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2. 世の中の熱問題編 どこで熱問題が起きているのか
2-5. 医療機器の熱問題 〜医療機器では、“少し熱い”が大きなリスクになる〜

材料・加工技術

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2. 世の中の熱問題編 どこで熱問題が起きているのか<br>2-5. 医療機器の熱問題 〜医療機器では、“少し熱い”が大きなリスクになる〜

医療機器は、私たちの命や健康に直接関わる製品である。
病院で使われる大型装置。
手術支援機器。
検査装置。
在宅医療機器。
ウェアラブル型の生体センサー。
体内に近い場所で使われるデバイス。
これらの医療機器にも、当然ながら、熱問題が存在する。
しかも医療機器の熱問題は、一般的な電子機器よりも難しい。

なぜなら医療機器では、熱が単なる性能問題ではなく、安全性の問題になるからである。

■医療機器も発熱する

医療機器の中にも、さまざまな発熱源がある。

 ● 電源回路

 ● センサー

 ● モーター

 ● LED

 ● レーザー

 ● 通信モジュール

 ● 演算チップ

 ● バッテリー

 ● 画像処理装置

これらが動作すれば、電力を消費する。

そして消費した電力の多くは、熱になる。

つまり医療機器も、基本的には、電気を使えば熱が出るという物理法則から逃れられない。

■医療機器では人体との距離が近い

医療機器の熱問題が難しい理由は、人体に近いことである。

例えば、

 ● 皮膚に貼る

 ● 身体に装着する

 ● 手で持つ

 ● 患部に近づける

 ● 体内に近い場所で使うような機器では、発熱がそのまま人体への影響につながる。

 

つまり医療機器では、機器が壊れない温度だけでは足りない。

人にとって安全な温度である必要がある。

■少し熱いが問題になる

一般的な産業機器では、多少熱くなっても、機器が壊れなければ許容される場合がある。

しかし医療機器では違う。

患者が不快に感じる。

皮膚に負担がかかる。

長時間使用で低温火傷のリスクが出る。

測定値に影響する。

医療従事者の操作性が悪くなる。

つまり医療機器では、少し熱いが、大きな問題になることがある。

■低温火傷のリスク

医療機器では、低温火傷への注意が重要になる。

低温火傷とは、それほど高温ではない温度でも、長時間接触することで皮膚深部が損傷する現象である。

特に、

 ● 皮膚に貼る機器

 ● 長時間装着するセンサー

 ● 高齢者向け機器

 ● 在宅医療機器

 ● ウェアラブル医療機器では注意が必要になる。

つまり医療機器では、何℃まで上がるかだけではなく、

どれくらいの時間、どこに触れるかが重要になる。

■熱は測定精度にも影響する

医療機器では、熱が測定精度に影響することもある。

例えば、

 ● 温度センサー

 ● 圧力センサー

 ● 光学センサー

 ● 生体信号センサー

 ● 画像診断装置などでは、部品温度の変化によって、センサー出力が変化する可能性がある。

 

つまり熱問題は、安全性だけでなく、

測定精度にも関係する。

■小型化で熱問題は悪化する

医療機器も、今後さらに小型化していく。

病院内だけでなく、
在宅医療や遠隔医療が広がると、

 ● 小型

 ● 軽量

 ● 長時間駆動

 ● ワイヤレス

 ● 皮膚接触

 ● 常時測定 が求められる。

 

しかし小型化すると、熱を逃がす空間は減る。

つまり医療機器も、小さいのに高機能という方向へ進むほど、熱問題が難しくなる。

■在宅医療では使う人が専門家ではない

医療機器の未来では、在宅医療の重要性が高まる。

病院では専門家が機器を管理する。

しかし在宅医療では、
患者本人や家族が機器を使う場面が増える。

すると、

 ● 誤使用

 ● 長時間装着

 ● 放熱を妨げる使い方

 ● 汚れ

 ● 湿気

 ● 皮膚状態の個人差 などが起きる。

つまり在宅医療機器では、現場環境がばらつくことまで考えた熱設計が必要になる。

■医療機器は清潔性とも戦う

医療機器では、清潔性や消毒性も重要である。

しかし清潔にしやすい構造、防水性の高い構造、密閉性の高い構造は、熱を逃がしにくくすることがある。

つまり医療機器では、清潔にしたいと、

熱を逃がしたいが衝突することがある。

■防水・防塵と放熱の矛盾

医療現場では、水分、薬液、汗、消毒液などへの対応が求められる。

そのため、防水・防塵設計が必要になる。

しかし密閉すると、空気の流れが少なくなる。

すると熱がこもりやすくなる。

つまり医療機器では、安全・清潔・防水と、

放熱を同時に成立させる必要がある。

ここが難しい。

■医療機器では柔らかさも必要になる

人体に触れる医療機器では、硬すぎる部材は不快感や痛みにつながる。

そのため、

 ● 柔らかい

 ● 薄い

 ● 軽い

 ● 曲面に追従する ことが求められる。

しかし柔らかい材料や発泡材料は、一般的に熱を逃がしにくい場合がある。

つまり医療機器では、柔らかくしたいと、熱を逃がしたいも衝突する。

■医療機器は熱 × 安全 × 快適性の複合問題

医療機器の熱問題は、単純な放熱問題ではない。

実際には、

 ● 熱

 ● 安全性

 ● 快適性

 ● 清潔性

 ● 防水性

 ● 柔軟性

 ● 測定精度

 ● 長時間使用

 ● 量産安定性 が同時に絡む。

つまり医療機器の熱対策は、熱だけを見ても成立しないのである。

■AI医療機器で熱問題はさらに増える

今後、医療機器にもAIが搭載されていく。

例えば、

 ● 画像診断支援

 ● 生体データ解析

 ● 異常検知

 ● 遠隔モニタリング

 ● AI問診

 ● 手術支援 などである。

 

AI処理が増えれば、演算量が増える。

演算量が増えれば、発熱も増える。

つまり将来の医療機器は、小型化と、AI化によって、さらに熱問題が難しくなる可能性がある。

■研究者視点 : 医療機器では人体と共存する熱設計が必要になる

研究開発では、

 ● 低消費電力設計

 ● 柔軟放熱材

 ● 薄型熱拡散シート

 ● 皮膚温度管理

 ● 生体適合材料

 ● 放熱と防水の両立

 ● AIによる温度制御 などが重要になる。

医療機器では、単に冷やすだけではなく、人体に安全な範囲で熱を制御することが求められる。

■現場視点 : 理論上安全でも、使い方で変わる

医療機器では、設計上は安全でも、実際の使用環境で問題が起きることがある。

例えば、

 ● 長時間貼りっぱなし

 ● 皮膚との密着状態

 ● 汗や湿気

 ● 服や布団による放熱阻害

 ● 高齢者や小児の皮膚感受性

 ● 使用者ごとの装着差 などである。

つまり医療機器の熱対策では、理論上の温度だけでなく、

実際の使われ方まで考える必要がある。

■接触・貼り合わせで熱性能が変わる

医療機器では、薄い放熱材、絶縁材、粘着材、クッション材などが使われることがある。

しかし、

 ● 粘着の厚みムラ

 ● 気泡

 ● 浮き

 ● 曲面追従不足

 ● 剥離

 ● 材料変形 があると、熱の逃げ方が変わる。

つまり医療機器でも材料を選ぶことだけでは足りない。

人体や部品にどう接触させるかが重要になる。

■OTIS視点

OTIS視点では、医療機器の熱問題で重要なのは、

 ● 薄膜加工

 ● 高精度打ち抜き

 ● 柔軟材料加工

 ● 粘着材加工

 ● 絶縁材加工

 ● 高精度ラミネート

 ● 曲面追従部材の加工

 ● 小型部材の量産安定性

 ● 清潔性を考慮した供給形態 である。

医療機器では、部材が小さく、薄く、人体に近い。

だからこそ、

加工精度貼り合わせ精度量産安定性が重要になる。

■OTISでできること

OTISでは、

 ● 医療向けテープ・フィルム加工

 ● 薄膜部材加工

 ● 絶縁シート加工

 ● 放熱シート加工

 ● 粘着材加工

 ● 高精度打ち抜き

 ● 高精度ラミネート

 ● 小型部材のリール供給

 ● 自動化工程向け供給形態設計

などを通じて、医療機器向け機能部材の量産成立に貢献できる可能性がある。

特に、人体に近い機器では、薄く、軽く、柔らかく、安定して貼れることが重要になる。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

 ● 医療機器本体設計

 ● 医療診断アルゴリズム開発

 ● 生体解析

 ● 医療認証取得代行

 ● 電子回路設計 を専門とする会社ではない。

しかし、医療機器内部や人体近接部で使われる機能部材を量産工程で成立させるという領域では、重要な役割を担える可能性がある。

■この技術が重要になる産業

★★★★★ 医療機器

★★★★★ 在宅医療機器

★★★★★ ウェアラブル医療機器

★★★★☆ 生体センサー

★★★★☆ 遠隔医療デバイス

★★★★☆ AI診断支援機器

■まとめ

医療機器の熱問題は、単なる部品温度の問題ではない。

人体に近い。

長時間使う。

測定精度に影響する。

安全性や快適性にも関係する。

 

だから医療機器では、冷えればよいだけでは足りない。

人体に安全で、快適で、清潔で、量産でも安定する。

そこまで成立して、初めて本当の熱対策になる。

 

そして今後、医療機器が小型化し、AI化し、在宅化していくほど、熱問題はさらに重要になっていく。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

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