系的に進める。

① 症状確認

 電気特性・不良モード把握

② 外観観察

 顕微鏡・SEMで外観確認

③ 非破壊検査

 X-ray / SAT / CT

④ 局所特定

 故障箇所の絞り込み

⑤ 破壊解析

 研磨・断面作製

⑥ 材料・構造解析

 成分・結晶・界面評価

⑦ 原因仮説 → 検証

【4】代表的な解析手法

●(1)光学顕微鏡(OM)

最初の基本観察。

・ワイヤ断線

・焼損

・クラック

・汚染

 

●(2)SEM(走査電子顕微鏡)

高倍率観察。

・バンプクラック

・金属粒界

・電食痕

・微細破壊面

 

●(3)FIB(集束イオンビーム)

局所断面作製。

・TSV内部

・RDL断面

・微細界面

nmレベルで構造確認可能。

 

●(4)EDX / 元素分析

材料成分を特定。

・異物混入

・金属拡散

・酸化状態

 

●(5)OBIRCH / TIVA

通電状態で故障点検出。

・リーク箇所特定

・ショート位置特定

先端ロジック解析で必須。

【5】パッケージ特有の故障モード

パッケージでは、構造起因の故障が多い。

代表例:

・はんだクラック

・ボイド起因断線

・デラミネーション

・ワイヤ剥離

・バンプ未接合

特にFan-out、HBMでは、

RDL・TSV関連不良が増加。

【6】故障解析の難しさ

FAは簡単ではない。

理由:

・不良が再現しない

・破壊で証拠が消える

・多層構造で特定困難

・複合要因が多い

つまり、「推理」と「実験」の融合技術

【7】先端パッケージ時代のFA進化

AI・Chiplet時代では、FAも進化している。

例:

・3D断面解析

・非破壊+破壊併用

・AI画像解析

・in-situ観察

単なる故障特定ではなく、設計改善フィードバック装置として機能し始めている。

【8】量産との関係

故障解析は、量産と直結する。

影響領域:

・歩留まり改善

・工程条件最適化

・材料変更判断

・設計ルール更新

FAが弱い企業は、歩留まりが上がらない。

【9】まとめ(7-6)

・故障解析は不良原因特定技術

・品質保証の最終防衛線

・非破壊 → 破壊解析で進行

・パッケージは構造不良が多い

・量産歩留まりと直結する

【理解チェック】

1.故障解析の最終目的は何か?

2.非破壊検査と破壊解析の役割の違いは?

3.パッケージ特有の故障モードには何があるか?

4.なぜFAは歩留まり改善と直結するのか?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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