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0章. 超未来予測編 「なぜ未来は熱で決まるのか」
0-2. データセンターは冷却工場になる 〜AI時代、世界は計算より熱処理に電力を使い始める〜

材料・加工技術

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0章.	超未来予測編 「なぜ未来は熱で決まるのか」 <br>0-2. データセンターは冷却工場になる 〜AI時代、世界は計算より熱処理に電力を使い始める〜

AIの進化によって、世界中でデータセンター建設が加速している。
しかし、その実態は、多くの人が想像しているものとは少し違う。

一般的にデータセンターというと、サーバーが並んでいる場所というイメージかもしれない。
しかしAI時代のデータセンターは、もはや単なる計算施設ではない。
むしろ、巨大な熱処理施設に近づき始めている。

■AIは熱を作る産業でもある

生成AIは、膨大な計算を行う。

そのためには、大量のGPUが必要になる。

GPUは、非常に高性能な半導体だ。

しかし同時に、非常に大量の熱を出す装置でもある。

しかもAI時代では、そのGPUが数千台、数万台単位で並ぶ。

つまりAIデータセンターでは、

知能生成と同時に、膨大な熱生成も行われている。

■電力の多くは熱になる

ここで重要なのは、電力は最終的にほぼ熱になるということだ。

つまり、

AIが計算する
 ↓
GPUが電力を使う
 ↓
電力が熱になる
 ↓
その熱を外へ逃がす必要がある  という構造になる。

■実は計算より冷却が大変

AIが進化するほど、計算量は増える。

しかし、実際の運営側で大変なのは、どう冷やすかである。

 

なぜなら、GPUは温度が上がると、

● 性能低下

● 誤動作

● 劣化

● 故障  を引き起こすからだ。

つまり、冷やせないと、性能を上げられない。

■空冷は限界に近づいている

従来のデータセンターは、主に空冷だった。

つまり、大量の空気を流して冷やしていた。

しかしAI時代では、発熱密度が急激に上がっている。

すると、

● ファンだけでは冷えない

● 空気の熱容量が足りない

● ラック内部で熱が滞留する

● 消費電力より冷却電力が増える  などの問題が出始める。

 

つまり、計算するために電力を使うより、

冷やすために電力を使う割合が増えていく。

■液冷時代へ

そのため現在、世界中で急速に進んでいるのが、液冷化である。

液体は、空気より圧倒的に熱を運びやすい。

そのため、

● 水冷

● 直接液浸

● 冷却プレート

● 冷媒循環  など、さまざまな方式が開発されている。

 

つまり未来のデータセンターは、サーバー室というより、

巨大な冷却設備へ近づいていく可能性が高い。

■冷却のために場所まで変わる

さらに面白いのは、データセンターの立地まで変わり始めていることだ。

例えば、

● 北極圏近く

● 寒冷地

● 海底利用

● 水資源が豊富な地域

● 発電所の隣 など。

つまり今後は、どこにAIを置くかではなく、

どこなら冷やせるかが重要になる。

■AI競争は電力確保競争でもある

ここで見えてくるのは、AI競争の本質が、単なるアルゴリズム競争ではないことだ。

 

実際には、

● 半導体

● 発電

● 水

● 冷却

● インフラ

● 資源  をどれだけ確保できるかの勝負になり始めている。

 

つまりAIとは、知力産業に見えて、超巨大インフラ産業でもある。

■研究者視点 冷却技術は次世代産業になる

現在、研究開発が加速しているのは、

● 液冷

● ベイパーチャンバー

● 次世代TIM

● 放射冷却

● 熱シミュレーション

● AI制御冷却 など。

 

今後は、どれだけ計算できるかより、どれだけ熱を制御できるかが重要になる可能性が高い。

■現場視点 理論通りに冷えない

しかし現場では、もっと泥臭い問題が起きる。

例えば、

● 放熱部材が浮く

● 接触面に空気層ができる

● 微細な段差で熱抵抗が増える

● 組立誤差で性能が変わる

● 自動化工程でズレる

● 試作と量産で冷却性能が変わる など。

 

つまり冷却とは、冷却装置を入れれば終わりではない。

 

熱対策は工程成立で決まる

本当に重要なのは、

● どう接触するか

● どう加工するか

● どう貼るか

● どう量産するか

● どう安定供給するか である。

 

つまり熱対策とは、材料性能だけではなく、工程成立で決まる。

■OTIS視点で重要なこと

OTIS視点では、熱問題は、単なる放熱材料選定ではない。

重要なのは、

● 微細加工

● 接触

● 加工精度

● 貼り合わせ

● 薄膜加工

● 自動化供給

● 量産安定性  である。

AI時代になるほど、熱の最後の1mmの難易度は上がっていく。

■OTISでできること

OTISでは、

● 高精度打ち抜き

● 微細加工

● 薄膜加工

● 高精度ラミネート

● 熱対策材料加工

● リール供給

● 異形状積層

● 自動化対応  などを通じて、

熱対策材料を量産で使える形へ近づけることに貢献できる。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

● データセンター設計

● GPU設計

● 冷却装置開発

● CFD専業解析

● 発電インフラ を専門とする会社ではない。

 

しかし、熱問題を量産工程で成立させるという領域では、

重要な役割を担える可能性がある。

■まとめ

AI時代は冷却文明になるかもしれない

AIは、知能革命に見える。

しかしその裏では、

● 電力

● 資源

● 冷却

● 水

● 熱制御 という、極めて物理的な問題が巨大化している。

 

つまり未来は、どれだけ賢いかだけではなく、

どれだけ熱を制御できるかで決まる時代になるのかもしれない。

そしてその裏側では、熱の最後の1mmを成立させる技術が、ますます重要になっていく。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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