【1】アンダーフィルとは何か
アンダーフィルとは、
フリップチップ実装後、チップと基板の隙間に充填する樹脂材料のこと。
主な役割は以下:
・はんだバンプへの応力分散
・熱サイクル耐性の向上
・落下・衝撃耐性の強化
・湿気・汚染からの保護
特にバンプ微細化が進むほど、アンダーフィルの有無で寿命が桁違いになる。
【2】なぜアンダーフィルが必須になったのか
① CTEミスマッチの吸収
・Siチップ
・有機基板
・はんだ は熱膨張率(CTE)が大きく異なる。
→ 温度変化のたびに、バンプが引っ張られ続ける。
アンダーフィルはこの応力を面で受け止める。
② バンプの微細・低背化
・バンプ径縮小
・ピッチ縮小
→ 機械的余裕がなくなる。
材料で守らないと成立しない構造になった。
【3】アンダーフィル材料に求められる特性
要求は非常に多い。
代表例:
・低弾性率(応力緩和)
・適切なガラス転移温度(Tg)
・高接着性(Si / Cu / 基板)
・低吸湿性
・流動性(微細ギャップ充填)
これらはすべてトレードオフ関係。
【4】主なアンダーフィル方式
● キャピラリーアンダーフィル(CUF)
・実装後に樹脂を流し込む
・低コスト
・充填時間が長い
● ノーフローアンダーフィル(NUF)
・実装前に塗布 → リフロー同時硬化
・工程短縮
・材料制御が難しい
● モールドアンダーフィル(MUF)
・モールディングと一体化
・Fan-outや先端パッケージで主流
・装置・材料依存が強い
【5】モールディング材料の役割
モールディング材(封止樹脂)は、
・チップ全体の保護
・外部環境からの遮断
・機械強度の付与 を担う。
近年は、
・大型パッケージ
・薄型化
・高熱密度 により、材料要求が急激に厳しくなっている。
【6】代表的な故障モード
● クラック
・熱サイクル起因
・材料硬すぎ → 応力集中
● デラミネーション
・材料界面剥離
・吸湿+加熱で顕著
● ボイド
・充填不良
・放熱・信頼性低下
● ポップコーン現象
・吸湿樹脂が加熱で膨張
・パッケージ破壊につながる
【7】WLP / Fan-outでの材料革新
WLPやFan-outでは:
・チップが非常に薄い
・RDLが直接樹脂上に形成
そのため:
・超低弾性率材料
・低反り材料
・低吸湿・低応力材料 が不可欠。
材料選定=構造設計の一部になっている。
【8】最新トレンド
・超低弾性率アンダーフィル
・高Tg × 低応力材料
・低吸湿モールディング材
・シミュレーション連携材料設計
・AIチップ向け高放熱樹脂
【9】まとめ(6-9)
・アンダーフィルはバンプ寿命を左右
・CTE差吸収が最大の役割
・微細化で材料要求は激増
・モールディング材は保護+構造材
・材料選定が信頼性を決める
【理解チェック】
1.アンダーフィルの主な役割は何か?
2.バンプ微細化が進むほどアンダーフィルが重要になる理由は?
3.モールディング材料で特に注意すべき信頼性課題は何か?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。
