■温度とはどれだけ熱いか
まず温度。
これは比較的イメージしやすい。
例えば、
● 20℃
● 40℃
● 100℃ など。
つまり温度とは、どれだけ熱いかを表す指標である。
■熱とはエネルギー
一方、熱とは、エネルギーである。
より正確に言えば、温度差によって移動するエネルギーである。
■コップのお湯で考えるとわかりやすい
例えば、
● 小さなコップの100℃のお湯
● 大きなお風呂の40℃のお湯
どちらが熱エネルギーを持っているだろうか。
実は多くの場合、お風呂の方が圧倒的に熱エネルギーが大きい。
つまり、温度が高いと、熱エネルギーが大きいは別なのである。
■AI時代は熱エネルギーが巨大化している
ここが非常に重要だ。
AIデータセンターでは、GPUが大量に並ぶ。
すると、個々の温度だけではなく、システム全体の熱エネルギー量が巨大になる。
つまり未来では、どれだけ熱いかだけではなく、
どれだけ巨大な熱エネルギーを扱うかが重要になる。
■なぜ熱は移動するのか
熱には、基本的に、高温から低温へ移動する性質がある。
例えば、
● 熱いコーヒーが冷める
● 氷が溶ける
● CPUからヒートシンクへ熱が移る など。
つまり熱とは、エネルギーが移動しようとする現象とも言える。
■熱問題とは熱が逃げない問題
ここで重要なのは、熱を出すことそのものではない。
本当に問題なのは、熱が逃げないことである。
例えば、
● 小型化
● 高密度化
● 積層化
● 密閉化 が進むと、熱の出口が減る。
すると、
● 温度上昇
● 性能低下
● 劣化
● 故障 などが起きる。
つまり熱問題とは、熱エネルギーの渋滞問題とも言える。
■温度だけ見ていると間違える
現場でよくあるのが、温度だけを見ることである。
しかし実際には、
● 熱容量
● 熱流束
● 発熱密度
● 放熱経路 なども重要になる。
つまり、何℃かだけでは、本当の熱問題は見えない。
■例えばスマートフォン
スマートフォンは、触ると熱く感じることがある。
しかし実際には、
● 発熱位置
● 熱拡散
● 表面温度
● 人体接触
● 放熱経路 など、さまざまな要素が関係している。
つまり、温度が高い=悪とは単純に言えない。
■半導体では局所高温が怖い
AI半導体などでは、一部だけ極端に熱くなることがある。
これを、ホットスポットという。
つまり全体温度ではなく、どこへ熱が集中しているかが重要になる。
■EVでは熱量が巨大
EVでは、大量のバッテリーを搭載する。
つまり、巨大な熱エネルギーを持つ。
ここで重要なのは、どれだけ発熱するかだけではなく、
どれだけ熱を安全に逃がせるかである。
■人体装着機器では温度感覚も重要
人体装着型では、
● 表面温度
● 接触時間
● 局所発熱 などによって、人間の感じ方が変わる。
つまり人体では、人間がどう感じるかも熱設計条件になる。
■研究者視点 : 熱問題はエネルギー制御問題
研究開発では、
● 熱伝導率
● 熱容量
● 熱拡散
● 放熱経路
● 発熱密度 などを考える。
つまり熱問題とは、エネルギーをどう制御するかという問題でもある。
■現場視点 : 熱は接触で大きく変わる
実際の現場では、
● 浮き
● 空気層
● 段差
● 接触ムラ などで、熱の流れは大きく変わる。
つまり、良い材料だけでは、良い熱設計にはならない。
■熱問題は工程で決まる
本当に重要なのは、
● どう加工するか
● どう貼るか
● どう接触するか
● どう量産するか である。
つまり熱対策とは、材料性能だけではなく、
工程成立で決まる。
■OTIS視点で重要なこと
OTIS視点では、熱問題で重要なのは、
● 微細加工
● 接触安定性
● 高精度貼り合わせ
● 薄膜加工
● 異種材料接触
● 量産安定性 など。
つまりOTISは、熱の流れを成立させる工程に向き合っている
■OTISでできること
OTISでは、
● 高精度打ち抜き
● 微細加工
● 高精度ラミネート
● 熱対策材料加工
● 異形状積層
● 自動化供給対応 などを通じて、
熱の最後の接触条件を量産で成立させることへ、貢献できる可能性がある。
■OTISの専門外
一方でOTISは、
● 発熱デバイス設計
● 半導体回路設計
● AIアルゴリズム開発
● 発電システム開発 を専門とする会社ではない。
しかし、熱を量産工程で成立させるという領域では、重要な役割を担える可能性がある。
■まとめ
熱いだけでは、本当の熱問題は見えない
温度とは、どれだけ熱いかである。
一方、熱とは、移動するエネルギーである。
つまり熱問題とは、熱エネルギーを、どう逃がし、どう制御するかという問題でもある。
そして未来産業では、どれだけ高性能かだけではなく、
どれだけ巨大な熱エネルギーを成立できるかが、ますます重要になっていく。
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません



