【1】量子ビット(Qubit)とは何か
従来のコンピュータでは、1ビットは「0」または「1」のどちらかの状態を取る。
一方、量子コンピュータでは 量子ビット(Qubit) が使われる。
量子ビットには以下の特徴がある。
・重ね合わせ(Superposition)
・量子もつれ(Entanglement)
・量子干渉(Interference)
重ね合わせにより、量子ビットは0と1を同時に表現することができる。
この性質により、特定の計算では膨大な並列計算が可能になる。
【2】量子コンピュータの代表的な方式
量子コンピュータには複数の方式が存在する。
主な方式:
・超伝導量子ビット
・イオントラップ方式
・光量子方式
・シリコン量子ビット
現在、GoogleやIBMなどが開発しているのは主に 超伝導量子ビット方式 である。
一方、半導体産業にとって注目されているのは シリコン量子ビット である。
【3】半導体技術との関係
量子コンピュータは完全に別の技術のように見えるが、実際には半導体技術との関係も深い。
主な理由:
・シリコン量子ビットはCMOS技術を利用可能
・制御回路は半導体で構成される
・量子チップの製造に微細加工技術が必要
そのため、多くの半導体メーカーが量子コンピュータ研究に参入している。
【4】現在の課題
量子コンピュータにはまだ多くの課題が存在する。
主な課題:
・量子ビットの安定性
・誤り訂正
・冷却装置の大型化
・量子ビット数の拡張
現在の量子コンピュータは数百量子ビット規模にとどまっており、実用的な計算にはさらに大規模なシステムが必要とされている。
【5】量子コンピュータの将来
量子コンピュータが普及したとしても、従来のコンピュータが完全に置き換えられるわけではないと考えられている。
想定される構成:
・従来コンピュータ(汎用処理)
・量子コンピュータ(特定問題の高速計算)
つまり量子コンピュータは、従来コンピュータを補完する 特殊用途コンピュータ として発展する可能性が高い。
【まとめ(10-10)】
・量子コンピュータは量子力学を利用した新しい計算技術
・量子ビットは重ね合わせ状態を持つ
・シリコン量子ビットなど半導体技術との融合も進む
・実用化には多くの技術課題が残っている
【理解チェック】
1.量子ビットは従来のビットと何が違うのか?
2.量子コンピュータにはどのような方式があるか?
3.なぜ半導体技術が量子コンピュータに関係するのか?
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。


