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2. 世の中の熱問題編 どこで熱問題が起きているのか
2-8. 工場設備・自動化装置の熱問題 〜量産現場では、設備が動くほど熱も動く〜

材料・加工技術

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2. 世の中の熱問題編 どこで熱問題が起きているのか<br>2-8. 工場設備・自動化装置の熱問題 〜量産現場では、設備が動くほど熱も動く〜

工場設備や自動化装置は、製造業の心臓部である。
材料を送る。
位置決めする。
貼り合わせる。
打ち抜く。
検査する。
搬送する。
巻き取る。
画像で判定する。
これらの工程が安定して動くことで、量産は成立する。
しかし工場設備にも、見落とされがちな大きな課題がある。
熱である。
設備は動けば熱を持つ。
モーターは熱を出す。
制御盤は熱を出す。
センサーも、照明も、カメラも、電源も熱を出す。
つまり工場設備は、製品を作る装置であると同時に、
熱を発生させる装置でもある。

■工場設備の中には発熱源が多い

工場設備や自動化装置には、多くの発熱源がある。

 ● モーター

 ● サーボ

 ● インバーター

 ● 制御盤

 ● 電源

 ● 画像検査用照明

 ● カメラ

 ● センサー

 ● ヒーター

 ● エア機器

 ● 搬送機構

 ● 摩擦部

これらが長時間動く。

しかも量産現場では、数分だけ動けばよいわけではない。

朝から夜まで。

場合によっては24時間。

同じ精度で動き続ける必要がある。

だから設備の熱問題は、短時間の発熱ではなく、

長時間稼働による熱の蓄積として現れる。

■熱は設備精度を変える

工場設備で怖いのは、熱によって設備そのものの寸法や位置が変わることだ。

金属は温度が上がると膨張する。

樹脂も温度で変形する。
治具も、フレームも、搬送部も、微妙に変化する。

すると、

 ● 位置ズレ

 ● 寸法ズレ

 ● 貼り合わせズレ

 ● 打ち抜き位置ズレ

 ● 搬送ズレ

 ● 検査位置ズレ が発生する。

つまり熱は、設備の精度そのものを変える可能性がある。

■高精度加工では、わずかな熱変化が効く

一般的な加工であれば、多少の温度変化は許容できるかもしれない。

しかし、高精度加工では違う。

数十μm。

場合によってはそれ以下の精度が求められる工程では、わずかな熱膨張や治具変形が問題になる。

つまり高精度量産では、熱は寸法公差に影響するのである。

■設備が温まると、朝と昼で状態が変わる

現場ではよく、朝一番と昼以降で設備の状態が変わることがある。

設備が冷えている状態。

動き続けて温まった状態。

室温が上がった状態。

モーターや制御盤が発熱した状態。

これらによって、同じ条件で動かしているつもりでも、実際には設備状態が変わっている。

つまり量産現場では、設備が安定するまでの熱変化も考える必要がある。

■熱は材料にも影響する

設備だけではない。

加工される材料も熱の影響を受ける。

特に、

 ● フィルム

 ● テープ

 ● 粘着材

 ● 発泡材

 ● 樹脂シート

 ● 薄膜材料 などは、温度や湿度によって状態が変わりやすい。

材料が伸びる。

粘着力が変わる。

剥離性が変わる。

反りが出る。

搬送テンションが変わる。

つまり工場設備の熱問題は、設備側だけでなく、

材料側にも現れる。

■粘着材は熱で変わる

特に粘着材は、熱の影響を受けやすい。

温度が上がると、

 ● 粘着力が変化する

 ● 柔らかくなる

 ● 糊残りが増える

 ● 剥離しにくくなる

 ● 逆に保持力が落ちる ことがある。

つまり粘着材を使う工程では、熱によって加工条件そのものが変わる可能性がある。

■自動化装置では安定搬送が熱で崩れる

自動化装置では、材料を安定して搬送することが重要である。

しかし熱によって材料状態が変わると、

 ● 蛇行

 ● シワ

 ● 浮き

 ● 位置ズレ

 ● 剥離不良

 ● 巻き取り不良 が起きることがある。

つまり自動化装置の熱問題は、設備が熱いという単純な話ではない。

材料が安定して流れなくなる問題でもある。

■画像検査も熱の影響を受ける

画像検査装置も熱の影響を受ける。

例えば、

 ● 照明の発熱

 ● カメラ周辺温度

 ● レンズの熱変化

 ● ワーク位置の熱変形

 ● 装置フレームの膨張 などで、検査条件が変わることがある。

すると、

 ● ピントズレ

 ● 位置ズレ

 ● 明るさ変化

 ● 誤判定

 ● 見逃し につながる可能性がある。

つまり熱は、加工精度だけでなく、

検査精度にも影響する。

■制御盤の熱も無視できない

工場設備では、制御盤の熱も重要である。

制御盤の中には、

 ● PLC

 ● 電源

 ● サーボアンプ

 ● インバーター

 ● リレー

 ● 通信機器 などが入っている。

これらは発熱する。

制御盤内部が高温になると、電子部品の寿命低下や誤動作リスクにつながる。

つまり設備の熱対策では、製品加工部だけでなく、

制御部も見なければならない。

■工場環境そのものも熱条件になる

量産現場では、設備単体だけでなく、工場環境も重要である。

 ● 室温

 ● 湿度

 ● 空調

 ● 設備配置

 ● 日射

 ● 排熱

 ● 作業者の出入り

 ● 周辺設備の発熱 によって、工程状態が変わることがある。

つまり工場設備の熱問題は、装置内の問題だけではなく、

工場全体の環境問題でもある。

■熱は再現性を崩す

量産で最も怖いのは、再現性が崩れることである。

昨日は良かった。

朝は良かった。

1時間前は良かった。

でも今はズレる。

こうした現象の裏に、熱が関係していることがある。

設備が温まる。

材料が変わる。

治具が膨張する。

粘着が変わる。

照明が変わる。

その結果、工程条件が少しずつ変わる。

つまり熱は、量産の再現性を壊す要因になる。

■AI化・自動化で熱問題は増える

今後、工場設備にはさらにAIや画像処理が入っていく。

 ● AI外観検査

 ● 画像認識

 ● 自動補正

 ● ロボット制御

 ● センサー監視

 ● リアルタイム品質管理

これらが増えると、設備内部の電子部品や演算機器も増える。

つまり工場設備は、機械装置から、

動くコンピューターへ近づいていく。

その結果、熱源はさらに増える可能性がある。

■研究者視点 : 工場設備は熱変形と熱安定性が重要になる

研究開発や設備設計では、

 ● 熱膨張

 ● 熱変形

 ● 放熱設計

 ● 制御盤冷却

 ● 温調

 ● 熱シミュレーション

 ● センサーによる温度監視

 ● AIによる状態予測 などが重要になる。

設備の高精度化が進むほど、

温度変化をどう抑えるか

温度変化をどう補正するかが重要になる。

■現場視点

熱は条件出しを狂わせる

現場では、条件出しが非常に重要である。

加工圧。

速度。

テンション。

貼り合わせ位置。

剥離角度。

搬送条件。

検査条件。

しかし熱によって材料や設備が変わると、せっかく出した条件が変わる。

つまり現場では、熱を見ずに条件出しをすると、再現性が崩れる可能性がある。

■OTIS視点

OTIS視点では、工場設備・自動化装置の熱問題で重要なのは、

 ● 高精度加工

 ● 材料搬送安定性

 ● 貼り合わせ精度

 ● テンション管理

 ● 剥離性管理

 ● 自動化供給形態

 ● 治具設計

 ● 量産時の公差管理

 ● 温度による材料変化の理解

 ● 工程成立性 である。

特にフィルム・テープ・薄膜材料では、

材料が薄いほど、熱や環境の影響を受けやすいことが重要になる。

■OTISでできること

OTISでは、

グラファイト・金属などの熱伝導シートなどの

 ● 高精度打ち抜き

 ● 微細加工

 ● 高精度ラミネート

 ● フィルム・テープ加工

 ● 粘着材加工

 ● リール供給

 ● 自動化工程向け供給形態設計

 ● 異形状積層

 ● 量産工程での条件設計

などを通じて、工場設備・自動化工程で使いやすい部材づくりに貢献できる可能性がある。

特に、顧客の自動化工程で安定して使える形にすることは、OTISが価値を出せる領域である。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

 ● 工場全体の空調設計

 ● 設備メーカーとしての装置全体設計

 ● 制御盤冷却設計

 ● AI制御ソフト開発

 ● 工場エネルギーマネジメント

を専門とする会社ではない。

しかし、自動化工程で使われるフィルム・テープ・機能部材を量産で成立させる

という領域では、重要な役割を担える可能性がある。

■この技術が重要になる産業

★★★★★ 自動化設備

★★★★★ 高精度加工装置

★★★★★ フィルム・テープ加工工程

★★★★☆ 画像検査装置

★★★★☆ ロボット搬送設備

★★★★☆ 半導体・電子部品製造工程

■まとめ

工場設備では、熱が量産再現性を壊す

工場設備や自動化装置の熱問題は、単に設備が熱くなる話ではない。

熱によって、

 ● 設備精度が変わる

 ● 材料状態が変わる

 ● 粘着特性が変わる

 ● 搬送が変わる

 ● 検査条件が変わる

 ● 量産再現性が崩れる 可能性がある。

つまり量産現場では、熱対策は品質対策であり、

熱対策は工程安定化でもある。

どれだけ良い材料でも、どれだけ良い設備でも、熱によって条件が変われば、安定量産は難しくなる。

だからこそ、これからの自動化工程では、

熱を前提にした工程設計がますます重要になっていく。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

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