省令改正の背景
これまで化学物質を取り扱う事業者は、労働安全衛生法及び同法に基づく安衛則や有機則、特化則などの特別則に従い、対象物質ごとや有害業務ごとに労働衛生管理体制の確立や作業環境・作業方法・保護設備の設置・特殊健康診断の実施対応などにより、化学物質による危険や健康障害の防止に取り組んできました。
しかしながら、化学物質に関連する労働災害の現状は、
〇業務上疾病発生状況の「化学物質による疾病数(休業4日以上)」では直近の5年間では、年間ほぼ200人台で増減を繰り返している。
〇化学物質による休業4日以上の労働災害のうち、特定化学物質障害予防規則(特化則)等の規制の対象外物質を原因とするものは約8割を占める。
〇新たに個別管理への規制が決まると、当該物質の使用をやめ、自主管理物質に変更し、その危険・有害性を十分に確認、評価せず、十分な対策が取られずに労働災害が発生する状況が生じている。
〇労働災害の多くの場合、危険・有害性を知らないで化学物質を取り扱ったことに起因しており、ラベル・SDSの情報に基づき、リスクアセスメントを実施すれば防げた事故が多い。
などとなっておりました。
これを受けて厚生労働省は、令和元(2019)年9月から令和3(2021)年7月までの計15回にわたり「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」を開催し、化学物質管理の在り方について有識者による検討が行われ、化学物質の自律的な管理を中心とする報告書を公表し、令和4(2022)年5月に安衛則をはじめとする省令改正が公布されることとなりました。
事業者の対応
省令改正に基づき、事業者が対処するべき措置義務対象が大幅に拡大され、国が定めた管理基準を達成する手段は、有害性情報に基づくリスクアセスメントにより事業者が自ら選択可能となりました。これに関連し化学物質規制に関するおよそ20項目が令和4(2022)年5月31日の公布より段階的に施行され、令和6(2024)年4月1日より全ての化学物質規制項目が施行されました。
オーティスの対応
オーティス株式会社では、化学物質の適切な管理と健康障害の防止を推進するため、社内の規程を見直すとともに、大胆な組織改革を実施しEHS(Environment・Health・Safety)推進課を新たに創設しました。
化学物質管理者の選任・設置に対応するため、選抜した社員には化学物質管理者専門的講習の受講を促し、得られた専門的知識に基づいて弊社において取り扱う化学物質に関するリスクアセスメントを実施し、さらにその結果に基づき保護具着用管理責任者も選任・設置しております。
また法令順守はもちろんのこと、同じ講習の受講を通じて同等の知識を持つ社員を増やすことで、全社的に化学物質の自律的な管理の推進を実現しやすくする環境を整え、一層の安心安全な職場づくりを目指しております。
お客様のみならず従業員からも信頼される企業、それがオーティス株式会社です。