TECH COLUMN 技術コラム

7章:検査・評価技術(Inspection & Characterization)
7-2. ウェハレベル電気特性検査(Wafer Electrical Test / E-Test)

材料・加工技術

公開日:

半導体は、作れたかどうかではなく、
狙った特性になっているかで価値が決まる。
その最初の関門が、ウェハレベル電気特性検査(E-Test) である。
ここでズレを見逃すと、後工程でいくら丁寧に作っても、不良は増え続ける。

【1】ウェハレベル電気特性検査とは何か

ウェハレベル電気特性検査とは、

チップを切り出す前のウェハ状態で、電気特性を測定する検査を指す。

目的は明確で、

・トランジスタが設計通り動いているか

・プロセスばらつきが許容範囲か

・量産に進んでよい状態か  を 早い段階で判断すること

ここで異常を掴めなければ、後工程は賭けになる。

【2】なぜウェハ段階で検査するのか

理由はシンプル。不良は、早く見つけるほど安く止められる。

後工程に進むほど、

・加工コスト

・実装コスト

・テストコスト が積み上がる。

ウェハ段階で止めれば、

・ロスは最小

・原因は追いやすい

・工程修正が早い

E-Testは、工場の損失を最小化する防波堤である。

【3】主に測定される電気特性

ウェハ検査で見るのは、「動く/動かない」ではなく 傾向

代表例:

・しきい値電圧(Vth)

・リーク電流(Ioff)

・駆動電流(Ion)

・抵抗・容量(R/C)

・トランジスタばらつき

重要なのは、絶対値よりも分布と変化

平均は合っていても、分布が広ければ量産は危険。

【4】PCM(Process Control Monitor)の役割

E-Testの中核がPCM(プロセス管理用デバイス)

PCMは、

・製品回路とは別に

・プロセス状態を可視化するために

・意図的に配置された評価構造 である。

 

役割は:

・工程ごとのズレを検出

・日・ロット・装置差の監視

・SPCデータの基礎

PCMが壊れている工場は、目隠し運転をしているのと同じ。

【5】測定装置と測定の難しさ

ウェハ検査では、

・ウェハプローバ

・高精度プローブカード

・パラメータアナライザ が使われる。

 

だが難しいのは装置ではない。

・プローブ接触抵抗

・接触位置ずれ

・表面ダメージ

・測定ノイズ

測定そのものが新たなばらつきを生むこともある。

測っているつもりで、壊しているという事故も珍しくない。

【6】E-Testデータはどう使われるか

E-Testの価値は、測った後の使い方>で決まる。

活用例:

・リソグラフィ条件補正

・イオン注入量の微調整

・成膜厚みの最適化

・装置異常の早期検知

E-Testは工程改善の起点データである。

【7】先端プロセスでE-Testが難しくなる理由

微細化が進むほど、E-Testは難しくなる。

理由:

・nm単位の差が特性に直結

・ランダムばらつきの増加

・3D構造で測定点が限定される

・EUV由来の確率的欠陥

測っても原因が一意に決まらない状況が増えている。

そのため、E-Test × 統計 × AI解析が必須になっている。

【8】まとめ(7-2)

・ウェハレベル電気特性検査は最初の関門

・不良は早く止めるほど安い

・絶対値より分布と傾向を見る

・PCMはプロセス管理の要

・先端ノードでは解析力が競争力

【理解チェック】

1.なぜE-Testは後工程テストより重要とされるのか?

2.PCMの役割は何か?

3.平均値が合っていても危険な理由は?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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