【1】信頼性評価とは何か
定義はシンプル。
想定使用環境・期間において、デバイスが機能を維持できるかを評価する技術。
評価対象は以下。
・電気的劣化・絶縁破壊
・配線劣化
・界面劣化
・熱起因劣化
つまり、壊れるまでのプロセスを可視化する技術。
【2】なぜ信頼性評価が重要なのか
理由は3つ。
・製品保証の根拠
・車載・産業用途の必須条件
・顧客信頼の基盤
例:
・スマートフォン → 数年保証
・車載ECU → 10〜15年保証
後者では、わずかな劣化も致命傷となる。
【3】代表的な劣化メカニズム
半導体は時間とともに劣化する。
主因は以下。
・電界
・温度
・電流
・湿度
・機械応力
この組み合わせが寿命を決める。
【4】TDDB(Time-Dependent Dielectric Breakdown)
ゲート絶縁膜の寿命評価。
電圧を長時間印加すると、絶縁膜内部に欠陥が蓄積し、最終的に絶縁破壊が発生。
微細化で膜厚が薄くなり、TDDBは最重要評価項目となっている。
評価ポイント:
・破壊時間分布
・電界依存性
・温度依存性
【5】EM(Electromigration)
配線の劣化現象。
大電流により金属原子が移動し、
・空洞(Void)形成
・配線断線
・抵抗増加 が発生。
特にCu狭配線で顕著。AIチップでは最大の寿命制約要因。
【6】BTI(Bias Temperature Instability)
トランジスタ特性のドリフト。
高温 × 電圧印加で界面欠陥が増加し、
・しきい値電圧変動
・電流低下
・スイッチ速度低下 が発生。
種類:
・NBTI(PMOS)
・PBTI(NMOS)
【7】HCI(Hot Carrier Injection)
高電界で加速された電子が、ゲート酸化膜へ注入。
・界面欠陥生成
・デバイス特性劣化
高周波用途で顕著。
【8】SM(Stress Migration)
熱応力による配線劣化。
温度変化により金属が移動し、
・ボイド
・ヒロック が発生。
パッケージ応力とも密接に関連。
【9】加速試験(Accelerated Test)
寿命評価は時間との戦い。
10年寿命を10年待つことは不可能。
そのため加速試験を実施。
代表例:
・HTOL
・HAST
・THB
・PCT
温度・電圧・湿度を強化し、短時間で劣化を再現する。
【10】寿命予測モデル
加速試験結果から実使用寿命を推定。
代表モデル:
・Arrheniusモデル
・E-model
・Black’s Equation
保証年数の科学的根拠となる。
【11】車載・産業用途の信頼性基準
要求は非常に厳しい。
代表規格:
・AEC-Q100
・JESD47
・ISO26262
特徴:
・長寿命
・高温
・振動
・高湿
スマホ用途とは別次元。
【12】パッケージとの相互影響
デバイス単体では完結しない。
・熱抵抗
・機械応力
・電流集中
パッケージ設計が寿命を左右する。
Chiplet・HBMで顕著。
【13】最新トレンド
・AI寿命予測
・in-line Reliability Monitor
・リアルタイム劣化監視
・デジタルツイン評価
・材料×設計同時最適化
評価は試験から予測科学へ移行。
【14】まとめ(7-12)
・信頼性評価は寿命保証技術
・TDDB・EM・BTIが三大劣化
・微細化で劣化は加速
・加速試験で短期寿命推定
・車載用途は別次元要求
・パッケージ設計も寿命に直結
【理解チェック】
1.TDDBが微細化で重要度を増す理由は?
2.EMがAIチップで深刻化する理由は何か?
3.加速試験を行う目的を説明せよ。
4.車載用途で信頼性評価が特に厳しい理由は?
