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7-10. バーンイン・寿命試験(Burn-in & Lifetime Testing)

材料・加工技術

公開日:

半導体は、作った瞬間が完成ではない。
壊れるかどうかは時間で決まる。
出荷直後に壊れるのか、10年後に壊れるのか。
この時間軸の信頼性を評価するのが、バーンイン試験・寿命試験である。

特に、車載、産業機器、AIサーバーなどでは必須の評価領域となっている。

【1】バーンイン試験とは何か

定義は明確。

高温・高電圧・高負荷で長時間動作させ、初期故障を事前に顕在化させる試験。

 

目的は2つ。

① 初期不良の除去

② 潜在欠陥の顕在化

つまり、市場に出る前に壊しておく。

【2】なぜバーンインが必要なのか

半導体故障率は、時間に対して一定ではない。

 

有名な概念が、バスタブカーブ(Bathtub Curve)

 

故障率の推移:

① 初期故障期(Infant Mortality)

② 偶発故障期(Random Failure)

③ 摩耗故障期(Wear-out)

 

バーンインの狙いは:

① 初期故障を出荷前に除去すること。

【3】初期故障の主因

代表例:

● 微細欠陥

・配線クラック

・ゲート欠陥

 

● 異物混入

・パーティクル

・残渣

 

● 接触不良

・バンプ

・ワイヤ接合

 

● 絶縁不良

・膜欠陥

・ピンホール

 

通常動作では顕在化しないが、高ストレスで発現する。

【4】バーンイン試験条件

代表条件:

● 温度 125℃〜150℃

● 電圧 定格の1.2〜1.5倍

● 動作モード 実動作 / 高負荷動作

● 時間 数十時間〜数百時間

 

高温・高電圧・長時間。加速劣化試験である。

【5】バーンイン装置構成

構成要素:

● バーンインボード → 多数チップを同時試験。

● ソケット → 電気接続部。

● ヒーター → 均一温度制御。

● 電源・信号供給系 → 動作負荷を印加。

 

近年は、高I/O対応ボード、AIチップ専用装置も登場。

【6】寿命試験(Lifetime Testing)とは

バーンインが「初期故障」なら、寿命試験は「摩耗故障」評価。

 

目的:何時間動作すると壊れるかを推定。

 

代表試験:

● HTOL(High Temp Operating Life) → 高温動作寿命。

● TDDB寿命試験 → 絶縁破壊寿命。

● EM寿命試験 → 配線断線寿命。

● NBTI / PBTI試験 → トランジスタ劣化。

【7】加速試験という考え方

実使用10年を、そのまま試験は不可能。

そこで、高温、高電圧、高電流を印加し、劣化を加速。

 

代表式:Arrheniusモデル

温度が10℃上昇 → 劣化速度2倍。

つまり、短時間で長期寿命を予測。

【8】バーンインと歩留まりの関係

バーンインは、後工程の歩留まり改善。

 

効果:

・市場不良低減

・早期故障除去

・品質信頼向上

 

ただし:

● 試験コスト増

● スループット低下

● 過剰ストレス破壊 とのトレードオフ。

【9】先端デバイスでの難しさ

近年難易度が上昇。

理由:

① 消費電力増大 → 発熱制御が困難

② I/O増加 → ボード設計複雑化

③ 3D積層 → 熱分布不均一

④ AIチップ → 実動作模擬が難しい

つまり、試験自体が設計課題

【10】車載・産業用途の要求

要求は別格。

 

● 動作温度範囲 → -40℃〜150℃以上

● 使用期間 → 15年以上

● 故障許容度 → 極小(人命影響)

そのため:

バーンイン時間延長、試験電圧増大、複合試験実施

【11】最新トレンド

進化方向:

● ウェハレベルバーンイン → パッケージ前試験。

● システムレベルバーンイン → 実装状態で試験。

● AI負荷模擬試験 → GPU / ASIC向け。

● 低ストレス高精度試験 → 過剰劣化回避。

【12】まとめ(7-10)

・バーンインは初期故障除去技術

・寿命試験は摩耗故障予測技術

・バスタブカーブが基礎概念

・高温・高電圧で劣化加速

・車載・AIで重要性が急拡大

【理解チェック】

1.バーンイン試験の主目的は何か?

2.バスタブカーブの3領域を説明せよ。

3.なぜ加速試験が必要なのか?

4.先端AIチップでバーンインが難しい理由は?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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