TECH COLUMN 技術コラム

10-7. 異形状積層(後編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

材料・加工技術

公開日:
10-7. 異形状積層(後編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

前編では、必要な場所へ必要な機能だけを配置するという考え方を見てきた。
部分グラファイト。部分絶縁。部分粘着。放熱と断熱の共存。段差と厚み分布。

しかし、設計として正しいことと、量産で作れることは別である。

全面フィルム同士を重ねるなら、位置合わせは比較的容易である。
5mm角の部材を±0.2mmで配置し、その上にさらに別材料を重ねる。
しかも薄く、柔らかく、透明となれば、難易度は一気に上がる。

さらに工程が増えるほど、位置ズレは累積する。
A±0.1mm。B±0.1mm。C±0.1mm。
最終的な相対位置は、どこまで保証できるのか。

そして完成後には見えなくなる。
透明フィルム同士の境界は、外観検査では確認できない。
だから、完成品を見るのではなく、工程内で保証する必要がある。

後編では、
キャリアと認識マークによる位置決め。
仮固定してから本圧着するという工程。
積層順序と基準材料の決め方。
先に抜くか、先に積層するかという判断。
転写加工という考え方。
機能ごとに精度を使い分ける公差配分。
界面が増えることによる異物と剥離のリスク。
材料歩留まりと位置精度コストの最適点。

さらに、実際に起きた失敗事例を見ていく。
全面に高価材料を使いコストが合わなかった例。
絶縁材の開口位置がずれて熱経路を塞いだ例。
細くしすぎて自動剥離できなかった例。
段差でTIMが浮いた例。
初期は良好でも熱サイクル後に境界から剥離した例。

最後に、どこまで一体化すべきかという判断を整理する。

目次

■異形状積層はラミネート難易度が高い

■小さい部材ほど位置決めが難しい

■キャリア上で位置を固定する小型異形部材をバラバラにすると 扱いにくい。

■認識穴・マークを工程用に設ける

■仮固定してから本圧着する方法

■積層順序で精度が変わる

■基準材料を決める

■先に積層してから外形を抜く

■先に異形状加工してから積層する

■ハーフカットを利用した積層

■転写加工という考え方

■位置ズレの累積を管理する

■全てを高精度にする必要はない

■異形状積層では外観検査だけでは足りない

■透明材料は積層後に見えなくなることがある

■金属箔は画像認識しやすいが反射する

■異物が材料境界へ入ると問題になる

■小さい異形部材ほど異物の影響が大きい

■端部数が増えるほど剥離リスクも増える

■鋭い角をRにする意味

■細いブリッジ部は機能と量産性のバランスを見る

■異形状が複雑すぎるとコストも増える

■材料歩留まりは異形状で大きく変わる

■積層順によって材料歩留まりも変わる

■高価材料は必要形状にしてから積層する価値がある

■ただし小さくしすぎると位置精度コストが上がる

■試作では手貼りできても、量産では難しい

■異形状積層と自動化は密接に関係する

■工程数削減は位置ズレ削減にもなる

■一枚化すると画像認識も簡単になる場合がある

■リール化で連続供給する

■どこまでOTISで積層するか

■失敗例:全面材料を使いすぎてコスト過多

■失敗例:絶縁材の開口位置がずれて熱経路を塞ぐ

■失敗例:異形状を細くしすぎて自動剥離できない

■失敗例:材料を重ねた段差でTIMが浮く

■失敗例:試作では一体化成功、熱サイクル後に境界剥離

■研究者視点:異形状積層は「材料の空間最適化」である

■現場視点:複雑形状には理由がある

■顧客図面をそのまま作るだけでなく、成立形状を提案する

■「一枚にする」こと自体が価値ではない

■OTIS視点:異形状積層はOTISの加工技術を統合する領域

■単一加工ではなく工程設計力が問われる

■OTISは機能を「部品化」する

■材料メーカーのカタログにない部品を作る

■OTISでできること

■OTISの専門外

■まとめ:異形状積層は、「全部に高性能材料を使う」からの脱却である

■異形状積層はラミネート難易度が高い

全面フィルムを重ねる。

比較的合わせやすい。

小さな異形部材を、

指定位置へ配置。

さらに別部材を重ねる。

位置精度が難しくなる。

つまり異形状積層では、

ラミネート設備・位置決め技術・キャリア設計

が重要になる。

■小さい部材ほど位置決めが難しい

5mm角の部材を±0.2mmで配置する。

位置ズレ率は大きい。

さらに、

薄い。

柔らかい。

透明。

となると難易度が上がる。

つまり微細加工と異形状積層は密接に関係する。

■キャリア上で位置を固定する小型異形部材をバラバラにすると 扱いにくい。

ライナーやキャリア上に保持する。

基準位置を作る。

その状態で次材料をラミネートする。

つまりキャリアは、異形状積層の位置精度を支える治具の役割を持つ。    

■認識穴・マークを工程用に設ける

最終製品には不要。

しかし加工中には必要。

例えば、

位置認識穴。

タブ。

アライメントマーク。

を設ける。

積層完了後に除去する。

つまり異形状積層では、完成形だけではなく加工途中の形状も設計する。

■仮固定してから本圧着する方法

異形部材を一度に強く貼ると、位置がずれる場合がある。

そこで、

微粘着で仮固定。

位置確認。

本圧着。

という工程。

これにより精度を上げられる場合がある。

つまり粘着技術も位置精度のために使える。

■積層順序で精度が変わる

材料Aを先に貼る。

その上にB。

次にC。

という順序。

一方、

BとCを先に一体化。

最後にAへ貼る。

どちらがよいか。

材料サイズ。

柔らかさ。

位置精度。

によって変わる。

つまり、積層順序も工程設計の一部

である。

■基準材料を決める

最も寸法安定性の高い材料。

例えば厚めのPETキャリア。

これを基準に、

銅箔。

TIM。

絶縁材。

を配置する。

すると全体位置を安定させやすい。

つまり、複数材料を対等に扱うのではなく、

一つの材料を基準骨格として使う

考え方もある。

■先に積層してから外形を抜く

複数材料を位置合わせ。

その後、完成外形を一括打ち抜き。

この方法なら、外形位置を揃えやすい。

ただし異種材料を同時に打ち抜く難易度が上がる。

つまり、

位置精度。

切断品質。

のバランスを考える必要がある。

■先に異形状加工してから積層する

各材料を必要形状へ加工。

その後ラミネート。

材料ごとの加工条件を最適化しやすい。

一方で、積層位置精度が難しい。

つまり異形状積層には、万能な工程順はない。

案件ごとに最適工程を作る必要がある。

■ハーフカットを利用した積層

異形部材をライナー上に残す。

不要部分だけ除去。

その状態で別材料へ転写・積層。

これによって、小さな部材を保持しながら積層できる。

つまりハーフカットは異形状積層でも重要になる。

■転写加工という考え方

ライナーA上の異形部材を、

別の基材Bへ移す。

これを繰り返して複数材料を配置する。

つまり材料を、

切る。

だけではなく、必要位置へ移動・転写する工程が必要になる場合がある。

■位置ズレの累積を管理する

材料A±0.1mm。

B±0.1mm。

C±0.1mm。

工程が増えるほど、相対ズレが累積する。

そのため最終機能位置から逆算して、

各工程精度を決める。

つまり、最終公差から工程公差を割り振る考え方が必要になる。

■全てを高精度にする必要はない

例えば、

絶縁境界は±0.1mm。

粘着外周は±0.5mmでもよい。

このように機能によって必要精度が違う。

すべてを最小公差にするとコストが上がる。

重要なのは、機能ごとに精度を使い分けることである。

■異形状積層では外観検査だけでは足りない

外形はきれい。

しかし、

材料AとBの重なり量。

絶縁端部位置。

粘着領域。

が正しいか。

を見る必要がある。

つまり検査対象は、単体寸法ではなく、材料間の関係になる。

■透明材料は積層後に見えなくなることがある

透明絶縁フィルム。

透明粘着材。

を重ねる。

外観から境界が見えにくい。

そのため加工途中で位置を検査する。

あるいは認識マークを使う。

つまり完成後に見えない機能は、

工程内で保証する必要がある。

■金属箔は画像認識しやすいが反射する

銅箔やアルミ箔は輪郭が見えやすい。

一方で光が反射する。

カメラ条件によっては輪郭認識が不安定になる。

つまり異形状積層では、

材料ごとに検査照明や認識方法を調整する必要がある。

■異物が材料境界へ入ると問題になる

複数材料の境界に異物。

一部が浮く。

段差ができる。

熱抵抗が増える。

絶縁リスク。

になる。

つまり異形状積層では、材料界面が多いため異物管理も重要になる。

■小さい異形部材ほど異物の影響が大きい

部材が5mm。

異物が0.1mm。

相対的に大きい。

つまり微細異形部材では、

従来問題にならなかった微粒子も問題になる。

クリーン加工の要求も高まる。

■端部数が増えるほど剥離リスクも増える

複雑形状には、

角。

切り欠き。

細い部分。

が多い。

つまり端部も増える。

端部は応力集中しやすい。

熱サイクル。

振動。

で剥離起点になる場合がある。

つまり形状を複雑にするほど、耐久性も考える必要がある。

■鋭い角をRにする意味

内角が鋭い。

応力集中。

破れ。

剥離。

が起きやすい。

可能ならRを付ける。

これによって加工性や耐久性を改善できる場合がある。

つまり、図面形状そのものを量産向けに改善することも加工会社の役割になる。

■細いブリッジ部は機能と量産性のバランスを見る

二つの大きな領域を細い材料でつなぐ。

熱経路としては必要。

しかし、

加工中に切れる。

剥離で変形。

量産で安定しない。

可能性がある。

そこで少し太くする。

一時的キャリアを付ける。

つまり設計と工程をセットで考える。

■異形状が複雑すぎるとコストも増える

形状が複雑。

金型が難しい。

材料歩留まりが悪い。

カス上げが難しい。

検査も増える。

つまり機能上不要な複雑さは避けるべきである。

重要なのは、必要な複雑さだけを残すことである。

■材料歩留まりは異形状で大きく変わる

L字。

コの字。

細長い形。

ロール上への配置次第で、材料ロスが大きくなる。

回転させる。

入れ子配置。

千鳥配置。

で歩留まりを改善できる。

つまり異形状積層では、材料費まで加工設計に関係する。

■積層順によって材料歩留まりも変わる

高価な材料を先に全面貼り。

その後大きくカスを抜く。

大量に廃棄。

一方、

高価材料を先に異形加工。

必要部分だけ積層。

歩留まり改善。

という場合がある。

つまり工程設計は、

材料コストにも直結する。

■高価材料は必要形状にしてから積層する価値がある

グラファイト。

特殊TIM。

高機能金属箔。

これらは高価。

全面ラミネートしてから不要部分を大量廃棄するより、

必要形状だけ積層する方が有利な場合がある。

ここで異形状積層の価値が出る。

■ただし小さくしすぎると位置精度コストが上がる

材料節約のため、ぎりぎりまで小さくする。

すると位置ズレ余裕がなくなる。

高精度ラミネートが必要。

設備・検査コストが増える。

つまり材料歩留まりと加工コストの最適点を見る必要がある。

■試作では手貼りできても、量産では難しい

異形状部材をピンセットで合わせる。

試作ならできる。

量産では時間がかかる。

作業者差も出る。

そこで、

キャリア。

治具。

リール。

自動貼付。

を考える。

つまり異形状積層は、量産方法まで設計して初めて成立する。

■異形状積層と自動化は密接に関係する

部材A。

B。

C。

を別々に顧客が貼る。

自動設備も3工程必要。

OTIS側で一体化。

顧客は一部材だけ貼る。

つまり異形状積層は、顧客自動化工程を簡単にする前加工として価値がある。

■工程数削減は位置ズレ削減にもなる

顧客が3回貼る。

各工程で位置ズレ。

一体部材なら1回。

相対位置はOTIS側で管理済み。

つまり積層による部品点数削減は、組立工数だけでなく、機能位置の安定化にもつながる。

■一枚化すると画像認識も簡単になる場合がある

小さな透明フィルムを3枚別々に認識。

難しい。

一体化した部材に大きな認識穴を設ける。

設備は一回認識。

つまり異形状積層によって顧客設備側の認識設計も簡単にできる場合がある。

■リール化で連続供給する

異形状積層部材を、

一定ピッチ。

一定向き。

でライナー上へ配置。

リール化。

顧客設備が剥離・貼付。

これにより複雑な部材でも自動化しやすくなる。

つまり異形状積層とリール供給を組み合わせることで、

複雑な機能部材を単純な量産工程へ変える

■どこまでOTISで積層するか

材料AとBは位置精度が非常に重要。

OTISで一体化。

材料Cは顧客設備で簡単に貼れる。

Cは顧客側。

このように工程分担を設計する。

つまり異形状積層は、プライチェーンの工程設計でもある。

■失敗例:全面材料を使いすぎてコスト過多

ホットスポットは一部。

しかし全面に高価グラファイトを配置。

性能は良好。

ただしコストが合わない。

必要部分だけ異形状配置へ変更。

性能を維持しながら材料使用量を削減。

つまり異形状積層で全体最適できた例である。

■失敗例:絶縁材の開口位置がずれて熱経路を塞ぐ

中央にTIM接触用開口。

しかしラミネート位置がずれる。

絶縁フィルムが発熱面の一部を覆う。

熱性能悪化。

つまり、絶縁位置と熱位置の相対精度が重要だった。

■失敗例:異形状を細くしすぎて自動剥離できない

材料コスト削減のためグラファイト幅を限界まで細くした。

熱設計上は成立。

しかしライナー剥離で変形。

設備で安定搬送できない。

結果として少し幅を広げる必要があった。

つまり、最小材料使用量と最小総コストは同じではない。

■失敗例:材料を重ねた段差でTIMが浮く

絶縁材の上に部分金属箔。

さらにTIM。

金属箔部分だけ段差ができた。

TIMが全面接触しない。

熱抵抗が増えた。

つまり積層位置だけでなく、Z方向の厚み分布も考える必要があった。

■失敗例:試作では一体化成功、熱サイクル後に境界剥離

異なる材料を異形状で積層。

初期性能は良好。

熱サイクル後、材料境界から剥離。

熱膨張差と応力集中が原因。

つまり初期の位置精度だけでは長期性能を保証できなかった。

■研究者視点:異形状積層は「材料の空間最適化」である

材料Aが優秀。

材料Bも優秀。

だから全面に重ねる。

という発想ではなく、

どこにAが必要か。

どこにBが必要か。

どこには何も必要ないか。

を考える。

つまり異形状積層とは、

材料を選ぶ技術から、材料を空間的に最適配置する技術への進化

である。

■現場視点:複雑形状には理由がある

図面を見る。

切り欠きが多い。

小さな穴がある。

細い部分がある。

すぐに加工方法を考えるのではなく、

なぜこの形なのか

を確認する。

熱を避けるため。

絶縁距離。

ネジ回避。

空気抜き。

目的が分かれば、より量産しやすい形状を提案できる場合がある。

■顧客図面をそのまま作るだけでなく、成立形状を提案する

細すぎる部分。

鋭い角。

不要に複雑な抜き。

があれば、

Rを付ける。

幅を少し増やす。

二部品を一体化する。

という改善提案。

つまり異形状積層では、DFMの価値が非常に大きい。

■「一枚にする」こと自体が価値ではない

顧客工程を減らせる。

位置精度が上がる。

材料歩留まりが良くなる。

自動化しやすくなる。

こうした効果があるときに一体化する。

つまり目的は、複雑な積層部材を作ることではない。

顧客製品と顧客工程を簡単にすることである。

■OTIS視点:異形状積層はOTISの加工技術を統合する領域

異形状積層には、

高精度打ち抜き。

微細加工。

薄膜加工。

部分粘着。

高精度ラミネート。

位置合わせ。

リール加工。

が必要になる。

つまり10-1から10-6までの技術を組み合わせる領域である。

ここは、OTISの専門性が強く出る。

■単一加工ではなく工程設計力が問われる

金型だけでは成立しない。

ラミネートだけでも成立しない。

材料選定。

工程順。

位置基準。

キャリア。

検査。

を組み合わせる。

つまり異形状積層では、一つの加工技術より、工程全体を組み立てる力が重要になる。

■OTISは機能を「部品化」する

材料メーカーが、

高熱伝導材。

絶縁材。

粘着材。

金属箔。

を作る。

OTISが、

必要形状に加工。

必要位置へ配置。

一体化。

供給形態まで設計。

する。

つまりOTISは、複数の材料機能を一つの実装部品へ変換する役割を持つことができる。

■材料メーカーのカタログにない部品を作る

材料メーカーのカタログには、

グラファイトシート。

絶縁フィルム。

両面テープ。

が載っている。

しかし顧客が欲しいのは、

中央にグラファイト。

外周に絶縁。

一部だけ粘着。

という部材かもしれない。

これは単一メーカーの標準品ではない。

つまり加工会社が、複数材料を組み合わせた顧客専用機能部材を作る価値がある。

■OTISでできること

OTISでは、

● 異形状積層

● 部分ラミネート

● 高精度ラミネート

● TIM部分配置

● グラファイト部分配置

● 絶縁材部分配置

● 銅箔・アルミ箔部分配置

● 粘着材部分配置

● 発泡材・シール材部分配置

● 高精度打ち抜き

● 微細加工

● 薄膜加工

● 開口加工

● スリット加工

● ハーフカット

● 転写加工

● キャリア設計

● 位置精度管理

● リール・ツー・リール加工

● 画像検査

● 自動貼付向け供給形態

● 試作から量産への工程設計

などを組み合わせ、複数の機能材料を必要な位置へ配置した一体部材を量産化することができる。

■OTISの専門外

OTISは、

● 各機能材料そのものの配合開発

● 顧客製品全体の熱設計

● 電気回路全体の設計

● 自動貼付装置そのものの設計製造

を専門とする会社ではない。

必要に応じて、材料メーカー、設備メーカー、顧客設計部門と連携する。

OTISが担うのは、

複数の材料を、必要な場所へ、必要な精度で配置し、一つの量産部品へ変える領域である。

■まとめ:異形状積層は、「全部に高性能材料を使う」からの脱却である

熱対策。

絶縁。

粘着。

EMI。

防水。

これらの機能が必要だからといって、部品全面にすべての材料を重ねる必要はない。

熱を逃がしたい場所だけ熱伝導材。

熱を広げたい方向だけグラファイト。

絶縁が必要な場所だけ絶縁材。

固定したい場所だけ粘着材。

シールしたい場所だけシール材。

必要な場所へ、必要な機能だけ配置する。

これが異形状積層の考え方である。

材料使用量を減らせる。

部材を薄くできる。

重量を減らせる。

不要な熱経路を防げる。

複数の顧客貼付工程を一つにまとめられる。

しかしそのためには、

形状精度。

材料間位置精度。

厚み。

段差。

熱膨張。

界面。

自動化。

を管理する必要がある。

つまり異形状積層は、単純な貼り合わせより難しい。

その代わり、加工会社が持つ複数技術を組み合わせることで、非常に大きな価値を作ることができる。

全面に材料を重ねるのではなく、機能を必要な場所へ配置する。

材料メーカーが作るのは、高性能な素材。

顧客が必要としているのは、その素材ではない。

製品の中で、

ここだけ冷やす。

ここだけ絶縁する。

ここだけ貼る。

ここには熱を流さない。

という具体的な機能である。

その機能の地図を、薄膜材料の積層によって現実の部品へ変える。

それが、OTISにおける異形状積層の価値なのである。

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

最新記事

  • 10-7. 異形状積層(後編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    10-7. 異形状積層(後編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    前編では、必要な場所へ必要な機能だけを配置するという考え方を見てきた。 部分グラファイト。部分絶縁... 続きを読む
  • 10-7. 異形状積層(前編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    10-7. 異形状積層(前編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    実際の製品内部は、単純な四角形ではない。 ICがある。 コネクタがある。 ネジがある。 セン... 続きを読む
  • 10-6. 絶縁材・粘着材・金属箔加工(後編) ― 熱だけでは成立しない。電気を止め、固定し、必要な場所だけ機能を持たせる ―

    10-6. 絶縁材・粘着材・金属箔加工(後編) ― 熱だけでは成立しない。電気を止め、固定し、必要な場所だけ機能を持たせる ―

    前編では、絶縁材・粘着材・金属箔それぞれの役割と難しさを見てきた。 しかし製品の中では、これら... 続きを読む

関連記事

  • 10-7. 異形状積層(後編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    10-7. 異形状積層(後編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    前編では、必要な場所へ必要な機能だけを配置するという考え方を見てきた。 部分グラファイト。部分絶縁... 続きを読む
  • 10-7. 異形状積層(前編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    10-7. 異形状積層(前編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    実際の製品内部は、単純な四角形ではない。 ICがある。 コネクタがある。 ネジがある。 セン... 続きを読む
  • 10-6. 絶縁材・粘着材・金属箔加工(後編) ― 熱だけでは成立しない。電気を止め、固定し、必要な場所だけ機能を持たせる ―

    10-6. 絶縁材・粘着材・金属箔加工(後編) ― 熱だけでは成立しない。電気を止め、固定し、必要な場所だけ機能を持たせる ―

    前編では、絶縁材・粘着材・金属箔それぞれの役割と難しさを見てきた。 しかし製品の中では、これら... 続きを読む

CONTACT お問い合わせ

岡山 / Okayama

0867-42-3690

東京 / Tokyo

03-6810-4830

お問い合わせはこちら