■ 複数サプライヤー化=競合との分業になる現実
たとえば、
● A社(日本)とB社(タイ)の2社体制で調達する。
● 価格や納期、品質の比較が当然発生する。
● 結果として、サプライヤー同士が競合関係になる。
つまり、BCP対応の名のもとに、自社と競合が天秤にかけられる構造ができあがっているのです。
これは受注側にとって、かなり不利なゲームです。
(この不利なゲームについて深掘り必要ですが、それはまた別の機会に)
■ オーティスの戦略:「自社×自社」で、リスクも信頼も担保する
オーティスでは、こう考えています。
「だったら最初から、BCP含めて自社内で複数拠点体制をつくっておけばいい。」
そのために、私たちは以下のような体制を構築しています:
【複数拠点でも同じものが作れる理由】
・日本・中国・タイの3拠点に自社工場
・各拠点ともに ISO9001・IATF16949 認証取得済み
・同一設備/同一金型/共通工程設計による標準化
・金型・設備・治具を内製化しているため、ローカルで再現性が高い
【対応可能なパターン】
提案例 利点
日本+中国 :日本国内とアジアの組み合わせでBCP+コスト対応
中国+タイ :中国情勢リスク回避としての脱一極型提案
日本+タイ :ESG・CO₂削減などSDGs対応としての地域分散戦略
どのパターンも、顧客側から見ればリスク分散。
でも、当社側から見れば競合排除。
この差は、戦略として非常に大きいのです。
■ 競合参入の余地を、最初から作らない。
「BCP対応できていませんか?」と聞かれたときに、
「はい、日本とタイ、どちらでも生産可能です」と即答できること。
それだけで、「じゃあ他のサプライヤーは必要ないね」と顧客が判断することがあります。
事実として、最近このような初手から複数拠点提案が増えてきています。
逆に、対応できないサプライヤーは選定から外れる。
そういう時代です。
■ 受注の“守り”から攻めへ
BCPは、本来「リスクを最小化するための備え」です。
でも今は、それを戦略として活かせば、最初から競合を寄せつけない“攻撃力になります。
■ 最後に、問いを一つ。
皆さんの営業活動は、
BCP対策に対応させられる側になっていませんか?
本来、BCP対応は守りではなく、「主導権を握るための提案力」に変わるものです。
その可能性、もう一度、受注戦略として考えてみませんか?
オーティスは、多拠点・多工程・高精度・スピードのバランスを、最初の提案段階から支援できます。
「BCP対応、できてますか?」のその前に、
「最初から、分散体制でいきましょう」という提案を、私たちと一緒に仕掛けてみませんか?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。



