TECH COLUMN 技術コラム

8-9. 日本企業の立ち位置と強み

材料・加工技術

公開日:

半導体産業の話になると、よくこう言われる。
「日本は半導体で負けた。」
確かに、
・CPU
・GPU
・スマートフォンSoCなどの最先端ロジック分野では米国・台湾・韓国企業が主導している。
しかしそれだけを見ると、半導体産業の構造を誤解してしまう。
実際には、日本企業は半導体サプライチェーンの重要部分をいまも世界トップレベルで担っている。

【1】半導体産業における日本の位置

日本企業は主に

・材料

・製造装置

・基板

・検査 といった製造支援領域で強い。

つまりチップを設計する国ではなく、チップを作るための基盤を支える国という位置にある。

【2】材料分野の強み

半導体材料では日本企業の存在感が大きい。

代表例:

・信越化学(シリコンウェハ)

・SUMCO(シリコンウェハ)

・JSR(フォトレジスト)

・東京応化(フォトレジスト)

・住友化学(材料)

これらの企業は世界シェア上位を占める。

【3】製造装置分野の強み

半導体製造装置でも日本企業は強い。

代表企業:

・東京エレクトロン

・SCREEN

・Hitachi High-Tech

・EBARA

・Canon

特に

・洗浄装置

・成膜装置

・計測装置などで世界シェアが高い。

【4】パッケージ基板の強み

高性能半導体の基盤であるABF基板でも日本企業が強い。

代表企業:

・Ibiden

・Shinko

AIチップの普及でこの分野の重要性は急上昇している。

【5】検査・計測技術

半導体はナノメートル精度の産業。

そのため検査・計測技術が重要になる。

日本企業は

・電子顕微鏡

・計測装置

・検査技術などで世界的な強みを持つ。

【6】日本が弱くなった分野

一方で日本が弱くなった分野もある。

主な領域:

・最先端ロジック半導体

・Fabless企業

・Foundry

現在の最先端ロジック製造は

・TSMC

・Samsungが主導している。

【7】なぜ日本は後退したのか

理由は複合的。

・設備投資競争の激化

・ITバブル後の再編

・設計企業の不足

・水平分業への対応遅れ

特にFabless企業の育成不足が大きかった。

【8】現在の日本半導体戦略

近年、日本政府は半導体産業の再強化を進めている。

主な取り組み:

・Rapidusプロジェクト

・TSMC熊本工場

・装置・材料支援

目的は先端製造の国内回帰。

【9】Rapidusの挑戦

Rapidusは日本主導の先端ロジック製造企業。

目標:

・2nmプロセス

・北海道工場

IBMとの協力で開発が進んでいる。

成功すれば日本の製造力復活につながる。

【10】日本の役割

日本の半導体産業は「主役」ではなく「基盤」である。

しかし基盤が止まれば産業は止まる。

つまりサプライチェーンの要石。

【11】今後の可能性

日本が強い分野は今後さらに重要になる。

・材料

・装置

・パッケージ

・パワー半導体

特に

・EV

・AI

・データセンターの成長で需要が拡大している。

【まとめ|8-9】

・日本は設計分野では弱い

・材料・装置では世界トップ

・サプライチェーンの基盤を担う

・Rapidusで先端製造復活を目指す

・今後も材料・装置が重要

【理解チェック】

1.日本企業が強い半導体分野は何か?

2.日本が最先端ロジックで弱くなった理由は?

3.Rapidusプロジェクトの目的は何か?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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