TECH COLUMN 技術コラム

1. 基礎編 熱とは何か
1-2. 熱はなぜ発生するのか 〜未来産業は、なぜこれほど熱に苦しむのか〜

材料・加工技術

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1. 基礎編 熱とは何か<br>1-2. 熱はなぜ発生するのか 〜未来産業は、なぜこれほど熱に苦しむのか〜

前回、「熱」と「温度」の違いを整理した。
• 温度 → どれだけ熱いか
• 熱 → 移動するエネルギー だった。
では次に、そもそも、なぜ熱は発生するのかを考えてみたい。
実はここを理解すると、なぜAI・EV・半導体が熱に苦しむのかがかなり見えてくる。

■熱とはエネルギーの逃げ道

まず結論から言うと、熱は、エネルギーが変換される時に発生する。

例えば、

 ● 電気を使う

 ● モーターを回す

 ● 半導体で演算する

 ● バッテリーを充放電する など。

すべて、エネルギー変換が起きている。

そしてその過程で、一部のエネルギーが熱へ変わる。

■実は100%効率はほぼ存在しない

ここで重要なのは、完全効率は、現実世界ではほぼ存在しないという点だ。

例えばモーター。

理想的には、電気 → 回転へ、100%変換したい。

しかし実際には、

 ● 摩擦

 ● 抵抗

 ● 振動

 ● 磁気損失 などによって、一部が熱になる。

つまり熱とは、変換ロスとも言える。

■半導体も熱発生装置

AI半導体も同じだ。

GPUは、膨大な演算を行う。

しかしその際、電流が流れる。

すると、電気抵抗が存在するため、熱が発生する。

つまりAIチップとは、演算装置であると同時に、

巨大発熱装置でもある。

■なぜAI時代は熱が増えるのか

ここで重要なのは、AI時代では、演算量そのものが爆発的に増えていることだ。

つまり、

 ● より大量に計算する

  ↓

 ● より大量に電流が流れる

  ↓

 ● より大量に熱が出る という構造になる。

 

つまりAIの進化は、熱発生量増加でもある。

■EVは電気を熱へ変えながら走る

EVでも同じことが起きる。

バッテリーから電気を取り出し、

 ● モーターを回し

 ● 加速し

 ● 充電する

その過程で、

 ● 抵抗

 ● 摩擦

 ● 化学反応 などによって、熱が発生する。

つまりEVも、移動体であると同時に、

巨大発熱体でもある。

■小型化すると熱が苦しくなる

ここで未来産業が苦しむ理由がある。

それは、小さくしたいからだ。

例えば、

 ● 半導体

 ● ロボット

 ● ARグラス

 ● スマートフォン

すべて、小型高性能化を目指している。

しかし、発熱量は増えるのに、熱を逃がす面積は減る。

つまり、熱密度が急上昇する。

これが未来産業の本質的な難しさだ。

■熱は動いている証拠でもある

面白いのは、熱が出る=仕事している とも言える点だ。

例えば、

 ● CPUが熱い

 ● モーターが熱い

 ● EVが熱い のは、大量のエネルギーが動いている証拠でもある。

つまり未来産業は、高性能化と、

高発熱化がセットになりやすい。

■なぜ止まっていても熱いのか

ここでよくある疑問がある。

例えばスマートフォン。

何もしていないように見えても、熱くなることがある。

これは内部で、

 ● 通信

 ● 演算

 ● 充電

 ● バックグラウンド処理 などが動いているからだ。

つまり、見えないエネルギー消費でも熱は発生する。

■熱を出さないは極めて難しい

未来技術では、よく、低消費電力が重要と言われる。

しかし実際には、熱をゼロにすることは非常に難しい。

つまり現実では、どれだけ熱を減らせるかより、

どれだけ熱を制御できるかが重要になる。

■AI時代は巨大熱文明になる

ここまで見てきたように、

 ● AI

 ● EV

 ● ロボット

 ● 半導体

 ● データセンター

すべて、膨大なエネルギーを扱う。

つまり未来は、高知能社会であると同時に、

巨大熱文明にもなっていく。

■研究者視点 : 発熱そのものは避けにくい

現在研究されているのは、

 ● 低損失材料

 ● 高効率半導体

 ● 高効率モーター

 ● 次世代電池

 ● 低消費電力AI など。

しかし、完全に熱をゼロにすることは非常に難しい。

つまり今後は、発熱を前提に設計することが重要になる。

■現場視点 : 発熱量だけでは決まらない

現場では、

 ● 接触状態

 ● 放熱経路

 ● 空気層

 ● 微細ズレ

 ● 材料変形  などによって、熱状態が大きく変わる。

つまり、どれだけ熱を出すかだけではなく、

どれだけ熱を逃がせるかが重要になる。

■熱問題は工程で変わる

例えば、

 ● 貼り合わせ精度

 ● 圧力

 ● 接触面積

 ● 段差

 ● 材料厚み などでも、熱性能は変わる。

つまり熱問題とは、材料性能だけではなく、

工程成立でも決まる。

■OTIS視点で重要なこと

OTIS視点では、熱問題で重要なのは、

 ● 微細加工

 ● 接触安定性

 ● 高精度貼り合わせ

 ● 薄膜加工

 ● 異種材料接触

 ● 量産安定性 など。

つまりOTISは、熱を流せる状態を量産で成立させることへ向き合っている。

■OTISでできること

OTISでは、

 ● 高精度打ち抜き

 ● 微細加工

 ● 高精度ラミネート

 ● 熱対策材料加工

 ● 異形状積層

 ● 自動化供給対応 などを通じて、

熱の流れを量産で成立させることへ、貢献できる可能性がある。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

 ● 半導体回路設計

 ● モーター開発

 ● AIアルゴリズム開発

 ● 発電システム設計  を専門とする会社ではない。

しかし、熱問題を量産工程で成立させるという領域では、重要な役割を担える可能性がある。

■まとめ

未来産業は「発熱」から逃げられない

 

熱は、エネルギー変換の結果として発生する。

つまり未来産業では、

 ● 高性能化

 ● 高出力化

 ● AI化

 ● 小型化  が進むほど、発熱問題は避けにくくなる。

だから今後は、どれだけ熱を減らせるかだけではなく、

どれだけ熱を成立できるかが、ますます重要になっていく。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

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