少し時間があると、ついフライパンを振りたくなる。
元々、チャーハンは外で食べるのも大好きだ。
うちの中国の社員に「角本の大好物は?」と聞けば、たぶん全員が「チャーハン」と答えると思う。
そのくらい好きだし、短時間で摂取できる完全栄養食の位置づけだ。
もはや、数十種類のチャーハンで私の身体の半分はできていると言っても過言ではない。
残りは、カレー・ビリヤニ・トンカツだろう。
しかし、不思議である。
なぜ男は、ここまでチャーハンに惹かれるのか。
一人暮らし経験のある男性にこの話をすると、かなりの確率で「わかる」と返ってくる。
パラパラという言葉にロマンを感じているのか。
黒いフライパンの上で、卵の黄色と米粒が踊る景色が見たいだけなのか。
いまだに答えはわからない。
ただ、最近思ったことがある。
チャーハンには、完璧な正解がない。
火力。油。卵。ご飯の水分。混ぜる速度。
同じ材料でも、昨日と今日で結果が変わる。
今日は完璧だと思った次の日に、普通に失敗することだ。
だから、悔しくて、またやりたくなる。
これ、少し仕事に似ている気がする。
製造業の開発試作段階と同じで、条件を揃えたつもりでも、なぜか微妙にズレる。
材料も違う。
環境も違う。
だから開発の現場は、毎日、ほんの少しずつ調整している。
そして、その微調整の積み重ねが、最終的には品質の差やノウハウになる。
逆に言えば、一回うまくいったから、もう大丈夫と思った瞬間から、ズレ始める。
チャーハンも、仕事も、たぶん終わりがない。
そして、パラパラにできなかった日のダメージは、意外と重い。
誰にも怒られていない。
損失も出ていない。
世界は何も変わっていない。
それなのに、「今日はダメだった…」という感情だけが、
ボディーブローのように静かに効いてくる。
でも、たぶんそれでいい。
簡単に完成しないから、
人は工夫する。
簡単に正解にならないから、
人は面白がれる。
だから今日もまた、
フライパンを振っている。
ミクロな火加減で、今日もマクロな感動を目指しているのかもしれない。
オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.
角本康司
