■熱とはエネルギーの逃げ道
まず結論から言うと、熱は、エネルギーが変換される時に発生する。
例えば、
● 電気を使う
● モーターを回す
● 半導体で演算する
● バッテリーを充放電する など。
すべて、エネルギー変換が起きている。
そしてその過程で、一部のエネルギーが熱へ変わる。
■実は100%効率はほぼ存在しない
ここで重要なのは、完全効率は、現実世界ではほぼ存在しないという点だ。
例えばモーター。
理想的には、電気 → 回転へ、100%変換したい。
しかし実際には、
● 摩擦
● 抵抗
● 振動
● 磁気損失 などによって、一部が熱になる。
つまり熱とは、変換ロスとも言える。
■半導体も熱発生装置
AI半導体も同じだ。
GPUは、膨大な演算を行う。
しかしその際、電流が流れる。
すると、電気抵抗が存在するため、熱が発生する。
つまりAIチップとは、演算装置であると同時に、
巨大発熱装置でもある。
■なぜAI時代は熱が増えるのか
ここで重要なのは、AI時代では、演算量そのものが爆発的に増えていることだ。
つまり、
● より大量に計算する
↓
● より大量に電流が流れる
↓
● より大量に熱が出る という構造になる。
つまりAIの進化は、熱発生量増加でもある。
■EVは電気を熱へ変えながら走る
EVでも同じことが起きる。
バッテリーから電気を取り出し、
● モーターを回し
● 加速し
● 充電する
その過程で、
● 抵抗
● 摩擦
● 化学反応 などによって、熱が発生する。
つまりEVも、移動体であると同時に、
巨大発熱体でもある。
■小型化すると熱が苦しくなる
ここで未来産業が苦しむ理由がある。
それは、小さくしたいからだ。
例えば、
● 半導体
● ロボット
● ARグラス
● スマートフォン
すべて、小型高性能化を目指している。
しかし、発熱量は増えるのに、熱を逃がす面積は減る。
つまり、熱密度が急上昇する。
これが未来産業の本質的な難しさだ。
■熱は動いている証拠でもある
面白いのは、熱が出る=仕事している とも言える点だ。
例えば、
● CPUが熱い
● モーターが熱い
● EVが熱い のは、大量のエネルギーが動いている証拠でもある。
つまり未来産業は、高性能化と、
高発熱化がセットになりやすい。
■なぜ止まっていても熱いのか
ここでよくある疑問がある。
例えばスマートフォン。
何もしていないように見えても、熱くなることがある。
これは内部で、
● 通信
● 演算
● 充電
● バックグラウンド処理 などが動いているからだ。
つまり、見えないエネルギー消費でも熱は発生する。
■熱を出さないは極めて難しい
未来技術では、よく、低消費電力が重要と言われる。
しかし実際には、熱をゼロにすることは非常に難しい。
つまり現実では、どれだけ熱を減らせるかより、
どれだけ熱を制御できるかが重要になる。
■AI時代は巨大熱文明になる
ここまで見てきたように、
● AI
● EV
● ロボット
● 半導体
● データセンター
すべて、膨大なエネルギーを扱う。
つまり未来は、高知能社会であると同時に、
巨大熱文明にもなっていく。
■研究者視点 : 発熱そのものは避けにくい
現在研究されているのは、
● 低損失材料
● 高効率半導体
● 高効率モーター
● 次世代電池
● 低消費電力AI など。
しかし、完全に熱をゼロにすることは非常に難しい。
つまり今後は、発熱を前提に設計することが重要になる。
■現場視点 : 発熱量だけでは決まらない
現場では、
● 接触状態
● 放熱経路
● 空気層
● 微細ズレ
● 材料変形 などによって、熱状態が大きく変わる。
つまり、どれだけ熱を出すかだけではなく、
どれだけ熱を逃がせるかが重要になる。
■熱問題は工程で変わる
例えば、
● 貼り合わせ精度
● 圧力
● 接触面積
● 段差
● 材料厚み などでも、熱性能は変わる。
つまり熱問題とは、材料性能だけではなく、
工程成立でも決まる。
■OTIS視点で重要なこと
OTIS視点では、熱問題で重要なのは、
● 微細加工
● 接触安定性
● 高精度貼り合わせ
● 薄膜加工
● 異種材料接触
● 量産安定性 など。
つまりOTISは、熱を流せる状態を量産で成立させることへ向き合っている。
■OTISでできること
OTISでは、
● 高精度打ち抜き
● 微細加工
● 高精度ラミネート
● 熱対策材料加工
● 異形状積層
● 自動化供給対応 などを通じて、
熱の流れを量産で成立させることへ、貢献できる可能性がある。
■OTISの専門外
一方でOTISは、
● 半導体回路設計
● モーター開発
● AIアルゴリズム開発
● 発電システム設計 を専門とする会社ではない。
しかし、熱問題を量産工程で成立させるという領域では、重要な役割を担える可能性がある。
■まとめ
未来産業は「発熱」から逃げられない
熱は、エネルギー変換の結果として発生する。
つまり未来産業では、
● 高性能化
● 高出力化
● AI化
● 小型化 が進むほど、発熱問題は避けにくくなる。
だから今後は、どれだけ熱を減らせるかだけではなく、
どれだけ熱を成立できるかが、ますます重要になっていく。
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません



