TECH COLUMN 技術コラム

6章:半導体パッケージング技術
6-8. パッケージ基板(Substrate)技術

材料・加工技術

公開日:

先端パッケージでは、チップそのものより基板がボトルネック になるケースが増えている。
電気・熱・機械すべてを受け止めるのがパッケージ基板であり、基板技術=先端パッケージの土台 と言ってよい。

【1】パッケージ基板の役割

パッケージ基板は、以下を同時に担う。

・チップと実装基板(PCB)の接続

・電源・信号の配線

・機械的支持

・熱拡散

特に先端SoCやAIチップでは、基板が性能・歩留まり・コストを決める 状況になっている。

【2】ABF基板とは何か

現在の主流は ABF(Ajinomoto Build-up Film)基板

特徴:

・高多層化が可能

・微細配線に対応

・高速信号向け誘電特性

用途:

・CPU

・GPU

・AIアクセラレータ

・ネットワークSoC

Fan-outや2.5Dパッケージでも、最終的にはABF基板が使われるケースが多い。

【3】高多層化の必要性

なぜ層数が増え続けるのか。

理由:

・I/O数の爆発的増加

・電源・GNDの分離強化

・高速信号のシールド確保

最近では:

・10層 → 15層 → 20層超という世界。

層数増加=コスト・歩留まり・製造難易度が指数関数的に上昇

【4】ライン / スペース(L/S)微細化

基板の技術進化の核心は L/S微細化

代表的な数値感:

・従来基板:20 / 20 µm

・先端ABF:10 / 10 µm

・さらに先:5 / 5 µm 以下を狙う

課題:

・銅配線の信頼性

・レジスト精度

・エッチングばらつき

・歩留まり低下

基板なのに半導体並みの難易度 になってきている。

【5】電気特性の課題(高速化対応)

高速I/Oでは基板の電気特性が致命的。

主な論点:

・誘電率(Dk)

・誘電正接(Df)

・表面粗さ(Skew / Loss)

要求:

・低Dk・低Df材料

・配線の表面平滑化

・SI/PI/EMIを考慮したレイヤ設計

→ 基板設計も SI/PI/EMI設計の一部

【6】機械・熱の課題

● 熱膨張差(CTEミスマッチ)

・チップ

・バンプ

・基板

・PCB

すべてCTEが異なる。

→ 温度サイクルで応力集中

→ バンプ疲労・クラック。

 

● 反り(Warpage)

・大型パッケージで顕著

・実装不良・接続不良の原因

基板材料・層構成の最適化が必須。

【7】サプライチェーンの制約

先端ABF基板は:

・作れるメーカーが限られる

・設備投資が巨大

・立ち上げに時間がかかる

結果:

・基板不足=製品が作れない

・ファウンドリより基板が律速になる例も発生

先端半導体は基板を確保できる企業が勝つ フェーズに入っている。

【8】最新トレンド

・超高多層ABF基板

・低Dk / 低Df新材料

・大型パッケージ対応基板

・基板 × パッケージのCo-design

・有機インターポーザ技術の研究

【9】まとめ(6-8)

・パッケージ基板は性能・信頼性・コストを左右

・ABF基板が先端の主役

・高多層化・微細化で難易度急上昇

・電気・熱・機械の総合設計が必須

・サプライチェーン制約が競争力を決める

【理解チェック】

1.なぜ先端パッケージで基板がボトルネックになるのか?

2.高多層化が避けられない理由を説明してください。

3.基板のL/S微細化で特に難しい技術課題は何か?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

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