生成AIが誰でも無償で使えるという事実は、想像以上に大きなインパクトをもたらしている。
特に、DeepSeek(中国発のLLM)の登場によって、米中の技術競争は新たなフェーズに突入した。
今後は、規制強化や価格の高騰といった“制限”が現実化する可能性が高まり、日本においても、「どのAIを使うか?」という選択以前に、
「そもそも将来にわたって、私たちは自由に生成AIを使い続けられるのか?」という、より根源的な問いと向き合う必要が出てくる。
この競争の激化は、Ray Kurzweilが提唱した2045年の「シンギュラリティ(技術的特異点)」の到来を前倒しさせる可能性を孕んでいる。
実際、日常生活や仕事の現場でも、すでに「人間を超えてきた」と感じさせるAIの能力に触れる機会は増えてきた。
さらに、量子コンピュータの実用化が進めば、現在の暗号技術やセキュリティの基盤そのものが無力化する可能性もある。
金融、国家安全保障、個人情報保護といった重要分野において、これまでとは根本的に異なる倫理観と制度設計が求められる時代が、いよいよ現実のものとして近づいている。
だからこそ、今、必要なのは「恐れること」ではなく、「正面から向き合い、主体的に使いこなす力」だ。
生成AIという圧倒的なツールの進化が続く今こそ、私たち一人ひとりが「人間としての強み」と「創造性とは何か」を見つめ直す、またとないタイミングなのではないだろうか。
技術の波に翻弄されるのではなく、波の先頭に立ち、「共創のパートナー」としてAIと向き合う、そんな覚悟と希望が、これからの時代には必要だ。
そのために、今、私たちに求められる行動は、次の3つに集約される。
1. AIの補完領域を見極め、人間にしかできない価値創造を明確にすること
2. 創造性や意匠といったAIが生み出すコンテンツに対し、人間が適切に「価値付け」する力を磨くこと
3. 日本として、AI活用のルール整備と方向性を国家レベルで早急に明示すること
技術の進化を止めることはできない。
しかし、その進化を「人間の可能性を最大化するために活かす」ことができるかどうかは、私たちの意思と行動にかかっている。
未来を恐れるのではなく、自らの意志で、その先端を走ろう。
それが、「AI時代の人間」に与えられた使命なのかもしれない。
オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.
角本康司