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4-9. 配線形成(Metallization)

材料・加工技術

公開日:
4-9. 配線形成(Metallization)

【1】配線形成とは何か

配線形成(Metallization)は、トランジスタ同士を電気的につなぐための金属配線を作る工程。

この配線の性能が、そのままチップの:

 ● 動作速度

 ● 消費電力

 ● 信頼性

 ● 発熱

 ● 歩留まり を決定する。

現代のチップでは 10〜15層以上の多層配線 があるため、配線技術はもはやデバイス性能の決定因子である。

【2】配線材料の種類と特徴

●(1)Al(アルミ)

 ・かつての主流

 ・高信頼性だが比抵抗が高い

 ・現在はアナログ・パワーに限定

●(2)Cu(銅)

 ・現行ロジックの主流

 ・抵抗が低く高速

 ・ただし Siへ拡散しやすくバリア膜が必須

 ・エッチング困難 → ダマシン法で形成

●(3)Co / Ru(次世代候補)

微細化に伴うCu抵抗増加を避けるため注目。

 ・Co:配線抵抗上昇が少ない

 ・Ru:バリアレス配線が可能かもしれない

【3】配線形成の基本プロセス

Cu配線は「ダマシン法」で作られる。

【ダマシン手順】

1.絶縁膜(Low-k)を成膜

2.エッチングで溝とビア(穴)を形成

3.バリア膜成膜(TiN/TaN など)

4.Cuシード層(薄いCu膜)をスパッタで成膜

5.電解メッキ(ECP)でCuを埋める

6.CMPで余分なCuを削って平坦化

7.上層へ移る(多層構造)

Cuはプラズマでエッチできないため、
削るのではなく埋めて削る という特殊方式になる。

【4】バリア膜の役割

バリア膜は Cu拡散を防ぐ防護壁

 ● TiN / TaN / Co / Mn系など

 ● 数 nm の薄膜でSiを守る

 ● 微細化では“薄くて高性能”が必要

配線が細くなるほど、バリア膜の厚みが配線の抵抗増に大きく影響する ため、
今後は バリアレス配線 が鍵となる。

【5】Cuメッキ(ECP)のポイント

電解メッキでCuを成長させる工程。

 ● シード層の上に電気化学的にCuを堆積

 ● 添加剤で“底から上へ”成長を制御

 ● 初期欠陥(ボイド、シーム)が信頼性に直結

不完全なメッキ → 配線断線 → 歩留まり低下 という致命的な不良になる。

【6】多層配線の構造(Interconnect Stack)

配線層には役割の違いがある。

 ● 下層(M0〜M2):細い・高速信号

 ● 中層(M3〜M6):ロジック内部配線

 ● 上層(M7〜):太い・電源ライン・クロック

階層構造で配線抵抗・容量を最適化している。

【7】RC遅延(配線抵抗 × 配線容量)問題

配線微細化の最大の敵は RC遅延

 ● 配線が細くなる → 抵抗(R)が増加

 ● 配線間が近づく → 容量(C)が増加

結果:

→ 回路速度を下げる最大要因になる

対策:

 ● Low-k膜(誘電率の低い絶縁膜)

 ● バリア膜薄膜化

 ● 代替金属(Co / Ru)

 ● Air-gap構造(空気で誘電率を下げる)

【8】微細化で顕在化する課題(3nm / 2nm世代)

 ● Cu抵抗の急増(サイズ効果)

 ● バリア膜が相対的に厚すぎる

 ● ビアのアスペクト比が高く埋め込み困難

 ● Low-k膜が脆く信頼性低下

 ● CMPによるディッシング・エロージョン

 ● 発熱増大(密集配線)

トランジスタより配線の方が限界に来ている と言われるのはこのため。

【9】最新動向

次世代の配線では以下が注目されている。

 ● バリアレスRu配線(抵抗低、プロセス簡素化)

 ● Co配線の量産化(特にビア)

 ● Air-gap絶縁膜

 ● Hybrid Bonding による3D配線

 ● AIによるCMP+配線設計最適化

 ● 量子コンピュータ向け低温配線

キーワードは
低抵抗化 × 高信頼性 × 3D化。

【10】まとめ

 ● 配線形成は半導体性能の最後の決定要因

 ● Cu配線はダマシン法が必須

 ● バリア膜が微細化で大きな課題

 ● RC遅延が速度を支配する

 ● 次世代はCo/Ruなど新材料が鍵

 ● 配線技術は 2nm世代の最大のボトルネック

【理解チェック】

1.Cu配線がダマシン法でしか作れない理由は?

2.バリア膜(TiN/TaN)の役割を説明してください。

3.微細化すると配線抵抗が増えるのはなぜ?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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