TECH COLUMN 技術コラム

6-7. HBM / Chiplet 時代のパッケージ革新

材料・加工技術

公開日:

AI・HPC(高性能計算)の時代に入り、「チップを速くする」よりも「どうつなぐか」 が性能を決めるようになった。
その中心にあるのが、
・HBM(High Bandwidth Memory)
・Chiplet アーキテクチャ
・2.5D / 3D パッケージ である。

【1】なぜHBM / Chipletが必要になったのか

① メモリ帯域がボトルネックになった

AIチップでは、

・演算性能(FLOPS)は指数関数的に向上

・メモリ帯域は相対的に伸びにくい

結果として計算できるのにデータが来ない 状態が発生。

→ CPU/GPUの近くにメモリを置く必要が生じた。

 

② モノリシックSoCの限界

1チップ化(モノリシック)では、

・チップサイズ肥大

・歩留まり悪化

・コスト急増 が避けられない。

→ 機能ごとに分割し、後工程でつなぐ という発想へ。

【2】HBM(High Bandwidth Memory)とは何か

HBMとは、DRAMを垂直方向に積層し、TSVで接続した超高速メモリ

特徴:

・非常に広いI/O幅(数千bit)

・低クロック・低消費電力

・GPU / AIアクセラレータと近接配置

結果として:

・帯域:数TB/sクラス

・電力効率:従来DDRより大幅改善

AIチップでは事実上の必須部品。

【3】Chipletアーキテクチャの考え方

Chipletとは、機能ごとに分割した小さなダイ(チップ)を、

高密度パッケージで接続して1システムとして動かす設計思想。

分割例:

・演算ダイ

・I/Oダイ

・メモリダイ

・アクセラレータダイ

 

Chipletのメリット

・歩留まり向上(小ダイ化)

・プロセス最適化(演算は先端、I/Oは成熟)

・設計の再利用性

・開発期間短縮

 

Chipletの課題

・接続遅延

・電力消費

・パッケージ難易度

・テスト複雑化

→ パッケージ技術が性能を左右。

【4】2.5D パッケージ(Interposer技術)

2.5Dは、複数チップをシリコンインターポーザ上に並べて接続する構造

代表例:

・CoWoS(TSMC)

・EMIB(Intel)

・I-Cube(Samsung)

特徴:

・超微細配線

・高速・低遅延

・HBMとの親和性が高い

AIチップの主流構造。

【5】3D パッケージ(TSV積層)

3Dは、チップ同士を垂直方向に積層し、TSVで直接接続する方式。

特徴:

・最短配線

・最高帯域

・最小レイテンシ

 

一方で:

・放熱が極めて難しい

・信頼性評価が厳しい

・歩留まりリスクが高い

→ 限定用途・研究段階が多い。

【6】HBM / Chiplet時代の最大課題

●(1)歩留まりとコスト

・複数ダイを1パッケージに集約

・どれか1つ不良 → 全体不良

Known Good Die(KGD)が必須。

 

●(2)熱設計

・HBM+演算ダイで高熱密度

・局所ホットスポット発生

→ 放熱構造と配置設計が性能を決める。

 

●(3)SI / PI / EMIの複雑化

・チップ間インターフェース高速化

・電源電流増大

→ パッケージCo-designが前提。

【7】最新トレンド

・HBM3 / HBM3E / HBM4 への進化

・インターポーザ大型化

・有機インターポーザの研究

・Chiplet標準化(UCIe)

・光I/Oとの融合(将来)

【8】まとめ(6-7)

・AI時代は「演算」より「接続」が重要

・HBMは帯域ボトルネックを解消する鍵

・Chipletはコストと歩留まりの現実解

・2.5Dが主流、3Dは高難度

・パッケージ技術がシステム性能を決める

【理解チェック】

1.なぜAIチップでHBMが必須になったのか?

2.Chiplet化が歩留まり改善につながる理由は?

3.2.5Dと3Dパッケージの最大の違いは何か?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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