TECH COLUMN 技術コラム

1. 基礎編 熱とは何か
1-4. 熱抵抗とは何か 〜なぜ熱が流れにくい場所が、未来産業を止めるのか〜

材料・加工技術

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1. 基礎編 熱とは何か<br>1-4. 熱抵抗とは何か 〜なぜ熱が流れにくい場所が、未来産業を止めるのか〜

前回、熱は、
1. 熱伝導
2. 対流
3. 放射 の3つで移動することを整理した。

では次に重要なのが、なぜ熱が流れにくくなるのかである。
ここで登場するのが、熱抵抗という考え方だ。

実は、未来産業の熱問題の多くは、熱を出していることより、
熱が途中で詰まることで起きている。

■熱抵抗とは熱の流れにくさ

簡単に言えば、熱抵抗とは、熱の流れにくさである。

イメージとしては、熱の通り道の渋滞に近い。

■水道管で考えるとわかりやすい

例えば、太い水道管なら、水は流れやすい。

しかし、

 ● 細い

 ● 曲がっている

 ● 詰まっていると、水は流れにくくなる。

 

熱も同じだ。

つまり熱抵抗とは、熱がどれだけ通りにくいかを表している。

■熱は流れやすい場所へ流れる

熱は、高温から低温へ移動する。

しかしその途中に、流れにくい場所があると、熱が滞留する。

すると、

 ● 温度上昇

 ● ホットスポット

 ● 性能低下

 ● 劣化 などが起きる。

つまり熱問題とは、熱抵抗との戦いでもある。

■AI半導体は「熱抵抗地獄」へ向かっている

AI時代では、

 ● 高密度化

 ● 積層化

 ● 小型化が急速に進んでいる。

すると、熱の逃げ道が細くなる。

つまり、熱抵抗が増えやすくなる。

これが、3D半導体などで問題になっている。

■熱は出せるのに、熱を逃がせない

ここが重要だ。

例えばAIチップは、演算性能はどんどん上がっている。

しかし同時に、熱を逃がせない問題が大きくなっている。

つまり未来では、どれだけ計算できるかより、

どれだけ熱抵抗を減らせるかが重要になる。

■熱抵抗は材料だけで決まらない

ここで、非常に重要な話がある。

多くの人は、熱伝導率が高い材料を使えば良いと思いがちだ。

しかし実際には、それだけでは足りない。

なぜなら、途中で詰まるからだ。

■一番弱い場所で全体が止まる

例えば、

CPU

 ↓

TIM

 ↓

ヒートシンク

 ↓

空気 という熱経路があったとする。

 

この時、どこか1か所でも、熱抵抗が大きい場所があると、全体性能が悪化する。

つまり熱対策とは、一番悪い場所を減らす戦いでもある。

■実は接触が巨大熱抵抗になる

ここで重要なのが、接触である。

例えば、

 ● 浮き

 ● 段差

 ● 圧力不足

 ● 空気層など。

これだけで、熱抵抗が急増することがある。

つまり、材料は良いのに冷えないという現象が起きる。

■空気は巨大な熱抵抗

特に怖いのが、空気層である。

空気は、熱を非常に伝えにくい。

つまり、わずかな隙間だけでも、熱性能が大きく悪化する。

未来産業では、

 ● 微細化

 ● 積層化

 ● 薄膜化が進むため、数十μmレベルの隙間でも問題になる。

■小型化すると熱抵抗が急増する

ここで未来産業の難しさがある。

例えば、

 ● 半導体

 ● ロボット

 ● ARグラス

 ● EVでは、小型化が進む。

すると、

 ● 熱の通り道が細くなる

 ● 接触面積が減る

 ● 熱密度が増える

つまり、熱抵抗問題が急激に悪化する。

■熱抵抗は見えない

さらに難しいのは、熱抵抗は見えないことだ。

例えば、

 ● わずかな浮き

 ● 微細段差

 ● 圧力ムラだけでも、熱性能が変わる。

しかし、それは目視ではわからないことも多い。

つまり熱抵抗問題とは、見えない渋滞でもある。

■AI時代は熱抵抗との戦いになる

AI時代では、

 ● 演算密度増加

 ● 高出力化

 ● 小型化

 ● 積層化が進む。

すると、熱抵抗が大きなボトルネックになる。

つまり未来では、どれだけ高性能か」だけではなく、

どれだけ熱抵抗を減らせるかが重要になる。

■研究者視点 : 熱の通り道設計が重要になる

現在研究されているのは、

 ● 高熱伝導材料

 ● TIM

 ● 放熱構造

 ● 微細接触

 ● 熱拡散

 ● 液冷など。

つまり熱設計とは、熱抵抗をどう減らすかという設計でもある。

■現場視点 : 理論性能より接触で負ける

現場では、

 ● 浮き

 ● 空気層

 ● 圧力ムラ

 ● 微細ズレ

 ● 材料変形などによって、熱抵抗が大きく変わる。

つまり、理論上高性能でも、実際には冷えないことが起きる。

■熱問題は工程で決まる

例えば、

 ● 貼り合わせ精度

 ● 圧力条件

 ● 表面状態

 ● 加工精度

 ● 自動化安定性などでも、熱抵抗は変わる。

 

つまり熱対策とは、材料性能だけではなく、

工程成立で決まる。

■OTIS視点で重要なこと

OTIS視点では、熱問題で重要なのは、

 ● 微細加工

 ● 高精度貼り合わせ

 ● 接触安定性

 ● 薄膜加工

 ● 異種材料接触

 ● 公差管理

 ● 量産安定性など。

つまりOTISは、熱抵抗を増やさない工程へ向き合っている。

■OTISでできること

OTISでは、

 ● 微細加工

 ● 高精度打ち抜き

 ● 高精度ラミネート

 ● 熱対策材料加工

 ● 異形状積層

 ● 自動化供給対応などを通じて、

熱が流れる状態を量産で成立させることへ、貢献できる可能性がある。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

 ● 半導体設計

 ● CFD専業解析

 ● GPU設計

 ● 冷却装置設計 を専門とする会社ではない。

しかし、熱問題を量産工程で成立させるという領域では、重要な役割を担える可能性がある。

■まとめ

熱問題の本質は、熱抵抗との戦いである

熱は、自然に流れようとする。

しかし途中に、熱が流れにくい場所があると、熱が滞留する。

これが、熱抵抗である。

 

そして未来産業では、

 ● 小型化

 ● 高密度化

 ● 積層化によって、熱抵抗問題がますます重要になっていく。

 

つまり未来では、どれだけ熱を出すかだけではなく、

どれだけ熱抵抗を減らせるかが、極めて重要になっていく。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

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