TECH COLUMN 技術コラム

3. 半導体デバイスの基本構造と動作原理
3-8. メモリデバイスの基本構造と種類

材料・加工技術

公開日:

【1】はじめに

メモリ(Memory)とは、情報を一時的または永続的に保持する半導体デバイスです。
CPUが「頭脳」なら、メモリは「記憶装置」。
どんなに高性能なプロセッサでも、メモリが遅ければ処理は止まります。

【2】メモリの分類(揮発性/不揮発性)

メモリは、電源を切ったときに情報が残るかどうかで大きく2つに分かれます。

 ● 揮発性メモリ(Volatile Memory)
   → 電源を切るとデータが消える。高速で主記憶に使われる。
    例:DRAM、SRAM

 ● 不揮発性メモリ(Non-Volatile Memory)
   → 電源を切ってもデータが保持される。
    例:フラッシュメモリ(NAND/NOR)、ROM、EEPROM

【3】SRAM(Static RAM)の構造と特徴

・6個のトランジスタ(4個のMOS+2個のアクセスMOS)で1ビットを構成。
・電荷を保持し続けるため、リフレッシュ(再書込み)が不要。
・動作が速く、キャッシュメモリなどに使用される。
・欠点:セル面積が大きく、高コスト。

用途:CPU内キャッシュ、FPGA内バッファ、GPU内部レジスタ。

【4】DRAM(Dynamic RAM)の構造と特徴

・1個のトランジスタ+1個のキャパシタ(コンデンサ)で1ビットを構成。
・電荷の漏れにより情報が消えるため、定期的なリフレッシュが必要。
・高密度で大容量化が容易。
・SRAMより遅いが、低コストでメインメモリに最適。

用途:PC・スマートフォンのメインメモリ、サーバー用DIMM。

【5】ROM(Read Only Memory)

・製造時に内容を書き込む「読み出し専用」メモリ。
・プログラムやファームウェアを格納する用途に使用。
・一度書き込むと変更できないが、高い信頼性を持つ。

 

種類:

 ● Mask ROM:製造工程で内容を固定。

 ● PROM:ユーザーが1回だけ書き込み可能。

【6】EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)

・電気的にデータを消去・再書込みできるROM。
・フラッシュメモリの原型となる技術。
・データ保持期間が長く、消去耐性も高い。

用途:マイコンの設定保存、ICカード、センサー補正値記録。

【7】フラッシュメモリ(Flash Memory)

フラッシュメモリは、不揮発性メモリの中でも特に重要な存在です。
データを電気的に書き換え可能で、大容量・低消費電力・低コストが特長。

構造:
・フローティングゲート型MOSFETを使用。
・電子をゲート内に閉じ込めることで「1(電荷あり)」と「0(電荷なし)」を記録。

主な種類:

 ● NOR型:高速読み出し(コード格納用)

 ● NAND型:高密度・大容量(ストレージ用途)

【8】NANDフラッシュの構造と用途

・セルを直列に接続することで高密度化。
・ブロック単位でデータを消去・書き込み。
・書き換え速度は遅いが、大容量化に最適。

用途:SSD、USBメモリ、スマホストレージ、SDカードなど。

【9】次世代メモリ技術

従来型メモリの限界(書き換え耐久性・速度・消費電力)を克服するため、
新しい物理原理に基づくメモリが研究されています。

 ● MRAM(Magnetoresistive RAM):電子スピンを利用。高速・高耐久。

 ● ReRAM(Resistive RAM):抵抗変化を利用。低消費電力。

 ● PCRAM(Phase Change RAM):物質の結晶/非結晶状態で情報を保持。

 ● FeRAM(Ferroelectric RAM):強誘電体を利用。超高速で低消費。


これらは「不揮発性かつ高速な次世代メモリ」として注目されています。

【10】メモリ階層構造(Memory Hierarchy)

コンピュータでは、速度と容量のバランスを取るために階層構造が採用されています。

上位ほど高速・高価・小容量、下位ほど低速・低価格・大容量。

1.レジスタ(CPU内部)

2.キャッシュメモリ(SRAM)

3.メインメモリ(DRAM)

4.ストレージ(NAND SSDなど)

5.外部保存(HDD・クラウド)


この階層設計により、処理性能とコストの最適化が可能となります。

【11】まとめ

・ メモリは情報を保持するための半導体デバイス。
・ 揮発性:SRAM・DRAM/不揮発性:ROM・Flashなど。
・ NANDフラッシュはストレージの主流技術。
・ MRAMやReRAMなど、次世代不揮発メモリの実用化が進行中。
・ 階層構造により、速度・容量・コストを最適化している。

【理解チェック】

1.揮発性メモリと不揮発性メモリの違いは?

2.SRAMとDRAMの構造的な違いは?

3.フラッシュメモリの主な種類と用途を挙げよ?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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