TECH COLUMN 技術コラム

4-7. ドーピング(Doping)

材料・加工技術

公開日:

【1】ドーピングとは何か

ドーピングとは、半導体(Si)に微量の不純物(ドーパント)を注入して電気特性を制御する工程。

これにより、以下のような性質を作り出せる:

  • n型(電子が多い層)
  • p型(正孔が多い層)
  • PN接合(ダイオードの基礎)
  • トランジスタのソース/ドレイン形成
  • 閾値電圧(Vth)の調整

半導体が半導体として動作する理由の中心は、このドーピングにある。

【2】ドーパント(不純物元素)の種類

代表的なドーパントは以下の通り。

  • n型形成
  • リン(P)
  • ヒ素(As)
  • アンチモン(Sb)
  • p型形成
  • ホウ素(B)
  • ガリウム(Ga)
  • アルミニウム(Al)

特に現代ロジックでは B(p型)、As・P(n型) が主流。

【3】ドーピングの2つの方式

ドーピングは大きく2つに分類される。

 

  • (1)イオン注入(Ion Implantation)

電場で加速したイオンをウェハに衝突させ、内部に打ち込む方式。

特徴:

  • 極めて精密に量(ドーズ)を制御可能
  • 深さをエネルギーで調整できる
  • 温度が低い(熱影響が小さい)
  • ほぼ全プロセスで標準技術

 

  • (2)熱拡散(Diffusion)

高温でドーパントがSi中に自然に広がる現象を利用。

特徴:

  • 均一に深く拡散
  • かつて主流 → 今はイオン注入に置き換え
  • 一部センサーやパワーデバイスで使用

【4】イオン注入のパラメータ(Dose & Energy)

イオン注入は2つの数値で決まる。

  • Dose(ドーズ量)

=どれだけ濃く混ぜるか(/cm²)

  • 低濃度:ウェル形成、チャネル調整
  • 高濃度:ソース/ドレイン形成(LDD/HDD)
  • Energy(加速エネルギー)

=どの深さまで打ち込むか(keV〜MeV)

深く → 高エネルギー(ウェルやパワーデバイス)
浅く → 低エネルギー(微細ロジック)

特に先端ロジックでは
極浅注入(USJ:Ultra Shallow Junction) が必須。

【5】アニール(Annealing)の役割

イオン注入直後のSiは構造が乱れているため、
アニール(急速加熱)で結晶を修復する。

目的:

  • 半導体結晶のダメージ回復
  • ドーパントの活性化(導電性を発揮させる)
  • PN接合の深さ調整

代表的な技術:

  • RTA(Rapid Thermal Anneal)
  • SPA(Spike Anneal)
  • Laser Anneal(局所加熱)

微細化のため、
横に広がらず、縦だけ活性化 できる方法が求められている。

【6】微細化でドーピングが難しくなる理由

デバイスが微細化するほど、次の課題が顕在化する。

  • ショートチャネル効果 により電圧制御が難しくなる
  • 極浅接合の形成が困難
  • イオン注入によるダメージが深刻化
  • LDD/HDDの寸法バラつきが増える
  • GAA(ナノシート)構造は側面に均一注入が必要

そのため、ドーピングは年々難易度の高い技術となっている。

【7】最新のドーピング技術

現代の先端ロジックでは、以下のトレンドが中心。

  • プラズマドーピング(PLAD)

レジストマスクへのダメージが少ない。

  • レーザーアニール

局所的に瞬間加熱し、横方向の拡散を抑制。

  • モノレイヤードーピング(MLD)

原子1層レベルの制御を目指す研究技術。

  • GAA向けラップアラウンド注入

3D構造の側面へ均一に注入する技術。

微細化=縦だけ活性化して横を拡散させない技術 の追求。

【8】ドーピングが使われる代表的な用途

  • ソース/ドレイン形成
  • ウェル形成
  • 閾値電圧(Vth)調整
  • SRAM安定化
  • パワーデバイスの耐圧構造
  • センサーの抵抗層形成

半導体の性格づけに欠かせない工程。

【9】まとめ

  • ドーピングは半導体に電気的性質を与える中心工程
  • イオン注入が主流、深さと濃度はDoseとEnergyで制御
  • アニールで結晶修復+ドーパント活性化
  • 微細化により極浅接合形成が激しく困難に
  • 3D構造(GAA・FinFET)では新手法が必要

【理解チェック】

1.ドーピングの目的を一言で説明してください。

2.イオン注入におけるDoseとEnergyは何を決める?

3.アニールが必要なのはなぜ?

 

余談ですが、私の卒論テーマは、導電性超高分子中におけるδドーピングの電解分布だったはずです。

それをプログラミングして、グラフ化したはずですが、今振り返るとなぜそんなことができたのか不思議です。

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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