TECH COLUMN 技術コラム

5章:最先端プロセス技術
5-6. Chiplet化と2.5D / 3Dパッケージ技術

材料・加工技術

公開日:

【1】Chiplet化とは何か

従来の半導体は1枚の巨大チップ(モノリシック)として作られてきた。
しかし、微細化限界・コスト上昇・歩留まり悪化により、

大きいチップを1つ作るより、小さく分割してつなぐほうが効率的だという思想が生まれた。
これが Chiplet(チップレット)化である。

Chiplet化により:

 ● 違うプロセスノードのチップを組み合わせる

 ● 必要な部分だけ最先端プロセスを使う

 ● 歩留まりが向上しコスト最適化できる

 ● AI/GPU/CPUの拡張性が飛躍的に高まる という大きなメリットがある。

代表例:
AMD(Ryzen)、Intel(Meteor Lake)、NVIDIA(Grace Hopper)、Apple(Mシリーズ)

【2】2.5Dパッケージの基礎(インターポーザ方式)

2.5Dは、チップ同士を横に並べて、
シリコン基板(インターポーザ)の上で高速接続する方式

特徴:

 ● TSV付きシリコンインターポーザが配線の役割を担う

 ● 極めて広帯域の通信が可能(HBMの基盤技術)

 ● チップレット間の距離が短い(低レイテンシ)

用途:

 ● HBM + GPU(NVIDIA、AMD)

 ● HPC向けCPU

 ● 大規模AIアクセラレータ

2.5Dは、現在のAI半導体の“標準構造”となっている。

【3】3Dパッケージ(積層接続)の特徴

3Dパッケージは、チップ同士を縦方向に積む方式で、より密度が高く、高帯域の接続を可能にする。

代表例:

 ● ロジック上にDRAMを直接積層(Hybrid Bonding)

 ● SRAMなどのメモリをロジック上に統合

 ● 次世代HPC・AIプロセッサ

3D積層により、従来のパッケージ構造を超える:

 ● 超低レイテンシ

 ● 超広帯域

 ● 配線長の劇的短縮

 ● 小型化

ただし、熱問題が最大の課題となっている。

【4】Chiplet接続技術(UCIeとHybrid Bonding)

●(1)UCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)

半導体各社が共通で使える、Chipletの標準インターフェース規格

目的:

 ・ 異なるメーカーのチップを組み合わせる

 ・ サプライチェーンの拡張

 ・ 開発コスト削減

将来的には「CPUはA社、AIチップはB社、I/OはC社」を
自由に組み合わせる世界が実現すると言われる。

 

●(2)Hybrid Bonding(ハイブリッドボンディング)

現在もっとも注目される3D接続技術。

特徴:

 ・ Cuと絶縁膜を“直接結合”

 ・ 極めて短距離で接続でき、抵抗と寄生容量が大幅減

 ・ TSVよりもさらに高密度実装が可能

TSMC、Intel、Samsungが量産化に向けて投資を加速している。

【5】Chiplet / 2.5D / 3Dがもたらす変化

●(1)アーキテクチャの大変革

「モノリシックの時代 → Chipletの時代」
この変化は、半導体産業の構造すら変える。

 

●(2)設計自由度の飛躍

 ・ 必要な部品だけ先端ノード

 ・ アナログは成熟ノードでOK

 ・ メモリを近くに置いて高速化

合理性と性能を両立できる。

 

●(3)製造の分業が進む

同じパッケージ内で:

 ・ 先端ロジック:TSMC

 ・ メモリ:Samsung / SK hynix

 ・ I/O:GlobalFoundries …のように世界規模の分業が成立する。

 

●(4)AI時代に必須の技術

ChatGPTを動かすAIサーバーは、
HBM × GPU × 2.5D / 3D の組み合わせが前提。

AI需要が増えるほど、Chiplet化は避けて通れない中核技術となる。

【6】課題と制約

メリットが大きい一方で、以下の課題が存在する:

 ● 熱問題(縦方向ほど深刻)

 ● 設計ルールが複雑

 ● 歩留まりにChiplet全体が左右される

 ● パッケージ工程の難易度が急上昇

 ● 材料特性(CTE差・熱膨張)による応力

特に熱問題は深刻で、いま業界は 冷やせるChiplet を求めている。

【7】まとめ(5-6)

 ● Chipletは巨大チップの限界を乗り越える設計思想

 ● 2.5DはHBM時代を支えるインターポーザ方式

 ● 3Dは超高密度だが、熱と歩留まりが課題

 ● UCIeとHybrid Bondingが次世代の接続技術

 ● AI時代の半導体は「Chiplet × 2.5D × 3D」が主戦場

【理解チェック】

1.Chiplet化が生まれた主な背景は何ですか?

2.2.5Dパッケージでインターポーザを使う理由を答えてください。

3.Hybrid Bondingの特徴を1つ挙げてください。

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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