第66話:成功体験は、思ってたほど役に立たない。

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海外で仕事をするようになって、最初に感じたのは自分が思う正解が通用しないという感覚だった。

日本で評価されていたやり方。

日本では結果が出ていた判断。

日本では当たり前だった常識。

それらが、驚くほどあっさり通じない。

 

言葉の問題だけじゃない。

商習慣、意思決定のスピード、責任の取り方、感覚まで違う。

 

だから、成功体験そのものは、国境を越えない。という自覚を持つ必要があるのだろう。

 

持っていけるのは、成功したやり方ではなく、成功まで辿り着いた考え方だけなのだと思う。

 

海外では、前は日本でこうやってうまくいったは、ほぼ意味を持たない。

むしろ、それはここでも通用するのか?と、毎回ゼロベースで問うぐらいの感覚が必要だろう。

 

成功体験は、自信にはなる。

でも同時に、環境が変わった時の判断を鈍らせる。邪魔をする。

 

特に怖いのは、過去の成功を再現しようとした瞬間。

市場も、文化も、ルールも違うのに、同じ形をなぞろうとする。

それはもう、経験ではなく、執着に近いだろう。

 

海外で生き残る人は、成功体験を語る人ではなく、

成功体験をあっさり捨てられる人なのではないだろうか。

 

・やり方を変える

・前提を疑う

・自分の立ち位置を下げる

この柔らかさがないと、一気に取り残される。

 

海外経験を通じて、一番学んだのはここかもしれない。

 

本当に役に立つのは、うまくいった記憶ではなく、うまくいかなくなった時の再設計力ともいえるか。

 

成功体験は、持ち運べる荷物じゃない。

持ち運べるのは、問い続ける姿勢と、変わり続ける覚悟だけ。

昨日の正解に敬意を払いながら、それを手放す準備をしておく覚悟が重要だろう。

 

これは「海外」という大きな主語を使って書いたが、本当は、日本の中でも同じだろう。

転職先が変わる。

顧客が変わる。

働く場所が変わる。

付き合う人が変わる。

実は主語を何に置き換えても、同じことが当てはまる。

 

違う環境では、過去の成功体験は、思っていたほど役に立たない。

その自覚を持つことが、何より重要なのだろう。

 

ただ、この教訓自体が、実は過去の成功体験から来ている気もする。

だから、あえて「思ってたほど」という言葉を付け加えている。

 

オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.

角本康司

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