日本で評価されていたやり方。
日本では結果が出ていた判断。
日本では当たり前だった常識。
それらが、驚くほどあっさり通じない。
言葉の問題だけじゃない。
商習慣、意思決定のスピード、責任の取り方、感覚まで違う。
だから、成功体験そのものは、国境を越えない。という自覚を持つ必要があるのだろう。
持っていけるのは、成功したやり方ではなく、成功まで辿り着いた考え方だけなのだと思う。
海外では、前は日本でこうやってうまくいったは、ほぼ意味を持たない。
むしろ、それはここでも通用するのか?と、毎回ゼロベースで問うぐらいの感覚が必要だろう。
成功体験は、自信にはなる。
でも同時に、環境が変わった時の判断を鈍らせる。邪魔をする。
特に怖いのは、過去の成功を再現しようとした瞬間。
市場も、文化も、ルールも違うのに、同じ形をなぞろうとする。
それはもう、経験ではなく、執着に近いだろう。
海外で生き残る人は、成功体験を語る人ではなく、
成功体験をあっさり捨てられる人なのではないだろうか。
・やり方を変える
・前提を疑う
・自分の立ち位置を下げる
この柔らかさがないと、一気に取り残される。
海外経験を通じて、一番学んだのはここかもしれない。
本当に役に立つのは、うまくいった記憶ではなく、うまくいかなくなった時の再設計力ともいえるか。
成功体験は、持ち運べる荷物じゃない。
持ち運べるのは、問い続ける姿勢と、変わり続ける覚悟だけ。
昨日の正解に敬意を払いながら、それを手放す準備をしておく覚悟が重要だろう。
これは「海外」という大きな主語を使って書いたが、本当は、日本の中でも同じだろう。
転職先が変わる。
顧客が変わる。
働く場所が変わる。
付き合う人が変わる。
実は主語を何に置き換えても、同じことが当てはまる。
違う環境では、過去の成功体験は、思っていたほど役に立たない。
その自覚を持つことが、何より重要なのだろう。
ただ、この教訓自体が、実は過去の成功体験から来ている気もする。
だから、あえて「思ってたほど」という言葉を付け加えている。
オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.
角本康司
