第93話:チャーハンにハマる男の行き先

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男は、定期的にチャーハンにハマる生き物だと言ったら、言い過ぎだろうか。
現在、私には、第三次チャーハン作りムーブメントが来ている。

少し時間があると、ついフライパンを振りたくなる。

 

元々、チャーハンは外で食べるのも大好きだ。

うちの中国の社員に「角本の大好物は?」と聞けば、たぶん全員が「チャーハン」と答えると思う。

そのくらい好きだし、短時間で摂取できる完全栄養食の位置づけだ。

 

もはや、数十種類のチャーハンで私の身体の半分はできていると言っても過言ではない。

残りは、カレー・ビリヤニ・トンカツだろう。

 

しかし、不思議である。

 

なぜ男は、ここまでチャーハンに惹かれるのか。

 

一人暮らし経験のある男性にこの話をすると、かなりの確率で「わかる」と返ってくる。

 

パラパラという言葉にロマンを感じているのか。

黒いフライパンの上で、卵の黄色と米粒が踊る景色が見たいだけなのか。

 

いまだに答えはわからない。

 

ただ、最近思ったことがある。

チャーハンには、完璧な正解がない。

 

火力。油。卵。ご飯の水分。混ぜる速度。

同じ材料でも、昨日と今日で結果が変わる。

今日は完璧だと思った次の日に、普通に失敗することだ。

 

だから、悔しくて、またやりたくなる。

 

これ、少し仕事に似ている気がする。

製造業の開発試作段階と同じで、条件を揃えたつもりでも、なぜか微妙にズレる。

 

材料も違う。

環境も違う。

 

だから開発の現場は、毎日、ほんの少しずつ調整している。

そして、その微調整の積み重ねが、最終的には品質の差やノウハウになる。

 

逆に言えば、一回うまくいったから、もう大丈夫と思った瞬間から、ズレ始める。

 

チャーハンも、仕事も、たぶん終わりがない。

 

そして、パラパラにできなかった日のダメージは、意外と重い。

 

誰にも怒られていない。

損失も出ていない。

世界は何も変わっていない。

 

それなのに、「今日はダメだった…」という感情だけが、

ボディーブローのように静かに効いてくる。

 

でも、たぶんそれでいい。

 

簡単に完成しないから、

人は工夫する。

 

簡単に正解にならないから、

人は面白がれる。

 

だから今日もまた、

フライパンを振っている。

 

ミクロな火加減で、今日もマクロな感動を目指しているのかもしれない。

 

オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.

角本康司

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