【1】ワイヤボンディングとは
半導体チップ上のパッドと、リードフレーム/基板を
直径 15〜30 µm 程度の極細ワイヤで接続する技術。
主な方式:
・ボールボンディング(Ball Bonding)
・ウェッジボンディング(Wedge Bonding)
ワイヤ材質は以下が主流:
・金(Au)
・銅(Cu)
・銀(Ag)
・アロイ線(PdコーティングCuなど)
ワイヤボンディングは「安価・成熟・高信頼性・柔軟」
という特性から、現在も全パッケージの70%超で使用されている。
【2】ボールボンディング(Ball Bonding)
最も一般的な方式。
工程概要:
1.ワイヤ先端を放電で溶融 → ボール(Ball)形成
2.加熱+超音波でチップ側パッドに接合(1st bond)
3.ワイヤを引っ張り、基板/リード側に接合(2nd bond)
4.ワイヤを切断
特長:
・高速量産に最適(1秒あたり10~15本など)
・材料はAu → Cu → Agへとコストダウン進行
・1st bond のボール品質が信頼性を左右
課題:
・銅ワイヤは酸化しやすいため保護ガスが必要
・微細パッド(<40 µm)では高度な制御が必要
【3】ウェッジボンディング(Wedge Bonding)
主にアルミ(Al)ワイヤを用いる方式。
特長:
・RF用途に強い(インピーダンス調整しやすい)
・ボールが不要なため、狭ピッチでも配線可能
・車載・パワーデバイスで多用
課題:
・速度が遅く量産性はボールボンドに劣る
・パッド設計の自由度が低い
【4】材料選択(Au → Cu → Ag への移行)
■ Au(ゴールド)
・酸化しない
・接合性が良い
→ かつての主流、現在はコスト面で減少
■ Cu(銅)
・低コスト、高強度、高電気伝導
→ 量産のデファクトスタンダード
課題:
酸化しやすく、接合条件の管理がシビア。
高湿度環境では信頼性が低下しやすい。
■ Ag(銀)
・Cuより柔らかい
・酸化しにくい
・超微細ピッチで有利
コストと加工性のバランスから採用が増加中。
【5】ワイヤボンディングの主要課題(実務者向け)
● リフトオフ(ボンドが剥離)
・超音波の過剰 / 不足
・表面酸化
・材料劣化
● クラック / パッド剥離
・圧力過多
・熱設計不良
・低k層への応力集中
● ループ形状不良
・ワイヤ強度不足
・ボンダー設定ミス
● 湿度・腐食による劣化
・Cuワイヤは特に注意
ワイヤボンドは古い技術ではなく、
プロセスの最適化・材料選定・応力設計が高度に求められる技術領域である。
【6】ワイヤボンドが今も使われ続ける理由
・コストが圧倒的に低い
・設備投資が少ない
・不良解析が容易
・熱ストレスに強く、車載・産業用途で信頼性が高い
・フリップチップより設計自由度が高い
そのため、スマホ~車載~パワー半導体まで
現在も最も採用されているパッケージ接続方式である。
【理解チェック】
1.ボールボンディングとウェッジボンディングの違いを説明してください。
2.Au → Cu ワイヤへ材料が移行した主な理由は?
3.Cuワイヤが採用されるうえでの最大の技術的課題は何か?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。
