TECH COLUMN 技術コラム

4.製造プロセスの全体像
4-3. 酸化(Oxidation)工程

材料・加工技術

公開日:

【1】酸化工程の役割と重要性

酸化工程とは、
シリコン表面にSiO₂(酸化膜)を形成するプロセス のこと。

この酸化膜は半導体製造において極めて重要で、役割は以下の通り。

 ● トランジスタのゲート絶縁膜

 ● 配線間絶縁

 ● パッシベーション(表面保護)

 ● マスク層(イオン注入やエッチングの保護膜)

特に MOSFETのゲート絶縁膜 葉デバイス性能を左右する核心部。
酸化プロセスの精度が、電気特性と信頼性を決める。

【2】酸化の基本メカニズム

酸化膜の形成には、主に次の2つの方式がある。

(1)熱酸化(Thermal Oxidation)

高温(900〜1100°C)の炉にSiウェハを入れ、酸素または水蒸気と反応させて自然にSiO₂を成長させる方法。

 ● ドライ酸化(O₂)

 ● ウェット酸化(H₂O / 水蒸気)

ドライ:高品質・薄膜向け
ウェット:高速成長・厚膜向け

 

(2)CVD酸化膜(LPCVD / PECVD)

化学反応を使ってSiO₂膜を堆積する方法。

 ● 低温プロセスが可能

 ● 厚膜形成に向く

 ● BEOLの絶縁膜としてよく使われる

熱酸化が「成長」
CVD酸化が「堆積」
という違いが重要。

【3】熱酸化の種類と特徴

■ ドライ酸化(Dry Oxidation)

 ● 膜質が最も高い

 ● ゲート酸化膜などの高品質薄膜に使用

 ● 成長速度が遅い(数nmレベルを精密制御)

■ ウェット酸化(Wet Oxidation)

 ● 水蒸気を用いて高速に厚膜形成

 ● フィールド酸化膜(LOCOSなど)に使われる

 ● 膜質はドライよりやや劣る

【4】ゲート酸化膜の薄膜化とHigh-k材料

従来はSiO₂が使われてきたが、微細化により膜厚を1nm以下にすると
トンネルリーク電流が増大 してしまう。

そのため、今は以下の材料へ移行している。

 ● HfO₂(ハフニウム酸化膜)

 ● ZrO₂

 ● Al₂O₃

これらを High-k絶縁膜 と呼び、
ゲート絶縁膜に用いることで
実効的に厚みを確保しつつ漏れ電流を減らす ことができる。

【5】酸化工程の装置と制御ポイント

酸化炉は大きく以下の方式がある。

 ● バッチ炉(多数のウェハを一括処理)

 ● シングルウェハ炉(1枚ずつ高均一処理)

制御すべきポイントは:

 ● 膜厚均一性

 ● 温度均一性

 ● 成長速度

 ● 膜質(密度・欠陥・界面品質)

 ● パーティクル・金属コンタミの管理

酸化膜の品質は、トランジスタの寿命や信頼性に直結する。

【6】界面品質の重要性(Si/SiO₂界面)

MOSFETの電気特性は
SiとSiO₂の界面品質 に非常に敏感。

悪い界面は:

 ● 移動度低下

 ● 閾値ばらつき

 ● フリッカーノイズ増加

 ● 信頼性低下(TDDB劣化)

などを引き起こす。

そのため、酸化工程後には
アニール工程(N₂ / H₂) で界面を修復することが多い。

【7】酸化膜が使われる代表的な用途

酸化膜は半導体のあらゆる場所に使われる。

 ● ゲート絶縁膜

 ● STI絶縁膜

 ● 配線層間絶縁膜

 ● パッシベーション膜

 ● イオン注入マスク

 ● LOCOSプロセス

多用途であり、半導体プロセスの基盤技術のひとつ。

【8】まとめ

 ● 酸化工程はSiO₂膜を形成する重要なステップ

 ● 熱酸化(高品質)とCVD酸化(堆積)の違いが重要

 ● ゲート酸化膜は微細化によりHigh-k材料へ移行

 ● 界面品質がデバイス性能を大きく左右する

 ● 酸化膜は素子形成から配線まであらゆる工程で利用される

【理解チェック】

1.ドライ酸化とウェット酸化の違いを説明してください。

2.High-k材料が使われる理由は?

3.酸化膜がMOSFETにおいて果たす役割は?

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

最新記事

  • 5章:最先端プロセス技術
    5-14. スマートファブ化(AI × 半導体工場)

    ... 続きを読む
  • 5章:最先端プロセス技術
    5-13. 信頼性技術(Reliability Engineering)

    ... 続きを読む
  • 5章:最先端プロセス技術
    5-12. AIチッププロセスの特徴(高電流・高密度・高熱)

    ... 続きを読む

関連記事

  • 5章:最先端プロセス技術
    5-14. スマートファブ化(AI × 半導体工場)

    ... 続きを読む
  • 5章:最先端プロセス技術
    5-13. 信頼性技術(Reliability Engineering)

    ... 続きを読む
  • 5章:最先端プロセス技術
    5-12. AIチッププロセスの特徴(高電流・高密度・高熱)

    ... 続きを読む

CONTACT お問い合わせ

岡山 / Okayama

0867-42-3690

東京 / Tokyo

03-6810-4830

お問い合わせはこちら