たとえば蒸気機関の普及によって、多くの肉体労働が機械に置き換わった一方で、機械技師、工場管理者、鉄道技術者などの新たな職業が生まれた。
同様に、コンピュータの普及は事務作業を自動化したが、代わりにソフトウェア開発やIT関連職が急成長した。
だが、生成AIはこれまでの技術革新とは本質的に異なる。
それは、「知的労働」や「創造的思考」さえも代替可能であるという点だ。
これまでGAFAのような巨大IT企業は、各国に新たな雇用を生み出してきた。
しかし、生成AIの進化は、「そもそも人間は必要なのか?」という、より根源的な問いを突きつけてくる。
仮に、生成AIが人間の大半の労働を肩代わりするようになれば、「人間は余暇を楽しめばいい」という社会の到来も考えられる。
だがそのとき、「人間をそもそも生かしておくのか?」という問いの答えを握るのは、人間なのか?それともAIなのか?
支配構造の逆転という概念も、いよいよ現実味を帯びてくる。
AIが人間の脳にダイレクトにつながった瞬間、支配の主導権は完全にAIに移る――
そんな未来像に、私は映画『マトリックス』の影響を受けすぎているのだろうか。
それでも、私はこう思う。
たとえ脳とAIがつながる未来が訪れたとしても、「自分で考える」ことをやめない。
それこそが、人類の粘り強さであり、そして、そこからこそ、新たな進化が生まれるのだと思う。
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角本康司