【1】パッケージ基板の役割
パッケージ基板は、以下を同時に担う。
・チップと実装基板(PCB)の接続
・電源・信号の配線
・機械的支持
・熱拡散
特に先端SoCやAIチップでは、基板が性能・歩留まり・コストを決める 状況になっている。
【2】ABF基板とは何か
現在の主流は ABF(Ajinomoto Build-up Film)基板。
特徴:
・高多層化が可能
・微細配線に対応
・高速信号向け誘電特性
用途:
・CPU
・GPU
・AIアクセラレータ
・ネットワークSoC
Fan-outや2.5Dパッケージでも、最終的にはABF基板が使われるケースが多い。
【3】高多層化の必要性
なぜ層数が増え続けるのか。
理由:
・I/O数の爆発的増加
・電源・GNDの分離強化
・高速信号のシールド確保
最近では:
・10層 → 15層 → 20層超という世界。
層数増加=コスト・歩留まり・製造難易度が指数関数的に上昇。
【4】ライン / スペース(L/S)微細化
基板の技術進化の核心は L/S微細化。
代表的な数値感:
・従来基板:20 / 20 µm
・先端ABF:10 / 10 µm
・さらに先:5 / 5 µm 以下を狙う
課題:
・銅配線の信頼性
・レジスト精度
・エッチングばらつき
・歩留まり低下
基板なのに半導体並みの難易度 になってきている。
【5】電気特性の課題(高速化対応)
高速I/Oでは基板の電気特性が致命的。
主な論点:
・誘電率(Dk)
・誘電正接(Df)
・表面粗さ(Skew / Loss)
要求:
・低Dk・低Df材料
・配線の表面平滑化
・SI/PI/EMIを考慮したレイヤ設計
→ 基板設計も SI/PI/EMI設計の一部。
【6】機械・熱の課題
● 熱膨張差(CTEミスマッチ)
・チップ
・バンプ
・基板
・PCB
すべてCTEが異なる。
→ 温度サイクルで応力集中
→ バンプ疲労・クラック。
● 反り(Warpage)
・大型パッケージで顕著
・実装不良・接続不良の原因
基板材料・層構成の最適化が必須。
【7】サプライチェーンの制約
先端ABF基板は:
・作れるメーカーが限られる
・設備投資が巨大
・立ち上げに時間がかかる
結果:
・基板不足=製品が作れない
・ファウンドリより基板が律速になる例も発生
先端半導体は基板を確保できる企業が勝つ フェーズに入っている。
【8】最新トレンド
・超高多層ABF基板
・低Dk / 低Df新材料
・大型パッケージ対応基板
・基板 × パッケージのCo-design
・有機インターポーザ技術の研究
【9】まとめ(6-8)
・パッケージ基板は性能・信頼性・コストを左右
・ABF基板が先端の主役
・高多層化・微細化で難易度急上昇
・電気・熱・機械の総合設計が必須
・サプライチェーン制約が競争力を決める
【理解チェック】
1.なぜ先端パッケージで基板がボトルネックになるのか?
2.高多層化が避けられない理由を説明してください。
3.基板のL/S微細化で特に難しい技術課題は何か?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。
