TECH COLUMN 技術コラム

5章:最先端プロセス技術
5-1. 先端ノード(3nm / 2nm / 1.4nm)の全体像

材料・加工技術

公開日:

【1】先端ノードとは何か

先端ノードとは、半導体の微細化世代を示す技術ノード(Technology Node)のこと。

例:7nm → 5nm → 3nm → 2nm → 1.4nm …

しかし、現在の「nm」は昔のゲート長とは違い、
実際の物理寸法ではなく、世代名(ブランド名)に近い。

それでもこの数字には意味があり:

 ● 線幅・ゲートピッチの縮小

 ● 配線密度の増加

 ● 消費電力の低減

 ● 性能(周波数)が向上 という技術的進歩を示している。

【2】微細化が難しくなっている理由

7nm → 5nm までは FinFET で進んだが、
3nm 以下では物理限界が見えてくる。

主な理由:

●(1)Short Channel Effect

チャネルが短くなりすぎて、電流制御が困難になる。

●(2)リーク電流の増加

絶縁膜が薄くなり、電子がトンネルしてしまう。

●(3)Variability(ばらつき)が大問題

原子数レベルで構造が変わり、特性が動く。

●(4)抵抗・容量(RC)の壁 

配線が細くなり、

 ・ 抵抗増

 ・ 配線遅延増(RC delay)
が顕著になる。

つまり、従来の微細化ルールが成立しなくなってきた

【3】FinFETからGAA(Gate-All-Around)へ

2nm以降では FinFET の限界が来る。

理由:
FinFETはゲートで横3方向しかチャネルを制御できないため。

そこで登場したのが GAA(Gate-All-Around)

特徴:

 ● ゲートがチャネルを完全に360°包み込む

 ● リーク電流が激減

 ● 小型化しても制御性が高い

 ● 性能・省電力でFinFETを大きく超える

TSMC、Samsung、Intel が2nm〜1.4nm世代で採用予定。

【4】3nm・2nm・1.4nm の技術的特徴比較

【3nm】(FinFET最終世代 / GAA混在)

 – 微細化の限界が見え始める

 – 配線抵抗が支配的に

 – 電力は改善するが性能向上は小幅

 

【2nm】(GAA本格導入)

 – チャネル制御が格段に向上

 – 電力効率が大幅改善(20〜30%)

 – 搭載トランジスタ数が一気に増加

 – AIチップの主流へ

 

【1.4nm】(ポストGAAの入口)

 – GAAの最適化が必須(ナノシート制御が極端に難しい)

 – 配線材料の限界(Cuの抵抗上昇)

 – EUVの物理限界が迫る

 – 新材料・新構造(CFET、2D材料)が議論され始める

【5】最先端ノードが求められる理由

●(1)AIチップの爆発的電力需要

電力密度は従来比 10倍以上

微細化 → 消費電力低減 → 性能向上は必須。

●(2)サーバ・データセンターのコスト構造

電力・冷却コストがボトルネックになる。

●(3)スマホ・PCのバッテリ寿命

同じ性能をより低電力で達成する必要がある。

●(4)半導体企業の競争力

TSMC、Samsung、Intelの3社が覇権を争う領域。

微細化は 国家戦略 にも直結する。

【6】先端ノードにおける主要な課題

 ● GAA の均一性(ナノシート幅の制御)

 ● 高アスペクト比エッチングの難しさ

 ● 配線抵抗 → Cuに限界、Ruthenium等へ移行検討

 ● Low-k材料の信頼性低下

 ● EUV stochastic defect

 ● 発熱(Power Density)が急増

 ● チップレット化による複雑性

特に今は配線の壁と熱の壁 が最も大きな課題。

【7】TSMC・Samsung・Intelの先端ノード比較

■ TSMC:

 – 世界最大のファウンドリ

 – 3nm → 2nm(GAA) → 1.4nmへ

 – 歩留まりの高さが最大の強み

 

■ Samsung:

 – 3nmでGAAを先行導入

 – ただし歩留まり課題の指摘あり

 – メモリ・ロジック両方を持つ総合メーカー

 

■ Intel:

 – IDM 2.0戦略で復活狙い

 – 20A(2nm相当)→18A(1.8nm相当)

 – 高NA EUVの最初の導入を宣言

【8】未来予測:1nm以下はどうなるか

候補となる技術:

 ● CFET(Complementary FET)
  → nFET と pFET を上下に積む構造

 ● 2D材料(MoS₂など)
  → 原子1層のチャネルで短チャネル効果を抑制

 ● 光コンピューティングとの融合

 ● 量子領域への突入

微細化の終わり ではなく、微細化のやり方が変わる時代 に入ったと言える。

【9】まとめ

 ● 先端ノードは微細化世代を表す技術名称

 ● 3nm以降、FinFETでは限界 → GAAで突破

 ● 1.4nmではEU Vや材料も限界近く

 ● AI・データセンター需要が微細化を牽引

 ● 配線抵抗と熱が最大の壁

 ● 未来は CFET・2D材料・3D化へ向かう

【理解チェック】

1.なぜFinFETでは2nm以下が難しいのか?

2.GAAの最大の利点は何ですか?

3.先端ノードで配線抵抗が問題になる理由は?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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