【1】パッケージ信頼性とは何か
パッケージ信頼性とは、想定された使用環境・期間で、機能を維持できるかを評価・保証する技術分野。
対象となるのは:
・電気的に壊れないか
・機械的に割れないか
・熱で劣化しないか という、壊れ方のすべてが対象。
【2】なぜ先端パッケージで信頼性が難しくなるのか
理由は、
① 材料が増えすぎた
1つのパッケージ内に:
・Siチップ
・Cu配線
・はんだ
・樹脂
・基板 など、熱膨張係数(CTE)が異なる材料が共存。
→ 温度変化で必ず応力が発生。
② 高熱密度化
AIチップ・HBMでは、
・局所的に非常に高温
・温度勾配が大きい
→ 応力集中・クラックが起きやすい。
③ 微細・高密度構造
・バンプが小さい
・RDLが細い
・TSVが増える
→ わずかな変形でも破壊に直結。
【3】代表的な信頼性試験
●(1)温度サイクル試験(Thermal Cycling)
・低温 ↔ 高温 を繰り返す
・例:-40℃ ↔ 125℃
評価対象:
・はんだ疲労
・クラック
・デラミネーション
もっとも基本かつ重要な試験。
●(2)高温動作寿命試験(HTOL)
・高温で電圧をかけ続ける
・長時間動作させる
評価対象:
・配線劣化
・絶縁破壊
・電気的ドリフト
●(3)落下・衝撃試験
・スマートフォン用途で重要
・実装後の機械強度を評価
評価対象:
・バンプ割れ
・チップクラック
・基板割れ
●(4)湿熱試験(HAST / THB)
・高温・高湿環境での耐性評価
評価対象:
・腐食
・イオンマイグレーション
・樹脂劣化
【4】代表的な故障モード
● はんだ疲労
・温度サイクルで繰り返し変形
・最終的にクラック発生
● デラミネーション
・材料界面の剥離
・熱抵抗増加 → さらなる劣化
● バンプ/RDLクラック
・微細化で許容変形量が減少
・Fan-outで顕著
● チップ割れ
・厚み低減(Thin Die)
・応力集中が原因
【5】車載用途での信頼性要求
車載(AEC-Q100)では要求が別次元。
特徴:
・使用期間:10〜15年以上
・温度範囲:-40〜150℃以上
・振動・衝撃が多い
・故障=人命リスク
そのため:
・材料選定が最優先
・過剰とも思える試験条件
・マージン設計が必須
壊れない設計こそが競争力となる。
【6】信頼性を高める設計・材料の工夫
● アンダーフィル設計
・応力分散
・はんだ寿命延長
● 低弾性率材料
・応力緩和
・クラック抑制
● パッケージ構造最適化
・バンプ配置
・チップ厚
・RDLレイヤ構
● シミュレーション活用
・熱解析
・応力解析
・寿命予測
【7】最新トレンド
・信頼性×設計の同時最適化(Co-design)
・実機試験+シミュレーション併用
・AIによる寿命予測
・HBM・Chiplet向け信頼性指標の再定義
・熱・電気・機械の統合評価
【8】まとめ(6-6)
・パッケージ信頼性は性能と同等に重要
・材料差・熱・微細化が信頼性を難しくする
・温度サイクルが最重要試験
・車載用途は別次元の要求
・設計・材料・解析の総合技術が必要
【理解チェック】
1.なぜ先端パッケージでは信頼性確保が難しくなっているのか?
2.温度サイクル試験が重要視される理由は?
3.車載用途で信頼性要求が特に厳しい理由は何か?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。
