【1】センサーとアクチュエータとは何か
■ センサー(Sensor)
物理量・環境情報を“電気信号に変換”するデバイス。
例:光、音、温度、加速度、圧力、磁気、ガスなど
■ アクチュエータ(Actuator)
電気信号を“力・動き・音・振動”へ変換するデバイス。
例:モーター、圧電アクチュエータ、MEMSミラーなど
センサー →(情報化)→ 半導体回路 →(駆動)→ アクチュエータで、
リアル世界とデジタル世界がつながる。
【2】センサーの基本構造と分類
センサーは大きく次の種類に分かれる。
【2-1】光センサー(イメージセンサー)
例:CMOSイメージセンサー(スマホカメラ)
特徴:
● 受光部(フォトダイオード)で光を電荷に変換
● 高感度・低ノイズ化が重要
● ロジックと3D積層(Stacked CIS)が進化中
用途:スマホ、監視カメラ、自動運転、医療
【2-2】加速度・ジャイロセンサー(MEMSセンサー)
MEMS(微小電気機械システム)構造による力学検出。
特徴:
● μmスケールの可動部
● 静電容量の変化で加速度や角速度を検出
● スマホの手振れ補正
● ドローン姿勢制御
● 自動車のABS、エアバッグ
【2-3】温度センサー
例:Pn接合温度センサー、RTD、サーミスタ
特徴:
● 抵抗値や電圧が温度で変化
● 高精度・高速応答
● CPU温度管理
● バッテリー監視
● 医療用計測
【2-4】磁気センサー
例:ホールセンサー、MRセンサー(GMR/TMR)
特徴:
● 磁界の強さや方向を検出
● 高感度、小型
● モーター回転検知
● HDDヘッド
● 電流センサー
【2-5】圧力センサー
例:MEMS圧力センサー
特徴:
● 薄膜ダイアフラムで圧力・応力を検出
● タイヤ空気圧
● 気圧計
● 医療機器
【2-6】ガス・化学センサー
特徴:
● 特定ガスと反応 → 電気特性が変化
用途:
● CO₂センサー
● 有毒ガスセンサー
● アルコール検知
【3】アクチュエータの基本構造と分類
アクチュエータは「動き」を生み出すデバイス。
【3-1】圧電アクチュエータ(Piezo Actuator)
特徴:
● 電圧で伸縮(逆圧電効果)
● 高速応答
● 微小制御に最適
● インクジェットヘッド
● AF(オートフォーカス)レンズ
● MEMSスピーカー
● 精密ステージ
【3-2】MEMSミラー・スキャナ
特徴:
● 静電・磁気・熱などで可動ミラーを動かす
● LiDAR(自動運転)
● プロジェクター
● バーコードスキャナ
【3-3】モーター系アクチュエータ
例:BLDCモーター、ステッピングモーター
特徴:
● 電流で回転を制御
● ロボット
● HDD
● ドローン
● 電動工具
【3-4】マイクロアクチュエータ(MEMSアクチュエータ)
特徴:
● μmレベルの機械構造
● CMOSプロセスと統合可能
● マイクロバルブ
● 微小ポンプ
● マイクロロボット
【4】CMOS-MEMS統合の重要性
近年の潮流は「センサーとロジック回路を同じチップに統合」する方向。
メリット:
● 小型化
● 低消費電力
● ノイズ低減
● 高信頼性
例:
● スマホの6軸センサー(加速度+ジャイロ)
● ミリ波レーダー(RF+アンテナ+DSP統合
【5】センサーとアクチュエータの応用分野
これらはあらゆる産業で利用される。
【5-1】自動車
● LiDAR(MEMSミラー)
● 衝突検知センサー
● 車内環境センサー
● モーター制御用アクチュエータ
【5-2】スマートフォン
● カメラ(CIS)
● 加速度・ジャイロ
● 圧力・磁気
● フォーカス用アクチュエータ
● マイク・スピーカー(MEMS)
【5-3】医療
● 血圧センサー
● 呼吸ガスセンサー
● 超音波アクチュエータ
● ミリ波/赤外センサーカメラ
【5-4】産業機器
● ロボットアーム関節
● 工場設備の状態監視(振動・温度)
● AIによる異常検知システム
【6】次世代技術の方向性
■ 高集積MEMS(多数の可動部をアレイ化)
例:大規模LiDARアレイ、MEMSスピーカー
■ AIチップとセンサーの直接接続
● Edge AI × センサー融合(推論をチップ内で実行)
● データを送る前に賢くする
■ 化学・バイオMEMS
● 次世代医療デバイス
● 自宅でのヘルスモニタリング
■ 光MEMSの高速度化
● 光通信
● AR/VRマイクロプロジェクタ
【7】まとめ
● センサーは現実の変化を電気信号にする役割
● アクチュエータは電気信号を動きに変換する役割
● どちらもMEMS技術で急速に小型化・高性能化
● 車、スマホ、医療、産業、すべての業界で不可欠
● 今後はAIとの統合・高集積化が加速
【理解チェック】
1. センサーとアクチュエータの役割の違いは?
2.MEMSセンサーが広く使われている主な理由を挙げてください。
3.GaN HEMT はどのような用途に向いていますか?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。



