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10-8. リール供給・自動化対応(前編) ― 熱対策部材を「人が貼る部品」から「設備が使える部品」へ変える ―

材料・加工技術

公開日:
10-8. リール供給・自動化対応(前編) ― 熱対策部材を「人が貼る部品」から「設備が使える部品」へ変える ―

熱対策部材は、性能が良いだけでは量産に使えない。
TIM。
グラファイト。
絶縁フィルム。
銅箔。
粘着材。
これらを必要な形状へ加工できても、
袋から一枚ずつ取り出す。
向きを確認する。
ピンセットで持つ。
手で位置を合わせる。
という工程が残れば、大量生産では大きな負担になる。
特に、
小さい。
薄い。
柔らかい。
静電気の影響を受ける。
表裏が分かりにくい。
といった部材ほど、自動化が難しくなる。
そこで重要になるのが、
供給形態まで含めた部材設計
である。
部材を一定ピッチで並べる。
ライナー上に保持する。
リール状に巻く。
設備が一枚ずつ剥離する。
吸着する。
位置補正する。
貼る。
こうすることで、熱対策部材は初めて自動化工程へつながる。
つまりリール供給とは、単なる梱包方法ではない。
加工部品と量産設備をつなぐインターフェースである。

■なぜ熱対策部材は自動化しにくいのか

熱対策部材には、自動化と相性の悪い特徴が多い。

柔らかいTIM。

薄いグラファイト。

透明な絶縁フィルム。

細長い金属箔。

微小な粘着部材。

これらは、

つかみにくい。

見えにくい。

変形しやすい。

剥がしにくい。

つまり自動化では、材料性能とは別の「扱いやすさ」が必要になる。

自動化に必要なのは、機能性能+ハンドリング性能である。

■バラ品供給では人の判断が残る

小型TIMを袋に入れて納品する。

顧客は、

一枚取る。

表裏を見る。

方向を見る。

位置を合わせる。

貼る。

必要がある。

作業者は自然に補正する。

少し曲がっていれば直す。

二枚重なっていれば分ける。

しかし自動機には、こうした判断をさせにくい。

つまりバラ品は部品としては完成していても、

量産工程への接続は完成していない場合がある。

■リール供給は「部材の住所を決める」

リール上では、

何mmピッチ。

どの向き。

どの位置。

というルールで部材を配置する。

設備から見ると、

「次の部材は必ずここにある」

という状態になる。

これは非常に重要である。

自動化では、部材そのものの精度に加えて、部材がどこに存在するかの再現性が必要だからである。

■リール供給では向きを固定できる

異形状部材には方向がある。

上下。

左右。

表裏。

がある。

バラ品では混在しやすい。

一方、リール上で一定方向に配置すれば、設備は向きを確認する工程を減らせる。

つまりリール供給は、部材姿勢を標準化する技術でもある。

■小さい部材ほどリール供給の価値が高い

50mm角の部材なら、手で扱いやすい。

3mm角。

5mm角。

になると、

取りにくい。

落とす。

二枚重なる。

静電気で付着する。

という問題が増える。

つまり部材が微細化するほど、

「作れること」より「扱えること」が難しくなる。

リール供給は、この問題を解決する手段の一つになる。

■薄膜部材もリール供給と相性がよい

薄いフィルムを一枚ずつ剥がす。

丸まる。

シワになる。

静電気で指へ付く。

しかしライナー上に保持されていれば、形状を維持しやすい。

設備が剥離直後に貼れば、空中搬送時間も短くできる。

つまりリール供給は、薄膜部材を安定した姿勢で量産工程へ渡す方法になる。

■リール化は単なる「巻くこと」ではない

部材をライナーに並べる。

巻く。

それだけでは自動化できない。

必要なのは、

ピッチ。

キャリア幅。

ライナー材質。

剥離力。

巻き方向。

巻き径。

部材位置。

を決めることである。

つまりリール供給そのものが、一つの設計業務になる。

■ピッチ設計が重要

部材間ピッチを広くする。

設備は取りやすい。

しかしキャリア材料を多く使う。

リール長も長くなる。

ピッチを狭くする。

材料歩留まりは良い。

しかし、

剥離スペースが少ない。

吸着ヘッドが干渉する。

カメラ認識しにくい。

可能性がある。

つまりピッチは、材料歩留まりと設備安定性のバランスで決める必要がある。

■キャリア幅も設備仕様に合わせる

狭いキャリア。

材料使用量は減る。

しかし、

蛇行しやすい。

剛性が不足する。

ガイドしにくい。

広いキャリア。

搬送は安定。

しかし材料使用量が増える。

つまり、最小幅が最適とは限らない。

必要なのは、設備が安定して搬送できる幅である。

■ライナー材質で自動化適性が変わる

PETライナー。

紙ライナー。

表面処理違い。

によって、

剛性。

剥離力。

帯電性。

寸法安定性。

が変わる。

つまり製品には残らないライナーが、設備性能を大きく左右する。

これは自動化部材の特徴の一つである。

■剥離力を設計する

粘着部材は、ライナーから剥がれなければ設備が止まる。

しかし簡単に剥がれすぎても、搬送途中で脱落する。

つまり必要なのは、

強い粘着。

弱い粘着。

ではない。

設備条件に合った安定した剥離挙動である。

■剥離角度で部材挙動が変わる

ライナーを180度近く折り返して剥離する。

小さな角度で剥がす。

によって部材へかかる力が違う。

特に、

薄いグラファイト。

細いTIM。

柔らかい粘着部材。

では、剥離時の力で部材が変形する。

つまり、リール部材設計では、材料をどう剥がすかまで考える必要がある。

■剥離方向と形状を合わせる

細長い部材を長手方向から剥がす。

大きな変形が起こる。

短手方向から剥がす。

安定する。

ということがある。

つまり同じ部材でも、

ライナー上の向きを90度変えるだけで量産性が変わる場合がある。

このため、材料歩留まりだけで配置方向を決めてはいけない。

■吸着できる形状にする

自動機では真空吸着を使うことが多い。

しかし部材中央に大きな穴がある。

細すぎる。

多孔質。

では吸着しにくい。

そこで、

一時的にキャリアを残す。

吸着用タブを付ける。

吸着面積を確保する。

といった方法を考える。

つまり、製品形状だけでなく、搬送形状を設計する。

■工程用タブという考え方

最終製品には不要。

しかし自動化には必要。

例えば、

吸着用タブ。

認識用タブ。

剥離用タブ。

を付ける。

貼付後に除去する。

つまり部材には、完成後の形と、工程中に必要な形がある。

この二つを分けて考えることが、自動化設計では重要になる。

■キャリアを残して搬送する

非常に薄いフィルム。

柔らかいTIM。

単体では形状を維持できない。

そこで周囲の不要部分をあえて残す。

キャリアとして支持する。

顧客貼付時に必要部分だけ剥離する。

つまり、不要部分を工程機能へ変えることもできる。

■ハーフカットはリール供給の基盤技術

製品層だけを切る。

ライナーは残す。

これにより、

部材を一定位置に保持できる。

搬送できる。

連続供給できる。

つまりハーフカットは、単なる加工方法ではなく、自動化供給を成立させるための構造である。

■ハーフカット精度が自動化安定性に影響する

切り込みが深すぎる。

ライナーが傷つく。

搬送中に切れる。

浅すぎる。

製品が完全に分離しない。

剥離時に引っ張られる。

つまりハーフカット深さも、自動機で安定剥離するための重要条件になる。

■カス上げも自動化品質に直結する

不要部分を除去する。

しかし小さなカスが残る。

設備へ流れる。

吸着ヘッドへ付く。

画像認識を邪魔する。

つまりリール品では、

不要部分を完全に除去した状態で供給する

ことが必要になる。

■粘着剤の糸引きが設備を止める

ライナーから部材を剥離する。

粘着剤が糸を引く。

設備へ付着。

次の部材へ転写。

長時間運転すると設備が汚れる。

つまり、短時間の評価では問題なくても、

連続運転で問題が出ることがある。

自動化では、

一個の品質より連続稼働品質

が重要になる。

■静電気対策も必要

フィルムとライナーを高速剥離。

静電気が発生。

部材が、

ライナーへ再付着。

ヘッドへ付着。

別方向へ飛ぶ。

異物を吸着。

する可能性がある。

つまりリール供給では、

材料。

剥離速度。

湿度。

除電。

まで考える必要がある。

■軽い部材ほど静電気影響が大きい

金属ブロックなら静電気で飛ばない。

数十μmのフィルムは軽い。

非常に小さな力で動く。

つまり薄膜・微細化が進むほど、

静電気が量産工程の支配要因になることがある。

■画像認識しやすい形状にする

設備は、

部材位置。

方向。

ワーク位置。

をカメラで確認することがある。

しかし、

透明フィルム。

黒いグラファイト。

鏡面金属箔。

は認識しにくい場合がある。

そこで、

認識穴。

切り欠き。

マーク。

キャリア輪郭。

を使う。

つまり、

機械が見つけやすい形状へすること

も自動化対応である。

■透明部材ではキャリアを認識させる方法もある

透明フィルム自体をカメラで見つけるのは難しい。

そこでライナー側に基準マークを持たせる。

設備はマークから部材位置を推定する。

つまり最終部材そのものではなく、

供給体全体で認識性を作る

という考え方もできる。

■非対称形状で誤方向を防ぐ

完全対称形状。

設備は180度反転しても同じに見える。

しかし実際には粘着面や機能面が違う。

そこで一か所だけ切り欠きを変える。

穴を非対称にする。

すると設備が方向を判別できる。

つまり、

微小な形状変更が大きなポカヨケになる。

■部材形状を自動化のために変える

顧客図面どおりの形状は、製品として正しい。

しかし自動化には扱いにくい。

この場合、

機能に影響しない範囲で、

角R変更。

タブ追加。

幅変更。

認識形状追加。

を提案する。

つまり加工会社が、

自動化前提のDFMを提案する価値

がある。

■「設備で何とかする」だけでは高コストになることがある

部材が扱いにくい。

設備側で、

複雑な吸着ヘッド。

高性能画像認識。

特殊ロボット。

を追加する。

できるかもしれない。

しかし設備費が大きくなる。

一方、部材形状を少し変えるだけで簡単な設備で対応できる場合がある。

つまり、

部材側の工夫で設備を簡単にする

ことは非常に重要である。

■自動化は設備と部材の共同設計

設備メーカーだけが自動化を考える。

部材メーカーは部材だけ作る。

では、境界で問題が起こりやすい。

重要なのは、

設備側が必要とする、

ピッチ。

剥離方向。

吸着位置。

認識方法。

を部材設計へ反映すること。

つまり自動化とは、

設備設計と部材設計の共同作業

である。

■前編のまとめ:設備が失敗しにくい状態を、部材側で作る

熱対策部材には、自動化と相性の悪い特徴が多い。

柔らかい。薄い。透明。細長い。小さい。

 

つかみにくく、見えにくく、変形しやすく、剥がしにくい。

 

だから必要なのは、機能性能に加えたハンドリング性能である。

 

リール供給は、その答えの一つになる。

一定ピッチ、一定方向、一定位置に部材を並べる。

設備から見れば、次の部材は必ずそこにある。

 

しかし、巻けば終わりではない。

 

ピッチが狭すぎれば吸着ヘッドが干渉する。

キャリアが細すぎれば蛇行する。

ライナーを変えるだけで、剥離力も帯電性も変わる。

剥離角度が合わなければ、部材はその場で変形する。

細長い部材は、向きを90度変えるだけで量産性が変わる。

 

さらに、吸着できなければ運べない。

見つけられなければ貼れない。

だから工程用タブを足し、認識穴を開け、形を非対称にする。

 

最終製品には不要でも、工程中には必要な形がある。

 

つまり、

自動化は設備側だけの仕事ではない。

部材形状を少し変えるだけで、設備を簡単にできることがある。

 

中編では、では実際にどの供給形態を選び、

顧客へ届くまでどう守るかを見ていく。

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

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