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1. 基礎編 熱とは何か
1-1. 熱と温度の違い 〜なぜ熱いだけでは、本当の熱問題はわからないのか〜

材料・加工技術

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1. 基礎編 熱とは何か<br>1-1. 熱と温度の違い 〜なぜ熱いだけでは、本当の熱問題はわからないのか〜

ここまで、AI、EV、半導体、ロボット、宇宙など、未来産業が熱に苦しむ理由を見てきた。
ではここから、一度基礎へ戻ってみたい。

最初のテーマは、「熱」と「温度」の違いである。
実はこの2つ、日常では同じように使われることが多い。

しかし工学の世界では、全く別の意味を持つ。
そして、この違いを理解すると、なぜ熱問題が難しいのかが見え始める。

■温度とはどれだけ熱いか

まず温度。

これは比較的イメージしやすい。

例えば、

 ● 20℃

 ● 40℃

 ● 100℃ など。

つまり温度とは、どれだけ熱いかを表す指標である。

■熱とはエネルギー

一方、熱とは、エネルギーである。

より正確に言えば、温度差によって移動するエネルギーである。

■コップのお湯で考えるとわかりやすい

例えば、

 ● 小さなコップの100℃のお湯

 ● 大きなお風呂の40℃のお湯

どちらが熱エネルギーを持っているだろうか。

 

実は多くの場合、お風呂の方が圧倒的に熱エネルギーが大きい。

 

つまり、温度が高いと、熱エネルギーが大きいは別なのである。

■AI時代は熱エネルギーが巨大化している

ここが非常に重要だ。

AIデータセンターでは、GPUが大量に並ぶ。

すると、個々の温度だけではなく、システム全体の熱エネルギー量が巨大になる。

つまり未来では、どれだけ熱いかだけではなく、

どれだけ巨大な熱エネルギーを扱うかが重要になる。

■なぜ熱は移動するのか

熱には、基本的に、高温から低温へ移動する性質がある。

例えば、

 ● 熱いコーヒーが冷める

 ● 氷が溶ける

 ● CPUからヒートシンクへ熱が移る など。

つまり熱とは、エネルギーが移動しようとする現象とも言える。

■熱問題とは熱が逃げない問題

ここで重要なのは、熱を出すことそのものではない。

本当に問題なのは、熱が逃げないことである。

例えば、

 ● 小型化

 ● 高密度化

 ● 積層化

 ● 密閉化 が進むと、熱の出口が減る。

すると、

 ● 温度上昇

 ● 性能低下

 ● 劣化

 ● 故障 などが起きる。

つまり熱問題とは、熱エネルギーの渋滞問題とも言える。

■温度だけ見ていると間違える

現場でよくあるのが、温度だけを見ることである。

しかし実際には、

 ● 熱容量

 ● 熱流束

 ● 発熱密度

 ● 放熱経路 なども重要になる。

つまり、何℃かだけでは、本当の熱問題は見えない。

■例えばスマートフォン

スマートフォンは、触ると熱く感じることがある。

しかし実際には、

 ● 発熱位置

 ● 熱拡散

 ● 表面温度

 ● 人体接触

 ● 放熱経路 など、さまざまな要素が関係している。

つまり、温度が高い=悪とは単純に言えない。

■半導体では局所高温が怖い

AI半導体などでは、一部だけ極端に熱くなることがある。

これを、ホットスポットという。

つまり全体温度ではなく、どこへ熱が集中しているかが重要になる。

■EVでは熱量が巨大

EVでは、大量のバッテリーを搭載する。

つまり、巨大な熱エネルギーを持つ。

ここで重要なのは、どれだけ発熱するかだけではなく、

どれだけ熱を安全に逃がせるかである。

■人体装着機器では温度感覚も重要

人体装着型では、

 ● 表面温度

 ● 接触時間

 ● 局所発熱 などによって、人間の感じ方が変わる。

つまり人体では、人間がどう感じるかも熱設計条件になる。

■研究者視点 : 熱問題はエネルギー制御問題

研究開発では、

 ● 熱伝導率

 ● 熱容量

 ● 熱拡散

 ● 放熱経路

 ● 発熱密度 などを考える。

つまり熱問題とは、エネルギーをどう制御するかという問題でもある。

■現場視点 : 熱は接触で大きく変わる

実際の現場では、

 ● 浮き

 ● 空気層

 ● 段差

 ● 接触ムラ などで、熱の流れは大きく変わる。

つまり、良い材料だけでは、良い熱設計にはならない。

■熱問題は工程で決まる

本当に重要なのは、

 ● どう加工するか

 ● どう貼るか

 ● どう接触するか

 ● どう量産するか である。

つまり熱対策とは、材料性能だけではなく、

工程成立で決まる。

■OTIS視点で重要なこと

OTIS視点では、熱問題で重要なのは、

 ● 微細加工

 ● 接触安定性

 ● 高精度貼り合わせ

 ● 薄膜加工

 ● 異種材料接触

 ● 量産安定性 など。

つまりOTISは、熱の流れを成立させる工程に向き合っている

■OTISでできること

OTISでは、

 ● 高精度打ち抜き

 ● 微細加工

 ● 高精度ラミネート

 ● 熱対策材料加工

 ● 異形状積層

 ● 自動化供給対応 などを通じて、

熱の最後の接触条件を量産で成立させることへ、貢献できる可能性がある。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

 ● 発熱デバイス設計

 ● 半導体回路設計

 ● AIアルゴリズム開発

 ● 発電システム開発 を専門とする会社ではない。

しかし、熱を量産工程で成立させるという領域では、重要な役割を担える可能性がある。

■まとめ

熱いだけでは、本当の熱問題は見えない

 

温度とは、どれだけ熱いかである。

一方、熱とは、移動するエネルギーである。

つまり熱問題とは、熱エネルギーを、どう逃がし、どう制御するかという問題でもある。

 

そして未来産業では、どれだけ高性能かだけではなく、

どれだけ巨大な熱エネルギーを成立できるかが、ますます重要になっていく。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

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