あそこで交代は早すぎた。
いや、遅すぎた。
なんでエースを下げたんだ。
試合が終われば、みんな評論家になる。怖い怖い。
でも、監督が交代ボードを上げる瞬間には、未来は誰にも見えていない。
あと5分で点を取るかもしれない。
逆に、その5分で足が止まり、失点するかもしれない。
情報は足りない。時間もない。
それでも、決めなければならない。
ドラッカーは、意思決定とは正しい答えを選ぶことではなく、不確実な中で判断することだと教えてくれた。
実際、経営も同じで、
設備投資をするか。
新しい市場へ挑戦するか。
人事を変えるか。
撤退するか。
すべての情報がそろってから決めようと思えば、その頃には試合が終わっている。
だから、経営者は決める。決めなければならない。
そして、決めた後に、その判断を正解へ近づける努力を続ける。
私は、社長になって思った、わかったのは、
決断することより、決断しないことの方が怖い。
決断には失敗がある。
でも、決断しなければ、未来は何も変わらない。
ワールドカップの監督も、会社の社長も、拍手されるために交代ボードを上げるわけではない。
チームが勝つ確率を、1%でも高めるために上げる。
だから私は、監督が交代ボードを持った瞬間、
あの人は、選手を替えているのではない、未来を選びにいっているのだ、と思うようにしている。
試合が終わってから、ああすれば良かった、こうすれば良かったと言うのは、誰にでもできる。
でも、その瞬間に決断を下す人こそ、一番真剣に未来と向き合っているのは事実である。
その決断に敬意を払いながらワールドカップを見た方が楽しいよと思う。
オーティス株式会社 OTIS Co.,Ltd.
角本康司
