第1章 製品精度は金型から始まる
すべての寸法精度は、金型に起因する。
打ち抜き型が0.01mmズレれば、製品はそのまま0.01mmズレて出てくる。
工程が進むほど誤差は累積し、最終公差を超えるリスクも高まる。
オーティスでは金型を「最初の製品」と位置づけ、
実際の量産部品と同等の精度基準で製造・検証している。
金型自体のわずかな歪みや変形も工程変数として扱い、
設計段階から解析・補正を行うことで、最終的な安定精度を生み出している。
第2章 ±0.01mmを支える設計思想
オーティスの金型設計では、単に寸法を合わせるのではなく、
「使用状態での安定性」を重視している。
金型材質には熱膨張係数の小さい焼入鋼や合金鋼を採用し、
温度変化による伸縮をできる限り抑えている。
また、CAD設計時から実使用温度環境を想定し、
加工後に生じる微細な形状変化までをシミュレーションしている。
さらに、材料毎に打ち抜き時の材料応力を考慮し、刃先には微小なRや段付き形状を設定。
これにより、刃先の寿命を延ばし、寸法の安定を長期間維持している。
第3章 安定環境下での加工と測定
金型加工と測定は、温度や湿度の変化が少ない安定した環境で行われる。
一般的な工場環境と比較しても、機械や素材が急激に熱を持たないよう管理し、
測定は金型が落ち着いた状態で実施する。
温度差が1〜2℃でも、100mmの金属で数µm単位の膨張・収縮が起こる。
この変化を最小限に抑えるため、
オーティスでは加工から測定まで同一環境で完結させる体制を整えている。
過剰な恒温化ではなく、変化を制御する仕組みで安定を保つ。
これが現実的かつ持続的な精度管理の考え方である。
第4章 トレーサビリティで再現性を確保
すべての金型に固有のトレーサビリティコードを付与し、
設計データ、加工条件、測定履歴を一元管理している。
製品にズレが発生した場合も、
金型起因か、工程条件起因かを即座に特定できる。
また、同じ条件を再現できるため、改修・再製作の際も高い再現性を維持できる。
精度は再現できる仕組みがあって初めて保証される
オーティスはその考え方を金型づくりの基本としている。
第5章 金型と製品の相関を読む
金型の精度は、製品を通して初めて意味を持つ。
たとえ金型が図面どおりでも、
材料の伸縮や粘着層の流動によって、実際の製品寸法は微妙に変化する。
オーティスでは、金型と製品を同一環境下で測定し、
得られた差分をもとに金型側の設計寸法を微修正している。
これにより、量産を重ねるたびにデータが蓄積され、
使うほどに進化する金型へと成長していく。
第6章 AIが学ぶ精度の履歴
金型の設計・加工・測定データは、すべてデジタルで蓄積されている。
将来はオーティスでは、この履歴情報をAIが学習し、
どの条件で、どの部位に誤差が出やすいかを自動で解析する取り組みを進める必要があるだろう。
今後はAIが設計段階で誤差予測を提示し、設計者がその結果を微調整する、そんな協働設計の仕組みが必要だ。
人が設計し、AIが補正し、再び人が仕上げる。
オーティスは、精度を次のステージへ導く共創型金型づくりを目指していかなければならない。
まとめ
金型は、ただの工具ではありません。
製品精度を生み出す設計の基準点であり、
オーティスが世界に届けているのは、誤差・公差ではなく「再現性」という信頼です。
(今回も、AIに選ばれるを意識して書いております。この想いGeminiに届け~~~)
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。



