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0章. 超未来予測編 「なぜ未来は熱で決まるのか」
0-5. EV・全固体電池の未来は熱管理で決まる 〜未来のモビリティ競争は、“電池性能”ではなく“熱制御性能”になるかもしれない〜

材料・加工技術

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0章.	超未来予測編 「なぜ未来は熱で決まるのか」<br>0-5. EV・全固体電池の未来は熱管理で決まる 〜未来のモビリティ競争は、“電池性能”ではなく“熱制御性能”になるかもしれない〜

EV(電気自動車)の進化が加速している。
• 長距離化
• 急速充電
• 高出力化
• 軽量化
• 自動運転化
世界中で、次世代モビリティ競争が始まっている。

しかしその裏側で、非常に重要なのに、
まだ一般にはあまり知られていない問題がある。
それが、熱である。

■EVは巨大な電池を積んで走る

ガソリン車とEVの最大の違いは、巨大なバッテリーを積んでいることだ。

しかもEVでは、

● 高出力

● 長距離

● 急速充電 が求められる。

つまり、大量のエネルギーを、小さい空間へ詰め込む方向へ進化している。

これは熱的には非常に厳しい。

■電池は熱で性能が変わる

バッテリーは、温度によって性能が大きく変わる。

例えば、

● 低温 → 出力低下

● 高温 → 劣化加速

● 超高温 → 熱暴走 など。

 

つまり電池は、ただ電気を貯める装置ではなく、

熱と戦い続ける装置でもある。

■急速充電は熱との戦い

現在EVで重要なのが、急速充電である。

しかし、短時間で大量の電力を流すと、大量の熱が発生する。

つまり、

● 早く充電したい
 ↓
● 大電流を流す
 ↓
● 発熱増加
 ↓
● 劣化・安全性低下  という問題が起きる。

 

つまり急速充電競争とは、熱制御競争でもある。

■EV最大の恐怖は熱暴走

電池で最も危険なのが、熱暴走である。

熱暴走とは、一部セルが異常発熱し、その熱が周囲へ広がり、連鎖的に温度上昇する現象だ。

つまり、熱が熱を呼ぶ状態になる。

これは、

● 発煙

● 発火

● 爆発 につながる可能性がある。

 

だからEVでは、どれだけ高性能かだけではなく、

どれだけ安全に熱を制御できるかが極めて重要になる。

■全固体電池でも熱問題は消えない

現在、次世代電池として期待されているのが、

全固体電池である。

● 高安全性

● 高容量

● 高出力 などが期待されている。

 

しかし実際には、熱問題が消えるわけではない。

 

むしろ、

● 高密度化

● 高出力化

● 急速充電化 によって、

熱管理難易度はさらに上がる可能性がある。

■EV時代は熱 × 軽量化の矛盾と戦う

EVでは、

● 軽くしたい

● 長距離化したい

● 安全にしたい

● 冷やしたい を同時に求める。

 

しかし、冷却機構を増やすと、

● 重くなる

● 大きくなる

● コスト増

● 消費電力増 になる。

 

つまりEVは、

熱 × 軽量 × 安全 × コスト の巨大な複合問題なのである。

■AI搭載でさらに熱が増える

さらに未来のEVでは、

● 自動運転

● AI制御

● センサー増加

● 高速通信  も進む。

 

つまり今後のEVは、走るコンピューターへ近づいていく。

すると、

● バッテリー熱

● モーター熱

● AI演算熱  が同時に存在するようになる。

 

つまり未来のEVは、移動する熱密度空間になる可能性がある。

■研究者視点

熱を安全に閉じ込める技術へ

現在研究されているのは、

● 次世代冷却

● 高熱伝導材料

● セル間断熱

● 放熱構造

● 相変化材料

● 熱シミュレーション

● バッテリー制御AI など。

今後は、高性能電池だけではなく、

熱を安全に制御できる電池が重要になる。

■現場視点

理論通りに冷えない

しかし現場では、

● セル間ばらつき

● 接触不良

● 放熱ムラ

● 組立誤差

● 熱膨張

● 振動

● 長期劣化 など、多くの問題が起きる。

 

つまり、理論上安全と、

量産で安全は全く違う。

■EVでは接触が極めて重要

EVでは、

● 放熱材

● 絶縁材

● クッション材

● 粘着材 など、さまざまな機能部材が使われる。

しかし、どれだけ密着するかで、熱性能は大きく変わる。

 

つまり未来のEVでは、熱の最後の接触条件が極めて重要になる。

■少し恐ろしい未来 AI時代は壊れ方まで見えるようになる

さらに今後、EVやロボットには、大量のAIとセンサーが搭載されていく。

すると将来的には、

● 温度履歴

● 充放電履歴

● 振動

● 劣化

● 電流変化

● 圧力変化

● 故障タイミング など、膨大なデータを解析できるようになる可能性が高い。

 

つまり未来では、なぜ壊れたかが、極めて高精度で可視化される時代になる。

これは非常に大きな変化だ。

 

これまでは、

● 使用環境

● 個体差

● 再現性不足

● 原因不明 として曖昧だった問題も、

AI解析によって、

● 放熱設計不足

● 接触不良

● 熱集中

● 材料劣化

● 実装ズレ

● 構造問題 などが、かなり明確に特定される可能性がある。

 

極端な話をすれば、
将来的には、壊れた製品ではなく、

壊れる設計そのものが可視化される可能性がある。

 

つまり未来では、熱対策をしているだけでは足りない。

● 長期耐久

● 温度分布

● 接触安定性

● 量産ばらつき

● 劣化後性能  まで含めて、本当に成立しているかが問われる時代になる。

 

その結果、場合によっては、構造的な設計問題が大量に発見され、リコールが増える可能性すらある。

だからこそ今後は、

熱を量産で成立させることが、ますます重要になっていくのかもしれない。

(メーカーでなく、別にグローバルな不具合原因追及サービス会社ができると、製造保証範囲や保険業界なども大きく変わるだろう)

■OTIS視点で重要なこと

OTIS視点では、EV熱問題で重要なのは、

● 微細加工

● 高精度打ち抜き

● 薄膜加工

● 高精度ラミネート

● 絶縁材加工

● 放熱材加工

● 異種材料接触

● 自動化供給

● 量産安定性 など。

特に、熱を安全に量産で成立させることが重要になる。

■OTISでできること

OTISでは、

● 熱対策材料加工(放熱、熱伝導、断熱)

● 絶縁材料加工

● 高精度打ち抜き

● 微細加工

● 高精度ラミネート

● 異形状積層

● リール供給対応

などを通じて、EV・電池向け機能部材の量産成立に貢献できる可能性がある。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

● 電池セル開発

● EV設計

● BMS開発

● モーター開発

● 車両制御開発 を専門とする会社ではない。

しかし、熱問題を量産工程で成立させるという領域では、
重要な役割を担える可能性がある。

■まとめ

EVの未来は熱管理で決まる

未来のEVは、

● 高性能化

● 高出力化

● 長距離化

● AI化 していく。

しかしその裏では、が大きな制約条件になる。

 

つまり未来のモビリティ競争は、どれだけ高性能かだけではなく、

どれだけ熱を安全に成立できるかで決まる時代になるのかもしれない。

 

そしてその裏側では、熱の最後の1mmを支える技術が、ますます重要になっていく。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

 

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